国税庁の「令和6年度 査察の概要」(令和7年6月)の記者レク用資料の紹介です。
国税庁は毎年「査察の概要」を公表し、悪質な脱税者に対する刑事告発の状況を明らかにしています。令和6年度は検察庁への告発件数が98件、脱税総額は82億円に達しました。
📌 消費税の不正受還付、確定申告を怠った無申告事案、海外口座を利用した国際事案など、複雑化する脱税手口への対応が進められています。
例年告発上位の建設業、不動産業のほか、昨今の社会経済情勢(SNSなどインターネットを介したプラットフォームの普及による市場規模の拡大、匿名性の高いオンラインの取引環境)を背景に、アフィリエイト収入やライブ動画などの配信事業者ネットオークション・フリマサイトによる販売事業者など多岐にわたる業種を告発しています。
さらに、査察事件の一審判決99件すべてで有罪となり、そのうち13人に実刑判決が下されました。
- 査察制度の目的と役割
- 令和6年度に告発された具体的事例
- 不正資金の隠匿場所の実態
をわかりやすく紹介します。税務の現場でのリアルな攻防を知ることで、納税コンプライアンスの重要性を実感できるでしょう。
🔐 本記事では、
査察の概要の記者発表の目的と発表方法
「査察の概要」の記者発表は、国税庁が、査察部門の一年間の取組結果を広く国民一般に周知し、租税犯罪の一般予防、納税道義の向上及び税務行政への信頼確保など、公益を図ることを目的として実施しているものです。
記者発表の方法は次のとおりです。
・国税庁記者クラブ及び潮見坂記者クラブ等に対して記者レク
・査察課長へのテレビインタビュー
・国税庁ホームページに記者発表資料を掲載
・都市4局(東京・大阪・名古屋・関東信越国税局)において、局毎に作成した記者発表資料を投込み
・「令和6年度査察の概要」の国税庁HP掲載について、X(旧ツィッター)及びメールマガジンでも配信し周知する。
「令和6年度 査察の概要」の概要
国税庁が公表している「令和6年度 査察の概要」には次のような記載があります。
査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。
国税査察官は、経済取引の広域化、デジタル化、国際化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。
【令和6年度の取組】
○ 検察庁に告発した件数は98件、脱税総額(告発分)は82億円
悪質な脱税者に対して厳正な査察調査を実施し、98件を検察庁に告発しました。
告発した査察事案に係る脱税総額は82億円であり、1件当たりの脱税額は84百万円でした。告発率は65.3%となりました。
○ 消費税事案、無申告事案、国際事案のほか、社会的波及効果の高い事案を積極的に告発
消費税事案では、高級腕時計の輸出販売を装うため、インターネットで購入した安価な腕時計を用意し高価な腕時計を購入したとする領収証等を作成して、架空の課税仕入れ及び架空の輸出免税売上げを計上していた事案などの不正受還付事案のほか、トレーディングカードの販売に係る課税売上げを申告から除外して、
納めるべき消費税を免れた事案などを告発しました。
また、自身が代表を務める法人の自己保有株式の譲渡収入を得ていた者や、動画配信サイトの運営会社から使用料収入を得ていた者が確定申告書を提出しなかった事案などの無申告事案を告発しました。
そのほか、海外法人が運営する医薬品等のインターネット販売事業に係るコンサルティング報酬を海外預金口座で留保する方法により所得税を免れていた国際事案や、脱税指南者が給与所得者に対し源泉所得税の還付を指南した事案などの社会的波及効果の高い事案を告発しました。
【令和6年度中の判決状況】
○ 一審判決99件全てに有罪判決が言い渡され、13人に対して実刑判決
実刑判決のうち、消費税法違反を含むものは7人、査察事件単独で最も重いものは懲役2年6月、他の犯罪と併合されたものは懲役9年でした
参考計表として次の記載があります。






「令和6年度 査察の概要」記者レク用資料
以下、上記の公表資料にはない記者レク用資料から、ポイントと不正資金の隠匿場所等の写真のご紹介です。
令和6年度査察の概要」のポイント
〇令和6年度の査察事績は、検察庁に告発した件数は98件、脱税総額(告発分)は82億円、1件当たりの脱税額は84百万円、告発率は65.3%と、前年度とほぼ同水準。
〇国庫金の詐取ともいうべき消費税不正受還付事案について、過去5年で最多の17件を告発。
〇査察制度の目的に鑑み、特に、以下のような、消費税事案、無申告事案、国際事案、時流に即した事案などの社会的波及効果が高いと見込まれる事案を重点事案として積極的に取り組んだ。
・高級腕時計の輸出販売を装うため高価な腕時計を購入したとする領収証を偽造することにより消費税の還付を不正に受けた消贄税事案
・自身が代表を務める法人の自己保有株式の譲渡収入を得ていた者が確定申告書を提出しなかった無申告事案
・コンサルティング報酬を海外預金口座で留保する方法により所得税を免れていた国際事案
・脱税指南者が給与所得者に対し源泉所得税の還付を指南した事案、その他医療、税理士・弁護土、太陽光、芸能事務所事案などの社会的波及効果が高い事案
〇令和6年度中の一審判決99件全てにおいて有罪判決。そのうち13人に対して実刑判決が出され、消費税法違反を含むものは半数以上の7人

(説明)
① 令和6年度の査察事績は、前年度とほぼ同水準。
② 国庫金の詐取ともいうべき消費税不正受還付事案について、過去10年間で最多の17件を告発するなど、社会的波及効果の高い事案を積極的に告発。

③ 国際事案への対応については、
租税条約等に基づく外国当局に対する情報提供要請をこれまで以上に積極的に行っているほか
. 昨年5月には、OECD各国等の租税・金融犯罪調査当局が執行面の議論を行う枠組み「租税犯罪タスクフォース(TFTC)」の議長に武田調査査察部長が就任し、各国当局とのネットワーク強化や脱税傾向・捜査手法の共有にも一層取り組んでいる。
④ 例年告発上位の建設業、不動産業のほか、以下のとおり、昨今の社会経済情勢(SNSなどインターネットを介したプラットフォームの普及による市場規模の拡大、匿名性の高いオンラインの取引環境)を背景に、多岐にわたる業種を告発。
・アフィリエイト収入やライブ動画などの配信事業者ネットオークション・フリマサイトによる販売事業者

⑤ 近年の経済取引のデジタル化や国際化に伴い、大量のデータを解析する必要がある事案や国境をまたいだ取引を行っている事案なども見受けられるところ、令和7年度においては、引き続き、デジタルフォレンジック技術を用いた証拠収集技術の研鑽や、外国当局との関係を強化し、租税条約等に基いて外国当局から入手した情報の有効活用に努めていく。
⑥ 適正に納税している人との間に不公平感を生む結果を抱かせないよう、査察の使命を果たしていく。
〇査察事績が前年よりも減少した点について記者から問われれば、次のとおり回答。
・多種多様な業種業態に調査を行っていること、
・取引先が近いものもあれば海外などの遠隔地であるものなど様々であること、
など、個別性が強いため、その理由を一概に述べることは困難。
脱税によって得た不正資金の隠匿場所
► 隠匿事例1 :物置内の金庫

► 隠匿事例2: 室内に置かれたスーツケース①

► 隠匿事例3 :室内に置かれたスーツケース②

► 隠匿事例4: 室内に置かれたスーツケース③

► 隠匿事例5 :室内に置かれたスーツケース④
