国税庁では、情報漏えい、行政文書の紛失・誤廃棄、重大な事務処理誤り、職員の非行など、税務行政や納税者に大きな影響を及ぼし得る事案について、統一的かつ迅速に対応するための内部ルールを定めています。
本記事では、平成14年9月27日付官総1-44「緊急対応体制の整備について(事務運営指針)」を取り上げ、
- どのような事案が「緊急対応事案」とされるのか
- 情報漏えい・事務処理誤り等が発生した場合の報告・対応フロー
- 税務署・国税局・国税庁それぞれの役割分担
- 再発防止策や苦情対応との関係
といった点を、条文構造に沿って整理・解説します。
税理士や税務関係者にとっては、税務行政の内部統制やリスク管理の実態を理解するための重要資料であり、
納税者の立場から見ても、国税当局がどのような基準で重大事案に対応しているのかを知る手がかりとなる内容です。
以下、国税庁の平成14年9月27日付官総1-44「緊急対応体制の整備について」(事務運営指針)の紹介です。
官総1-44平成14年9月27日
(改正) 平成16年7月2日
( 改正)平成17年3月18日
( 改正)平成20年6月23日
( 改正)平成21年6月10日
( 改正)平成25年7月31日
( 改正)平成27年5月25日
( 改正)平成27年12月25日
( 改正)令和元年12月25日
( 改正)令和3年7月1日
( 改正)令和4年6月7日
(改正) 令和5年6月19日
各 国 税 局 長
沖縄国税事務所長 殿
国税庁長官
(官印省略)
緊急対応体制の整備について(事務運営指針)
標題のことについては、別添「緊急対応体制の整備について」のとおり定めたから、今後はこれにより適切に対応されたい。
別添
緊急対応体制の整備について
1 目的
この事務運営指針は、納税者や税務行政等に大きな影響を及ぼすおそれのある緊急に対応すべき事案に適切に対応することにより、納税者や職員の安全確保、納税者等の権利・利益の保護、情報の漏えい防止、税務行政の円滑な遂行、税務行政に対する信頼の確保等を図ることを目的とする。
2 緊急対応を行う対象事案
緊急対応を行う対象事案は、以下に掲げるような、関係する部署が一体となって緊急かつ適切に報告等の対応を行う必要があると認められる事案(以下「緊急対応事案」という。)とする。
(注)なお、以下の類型において複数に該当する事案又は発生時点ではいずれの類型に該当するか明確でない事案があることに留意する。
⑴ 災害・犯罪関係原因事案
災害・事故・犯罪(その可能性のあるものを含む。)等に起因して被害を受けた事案であって、相当数の納税者の生命・身体・権利・利益、職員の生命・身体・財産、税務行政の円滑な遂行等に大きな影響を及ぼすおそれがあると認められる事案
⑵ 事務処理関係原因事案
不適切な事務処理等に起因する事案であって、納税者の権利・利益や税務行政に対する信頼等に大きな影響を及ぼすおそれがあると認められる事案
⑶ 非行関係原因事案
職員の非行(その可能性があるものを含む。)に起因する事案であって、納税者の権利・利益や税務行政に対する信頼等に大きな影響を及ぼすおそれがあると認められる事案
3 平常時の取組
緊急対応事案に適切に対応できるよう、日頃から、緊急対応事案への対応の周知・徹底等に努める。
⑴ 緊急対応事案への対応の周知・徹底
緊急対応事案に適切に対応するため、管理職員は、緊急対応事案への対応の重要性や緊急対応事案の類型、緊急対応事案発生時(特に休日・夜間)の報告体制等について十分認識するとともに、部下職員に対して、会議・研修の場等を通じて周知・徹底する。
(注)管理職員とは、税務署(以下「署」という。)の統括官等、業務センター室
(以下「センター」という。)の主任国税管理官、国税局(沖縄国税事務所
(以下「沖縄所」という。)を含む。なお、センターは含まない。以下「局」という。)の課室等の長(以下「課長」という。)及び国税庁(以下「庁」という。)の課長をいう。
⑵ 緊急連絡先の整備
管理職員は、定期人事異動後速やかに、勤務時間中及び勤務時間外における緊急連絡先のリストを作成し、部下職員に緊急連絡先を周知するとともに、当該リストを庁・局・署の総務課に提出する。総務課は、各管理職員から提出された当該リストを取りまとめ、必要に応じ、関係する職員に緊急連絡先を周知する。
なお、緊急連絡先に変更があった場合には、管理職員は遅滞なく当該リストを更新し、総務課に提出する。
おって、災害発生時における連絡体制の整備等については、平成23年12月26日付官総7-61「『国税庁本庁災害対応マニュアル』の制定について」(事務運営指針)等(以下、「災害対応マニュアル等」という。)によることに留意する。
(注) センターにおける緊急連絡先は、各局災害対応マニュアルに基づいて整備することとする。
⑶ 緊急対応事案の未然防止に向けた取組
過去に発生した緊急対応事案について、その発生原因を分析・検討し、緊急対応事案の未然防止に向けた取組を行う。
4 緊急対応事案への対応
⑴ 情報の収集・共有及び迅速な報告の重要性
緊急対応事案発生時において、迅速かつ的確に組織としての対応策を決定するため、以下の点に留意する。
なお、管理職員は、緊急対応事案が発生した場合における対応責任者として、自ら情報の収集に努めるほか、部下職員に対し、迅速に報告するよう、また、報告の必要性について判断に迷う場合にはその旨相談するよう指導する。
また、局・庁の課室等の課長補佐(総括担当)等は、課長を補佐するとともに、課長不在時にはその職務を代理する。
イ 情報の収集
関係する部署がそれぞれにおいてより正確な情報を迅速に収集するよう努めるとともに、事案の類型に応じ、他省庁や地方自治体など関係行政機関等からの情報収集を行う。
ロ 情報の共有
下記4⑵《緊急対応事案発生時の報告体制》により、関係する部署間における連携を密にし、相互に情報を共有する。
特に、複数の部署が関係する場合には、署の総務課、センターの総括・監査グループ(コール・調査支援グループの単独設置センターにおいては、当該グループ)及び局・庁の総務課は、情報の集約に努めるとともに、関係する部署間において情報が適切に共有されるよう配意する。
ハ 迅速な報告
担当の職員が不在であったために報告が遅延することのないよう、例えば、課長に代わって課長補佐が報告を行う、不在であった幹部職員への報告をじ後に行うなど、組織全体として迅速な報告が行われるよう十分留意する。
また、休日・夜間に緊急対応事案が発生した場合には、上記3⑵で作成した緊急連絡先のリストに基づき報告する。
⑵ 緊急対応事案発生時の報告体制
緊急対応事案発生時には、原則として、以下の体制により報告を行う(別紙1- 1「緊急対応体制イメージ図(災害・犯罪関係原因事案及び事務処理関係原因事案)」、別紙1-2「センター用 緊急対応体制イメージ図(災害・犯罪関係原因事案及び事務処理関係原因事案)」、別紙2-1「緊急対応体制イメージ図(非行関係原因事案)」及び別紙2-2「センター用 緊急対応体制イメージ図(非行関係原因事案)」参照)。
なお、別表1「緊急対応事案類型別報告期限一覧表」に掲げる事案については、署又はセンターから局への報告は原則として事案発覚日の当日中に、また、局から庁への報告は原則として署又はセンターから報告を受けた当日中(局において発生した事案については原則として事案発覚日の当日中)に行うこととするよう努めることとし、同表に掲げる標準報告期限までに、第一報を庁の主管課長(センターで発生した事案の場合は参事官(内部事務センター化PT長)。以下同じ。)及び総務課長まで報告する。
ただし、納税者や税務行政等に及ぼす影響が極めて大きいと認められる場合など、直ちに対応を要するものについては、以下の体制や別表1の標準報告期限にかかわ らず、適切に対応する。
イ 署における報告体制
緊急対応事案を把握した職員は、所属する部門の統括官等を通じて当該事案に関する事務を所掌する主管部門第一統括官(その時点で不明の場合は総務課長)に報告する。報告を受けた主管部門第一統括官は、第一報を総務課長に報告し、その後速やかに署長に報告する。
また、主管部門第一統括官及び総務課長は、原則として署長の指示に基づき、それぞれ局の主管課長又は総務課長に第一報を報告する。ただし、直ちに対応を要するものについては、主管部門第一統括官及び総務課長は、署長の指示を待つことなく、速やかに第一報を局に報告する。その際、第一報は口頭による連絡でも差し支えない。
非行関係原因事案については、これによらず、緊急対応事案を把握した職員は総務課長に報告することとし、報告を受けた総務課長は、速やかに署長及び局の人事第二課長(東京局においては考査課長、沖縄所においては人事課長。以下同じ。)に報告する。ただし、別表1「緊急対応事案類型別報告期限一覧表」に該当する事案について、総務課長は原則として事案発覚日の当日中に局の総務課長にも報告する。
ロ センターにおける報告体制
緊急対応事案を把握した職員は、所属するグループの主任国税管理官を通じて総括・監査グループの主任国税管理官に報告する。報告を受けた総括・監査グループの主任国税管理官はその後速やかに統括国税管理官に報告する。
また、総括・監査グループの主任国税管理官は、原則として統括国税管理官の
指示に基づき、局の管理運営課長(内部事務センター化PT長。沖縄所において は企画調整官(内部事務センター化PT長)。以下同じ。)に第一報を報告する。ただし、直ちに対応を要するものについては、総括・監査グループの主任国税管 理官は、統括国税管理官の指示を待つことなく、速やかに第一報を局に報告する。その際、第一報は口頭による連絡でも差し支えない。
非行関係原因事案については、これによらず、緊急対応事案を把握した職員は総括・監査グループの主任国税管理官に報告することとし、報告を受けた総括・監査グループの主任国税管理官は、速やかに統括国税管理官及び局の人事第二課長に報告する。
(注) コール・調査支援グループの単独設置センターにおいては、当該グループの主任国税管理官が上記総括・監査グループの主任国税管理官と同様の役割を担う。以下同じ。
ハ 局における報告体制
緊急対応事案を把握した職員は、所属する課長を通じて当該事案に関する事務を所掌する主管課長(その時点で不明の場合は総務課長)に報告する。報告
(署・センターからの報告を含む。)を受けた主管課長(センターで発生した事案の場合は管理運営課長)は、第一報を総務課長に報告し、その後速やかに総務部長(沖縄所においては次長。以下同じ。)に報告するとともに、必要に応じ、局長(沖縄所においては所長。以下同じ。)に報告する。
主管課長及び総務課長は、原則として局長又は総務部長の指示に基づき、それぞれ庁の主管課長又は総務課長に第一報を報告する。ただし、直ちに対応を要するものについては、主管課長及び総務課長は、局長又は総務部長の指示を待つことなく、速やかに第一報を庁に報告する。その際、第一報は口頭による連絡でも差し支えない。
なお、主管課長は、事案の内容やこれまでの対応状況、署の主管部門第一統括官(センターで発生した事案の場合は総括・監査グループの主任国税管理官)及び関係課長と所要の調整を行った対処案等について、第一報に併せて又は第一報の報告後遅滞なく総務課長・総務部長(必要に応じて局長)及び庁の主管課長に報告するとともに、総務課長を通じて庁の総務課長に報告する。
おって、非行関係原因事案については、これによらず、緊急対応事案を把握した職員は人事第二課長に報告することとし、報告(署・センターからの報告を含む。)を受けた人事第二課長は、速やかに総務部長(必要に応じて局長)及び庁の人事課長に報告するとともに、必要に応じて総務課長、関係課長及び派遣首席監察官と情報共有するなど適切に対応する。さらに、別表1「緊急対応事案類型別報告期限一覧表」に該当する事案について、総務課長は原則として署から報告を受けた当日中(局において発生した事案については原則として事案発覚日の当日中)に庁の総務課長にも報告する。
また、非行関係原因事案を把握した総務課長、関係課長及び派遣首席監察官は、人事第二課長に情報提供し、局として情報共有する。
ニ 庁における報告体制
緊急対応事案を把握した職員は、所属する課長を通じて当該事案に関する事務を所掌する主管課長(その時点で不明の場合は総務課長)に報告する。報告(局からの報告を含む。)を受けた主管課長は、第一報を総務課長に報告するとともに、必要に応じて次長・長官に報告する。
なお、主管課長は、事案の内容やこれまでの対応状況、局の主管課長及び関係課長と所要の調整を行った対処案等について、第一報に併せて又は第一報の報告後遅滞なく総務課長(必要に応じて次長・長官)に報告するものとする。
おって、非行関係原因事案については、これによらず、緊急対応事案を把握した職員は人事課長に報告することとし、報告(局からの報告を含む。)を受けた人事課長は、必要に応じて次長・長官に報告するほか、総務課長、関係課長及び首席監察官と情報共有するなど適切に対応する。ただし、別表1「緊急対応事案類型別報告期限一覧表」に該当する事案について、主管課長は同表に掲げる標準報告期限までに、第一報を総務課長まで報告する。
また、非行関係原因事案を把握した総務課長、関係課長及び首席監察官は、人事課長に情報提供し、庁として情報共有する。
ホ 関係課長等への報告・連絡
署の主管部門第一統括官又はセンターの総括・監査グループの主任国税管理官及び局・庁の主管課長は、署の関係部門統括官等又は局・庁の関係課長に、事案の類型に応じ、関係行政機関等に事案の内容や対応状況等について連絡する。
なお、例えば、別表2「緊急対応事案類型別関係課一覧表」の①から⑩に掲げる事案については、関係課長と一体となって対応を検討する観点から、それぞれの区分に応じて、署の総務課長及び局の主管課長は局の関係課長に、局の関係課長及び庁の主管課長は庁の関係課長に報告する。
また、別表2「緊急対応事案類型別関係課一覧表」の⑪から⑬に掲げる事案については、それぞれの区分に応じて、局・庁の主管課長は、局・庁の関係課長に連絡する。
おって、非行関係原因事案については、これによらず、署の総務課長又はセンターの総括・監査グループの主任国税管理官は派遣首席監察官に、派遣首席監察官は首席監察官に速やかに報告する。
ヘ 本省等への報告・連絡
庁の総務課長又は主管課長は、必要に応じ、本省の文書課長又は関係課長に報告・連絡を行い、特に、別表2「緊急対応事案類型別関係課一覧表」の①、③、
⑦及び⑧については、次に掲げる対応を行う。
(イ)別表2「緊急対応事案類型別関係課一覧表」の①の職員関係事案については、庁の人事課長は、事案に応じ、本省の官房長、秘書課長、文書課長等との間で 適切に連絡を取ることとする。
また、非行関係原因事案についても、①の職員関係事案と同様の対応を行う。
(ロ)別表2「緊急対応事案類型別関係課一覧表」の③の庁舎関係事案(庁、税大霞が関事務室、審判所本部において発生したものに限る。)については、庁の
会計課長は、必要に応じ、本省の会計課長、文書課長、広報室長に報告する。
なお、上記③以外の庁舎関係事案については、庁の会計課長は、事案に応じ、本省の官房長、会計課長、文書課長等との間で適切に連絡を取ることとする。
(ハ)別表2「緊急対応事案類型別関係課一覧表」の⑦の個人情報の漏えい(紛失、盗難等を含む。)及び納税者情報の私的利用など個人情報保護法・番号法に違 反する又は違反するおそれのある事案については、庁の情報公開・個人情報保 護室長は、事案に応じ、関係省庁等に報告するとともに、本省の情報公開・個 人情報保護室長との間で適切に連絡を取ることとする。
なお、番号法違反の事案の発生又は発生のおそれを把握した場合には、庁の情報公開・個人情報保護室長は、事実関係及び再発防止策等を講じた上で、速やかに個人情報保護委員会に報告する。
また、個人情報の保護に関する法律施行規則(平成28年個人情報保護委員会 規則第3号)第43条各号に規定する「個人の権利利益を害するおそれが大きい もの」又は行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関す る法律第二十九条の四第一項及び第二項に基づく特定個人情報の漏えい等に関 する報告等に関する規則(平成27年特定個人情報保護委員会規則第5号)第2 条各号に規定する「個人の権利利益を害するおそれが大きいもの」に該当する システム上での漏えい等事案、100人超の漏えい等事案及び財産的被害の生じる おそれのある漏えい等事案などの発生若しくは発生のおそれが発覚した時点で、庁の情報公開・個人情報保護室長は、直ちにその第一報を個人情報保護委員会 に報告する。
(ニ)別表2「緊急対応事案類型別関係課一覧表」の⑧の部外者からの不自然な働きかけ等による情報漏えい事案については、庁の総務課長は、事案に応じ、本省の文書課長との間で適切に連絡を取ることとする。
⑶ 緊急対応事案の対応策の検討・指示・実施等イ 緊急対応事案の対応策の検討・指示・実施
緊急対応事案に適切に対応するため、報告された情報を基に、関係する部署が一体となって、適時かつ的確に組織としての対応策を決定し、当該対応策を実施するよう努める。
そのため、署の主管部門第一統括官及び局・庁の主管課長は相互に、また必要に応じて総務課長及び関係課長と協議の上、対応策について検討・決定し、当該対応策を実施する。
センターで発生した事案の場合は、センターの総括・監査グループの主任国税管理官及び局の管理運営課長・庁の参事官は相互に、また局の管理運営課長・庁の参事官は必要に応じて局・庁の総務課長及び関係課長と協議の上、対応策について検討・決定し、当該対応策を実施するとともに、センターの総括・監査グループの主任国税管理官は必要に応じて対象署の主管部門の第一統括官と情報共有を行う。
なお、対象署の主管部門の第一統括官及び総務課長は、センターで発生した事案について対応を行った場合についても、上記4⑵イに基づき、報告を行うこと
に留意する。
また、複数の部署が関係する場合には、署の総務課長又はセンターの総括・監査グループの主任国税管理官及び局・庁の総務課長は、対応策の取りまとめを行うとともに、相互に、また必要に応じて関係課長に連絡し、当該対応策の実施の徹底を図る。
おって、非行関係原因事案については、これによらず、署の総務課長、局の人事第二課長及び庁の人事課長が中心となって対応する。
ロ 事案の確実な進行管理
署の主管部門第一統括官及び総務課長(センターにおいては総括・監査グループの主任国税管理官)、局の主管課長及び総務課長、並びに庁の主管課長は、事案の進行に応じて、対応状況やてん末について、上記4⑵《緊急対応事案発生時の報告体制》に準じて報告する。
また、署においては総務課長(センターにおいては総括・監査グループの主任国税管理官)、局においては総務部長、庁においては総務課長(非行関係原因事案については人事課長)が、事案の完結まで、確実に進行管理を行う。
5 その他の留意事項
⑴ 緊急対応事案に起因して発生した苦情等への対応について
緊急対応事案に起因して発生した苦情等については、本事務運営指針及び平成14年9月27日付官総1-47「苦情等処理要領の制定について」(事務運営指針)に基づき適切に対応する。
⑵ 申告書等の所在不明事案への対応について
法令により納税者等からの提出が義務付けられている申告書、申請書、届出書等の行政文書(以下「申告書等」という。)の所在不明が判明した場合には、当該申告書等の提出者等に事情を説明の上、当該申告書等の写しの提出を依頼する等、更正処分等を行うことができる状態に復する。
⑶ 大規模災害への対応について
大規模災害発生時には、災害対応マニュアル等に基づき適切に対応する。
⑷ 部外者からの不自然な働きかけ等による情報漏えい事案への対応について
部外者からの不自然な働きかけ等による情報漏えい事案については、本事務運営指針及び「カウンターインテリジェンスに関する規則について」(平成20年4月1日付財文第90号)に基づき適切に対応する。また、当該事案の発生時の報告に当たっては、当該規則において定める様式により適切に行う。
⑸ 派遣監督評価官及び派遣首席監察官の対応
派遣監督評価官は事務監察の観点から、派遣首席監察官は非行監察の観点から、必要に応じそれぞれ速やかに事案の発生した部署に臨場し、実態解明に努める。
⑹ 国家賠償法(昭和22年法律第125号)に基づく求償権の存否の判断について
求償権の存否を判断するに当たっては、上記2⑵事務処理関係原因事案及び⑶非行関係原因事案の処理に準拠して対応するとともに、必要に応じて、顧問弁護士、予防司法支援制度などを活用し、法令、判例等を踏まえた法的観点からの専門的意
見又は助言を聴取した上で検討するとともに、庁人事課服務第1係(服務関係)及び庁総務課調整第1係(予防司法支援制度関係)と適宜調整し、適切に対応する。
6 再発防止に向けた取組
署の主管部門第一統括官又はセンターの総括・監査グループの主任国税管理官及び局・庁の主管課長(課税部全般に関係する問題があると認められる事案については課税総括課長を含む。)は、緊急対応事案完結後速やかに、当該事案の発生原因を確実に究明・分析するとともに、事務運営上等の問題点について調査・検討し、実効性のある再発防止策を講じる。また、必要に応じ会議等を開催し、各職員・各署・各センター・各局に注意喚起及び当該再発防止策の周知を行うなど、再発防止に向けた取組を行う。
また、署・局・庁の総務課長(センターの場合は総括・監査グループの主任国税管理官)は、必要に応じ、緊急対応事案発生時の報告体制等について検証し、改善すべき事項が把握された場合には、必要な措置を講じる。




別表1
緊急対応事案類型別報告期限一覧表
| 報告を要する事案 | 標準報告期限 (第一報) | |
| 現金過不足等 | ||
| 現金領収金額の過不足・亡失 | 翌日 ま で | |
| 情報漏えい等 | ||
| 庁舎外に持ち出した行政文書(公表文書を除き、情報処理機器及び情報記録媒 体を含む。以下同じ。)等の紛失、置き忘れ、盗難 | 翌日 ま で | |
| 納税者等から受領した書類(一時的に借用したものを含む。)の紛失、置き忘 れ、盗難 | 翌日 ま で | |
| 納税者を取り違えた処分・指導 (例)同姓同名の別人に対する差押え | 翌日 ま で | |
| 行政文書等(公表文書を除く。)のインターネット等への流出 | 翌日 ま で | |
| 外部委託業者による契約に違反した行為(保管・複製・再委託等)及び業務上 における事故等に伴う情報流出等 | 翌日 ま で | |
| 納税者情報の誤発送・誤交付(未開封のもの及び納税者の特定の可否にかかわらず組織外に流出したものを含む。) ※ 郵便局職員による誤配送等当局に責任のないものを除く。 | 3日目まで | |
| 納税者情報の私的利用 (例)国税情報システムの私的検索 | 3日目まで | |
| 所在不明等 | ||
| 行政文書の所在不明・誤廃棄・き損 | 3日目まで | |
| 事務処理誤り・遅延 | ||
| 同一の納税者に対して事務処理を2回以上誤った事案 | 翌日 ま で | |
| 不適切な事務処理に起因して、10 人以上と認められる納税者の権利・利益に影響を与えた事案 (例)地方税当局への閲覧・回付漏れ | 翌日 ま で | |
| 同様の事務処理誤りが他局・他署においても発生すると想定される事案 (例)システムを利用した事務処理誤り | 翌日 ま で | |
| 不適切な事務処理等に起因して更正・決定の除斥期間その他の処理期限を徒過した事案のうち対応を要する事案 (例)国家賠償による対応を要する事案 | 3日目まで | |
| 違法な処分を行ったことが明らかである事案 (例)処理期限徒過後の更正・決定等の処分 | 3日目まで | |
(注)1 上記期限にかかわらず、署又はセンターから局への報告は原則として事案発覚日の当日中に、また、局から庁への報告は原則として署又はセンターから報告を受けた当日中(局において発生した事案については原則として事案発覚日の当日中)に行うよう努めることとする。
なお、標準報告期限(第一報)において、「翌日まで」とあるのは、事案発覚日(担当者が事案の発生を認識した日をいう。以下同じ。)の翌稼働日を報告期限とし、「3日目まで」とあるのは、事案発覚日から 3日目の稼働日を報告期限とする(例:木曜日に発覚した事案については、月曜日が報告期限となる。)。
2 第一報については、文書でも口頭でも可とし、口頭の場合は、その後速やかに文書で報告する。 3 納税者や税務行政等に及ぼす影響が極めて大きいと認められる場合など、直ちに対応を要する事案
(例:報道が想定される事案)については、上記の期限にかかわらず速やかに報告するものとする。
4 その他、一覧表に該当しない事案についても、早期に報告が必要と判断される事案については適時報告する。
別表2
緊急対応事案類型別関係課一覧表
| 事案の類型 | 局関係課 | 庁関係課 | |
| ① | 職員関係事案(注1) | 人事第二課(東京局においては考査課、沖縄事務所においては人事課) | 人事課 |
| ② | 災害・犯罪関係原因事案又は事務処理関係原因事案のうち人事課等に報告等を行う必要がある と認められる事案 | ||
| ③ | 庁舎関係事案(注2) | 会計課又は営繕監理官 | 会計課 |
| ④ | 職員厚生事案(注1(1)) | 厚生課(沖縄事務所にお いては会計課) | 厚生管理官 |
| ⑤ | 職員宿舎関係事案(注1(2)) | 厚生課及び営繕監理官 又は会計課 | 厚生管理官及び 会計課 |
| ⑥ | 情報システムの管理等に関する事案 | 情報システム課(東京局及び大阪局においては 情報システム第一課) | 参事官(情報システム担当) |
| ⑦ | 個人情報の漏えい(紛失、盗難等を含む。)及び納税者情報の私的利用など個人情報保護法・番号法に違反する又は違反するお それのある事案 | - | 情報公開・個人情報保護室 |
| ⑧ | 部外者からの不自然な働きかけ 等による情報漏えい事案(注3) | - | 各部筆頭課 |
| ⑨ | 報道機関から取材を受ける可能 性があると認められる事案 | 国税広報広聴室(沖縄事務所においては国税広報広聴官) | 広報広聴室 |
| ⑩ | 納税者等に対する広報等が必要 であると認められる事案 | ||
| ⑪ | 事務運営の改善等を検討する余 地があると認められる事案 | 派遣監督評価官 | 監督評価官室 |
| ⑫ | 納税者等から、苦情等が寄せら れる可能性が高い事案 | 納税者支援調整官及び 税務相談室 | 主任税務相談官 |
| ⑬ | 課税部全般に関係する問題とし て検討が必要であると認められる事案 | 課税総括課 | 課税総括課 |
(注)
1 職員関係事案は、次に掲げる、災害・犯罪関係原因事案のうち職員の生命、身体、財産等に大きな影響を及ぼすおそれがあると認められる事案とする。
- 職員厚生事案・・・職員の衛生・医療その他福利厚生に関する事案
- 職員宿舎関係事案・・・職員宿舎に関する事案
- 職員傷害事件・・・職務の遂行に関連し納税者等から職員が傷害等を受けた事案
- その他職員関係事案・・・(1)から(3)に掲げる事案を除く職員に関係する事案
2 庁舎関係事案は、次に掲げる事案とする。
- 庁舎内発生事案・・・災害・犯罪関係原因事案のうち庁舎内で発生した事案
- 庁舎内紛失事案・・・事務処理関係原因事案のうち庁舎内で発生した行政文書等
物品等の紛失事案
- その他庁舎関係事案・・・災害・犯罪関係原因事案のうち庁舎・設備等に関する事案
3 部外者からの不自然な働きかけ等による情報漏えい事案は、国税庁の職員以外の者からの職員に対する不自然な働きかけ等の不審な動向により職務上知ることのできた秘密を漏らすことにつながるおそれのある事案とする。
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