以下は要約版です。資料には黒塗り部分もあります。正式には必ずダウンロード資料をご確認ください。
🤖AI調査選定システム「RIN」とは何か
「相続税選定支援ツール RIN」は、AI搭載の調査選定支援システムです。従来は税務職員の経験と勘に頼っていた調査対象の選定を、データ分析により科学的・効率的に行うことを目的としています。
RINは「選定補助」ツールであり、最終判断は税務職員が行います。しかし、RINが「高リスク」と判定した事案は、調査対象となる可能性が高いです。
- AIが申告内容・資産状況・調査履歴など7要素からリスクスコアを算出
- 最終選定は人間が行うが、高リスク判定=調査対象になりやすい
- 令和7年版から相続税・贈与税への本格適用が拡大
🎯令和7年度の調査方針:3つの重点課題
- ▶海外資産保有者
- ▶国外財産調書提出者
- ▶海外送金記録がある納税者
- ▶CRS情報(自動的情報交換)該当者
海外資産関連事案は全件、局資産課税課への報告対象
- ▶課税部事案名簿閲覧システムに登載された者
- ▶一定基準以上の資産保有者
- ▶調査着手前に局への事前連絡が必須
局と署が連携した徹底調査
- ▶申告要否検討表の活用
- ▶RIN情報による無申告リスク判定
- ▶署内外資料からの課税見込み検討
AIによる潜在的無申告事案の掘り起こし
- 海外資産は全件が局報告対象。CRS・国外財産調書・海外送金記録がチェックされる
- 富裕層名簿登載者は調査着手前から局への事前連絡が義務付けられている
- 無申告はRINが自動でリスク判定し、申告要否検討表も活用して掘り起こす
📊リスクスコアと優先度判定の仕組み
RINは以下の7つの要素を分析してリスクスコアを算出します(p.31-32)。
本件資料では黒塗り部分があるため、以下は資料等に基づき想定されるものを挙げています。
- ①申告内容の整合性 財産計上漏れ・評価誤りの有無
- ②財産評価の適正性 路線価・評価額の妥当性
- ③過去の調査履歴 過去の指摘事項・追徴実績
- ④資料情報との突合 支払調書・登記情報等との照合
- ⑤生前の所得状況 蓄積可能な財産規模の推計
- ⑥相続人の属性 職業・収入・申告状況
- ⑦外部情報 登記・金融機関照会・CRS情報等
- スコアが高いほど調査優先度が上がり、実地調査に移行しやすい
- 申告内容の正確性・証拠書類の整備がスコアを下げる最大の対策
- 外部情報(登記・金融機関・CRS)との突合が自動化されている点に注意
🔍調査手法の実態
税務署が実地調査前に事前に行う調査。資料等に基づいて記載しています。
- 1金融機関への一斉照会
- 全国の主要金融機関に照会
- 被相続人・相続人名義の口座確認
- 過去10年分の取引履歴取得
- 2登記情報の確認
- 不動産登記簿の確認
- 所有権移転履歴の精査
- 担保設定状況の確認
- 3蓄積資料の確認
- 過去の申告情報・資料せん(支払調書等)
- 他の税務調査からの情報
- 4ネガティブチェックシートによる減額要素確認
- 地積規模の大きな宅地該当性
- 災害特定地域該当性
- 各種控除適用漏れ
- ▶自宅金庫・貸金庫の中身
- ▶書画・骨董品
- ▶貴金属・宝飾品
- ▶重要書類の保管状況
- ▶被相続人の趣味嗜好
- ▶海外渡航歴
- ▶過去の相続・贈与
- ▶生前の資産運用状況
- ▶相続人の収入・資産状況
- ❌多額の現金・貴金属保有が見込まれる
- ❌証拠隠滅のおそれ
- ❌反社会的勢力との関連
- ❌過去に調査拒否・非協力の履歴
- ▶「事前通知を要しない調査の適否検討表」を作成
- ▶署長までの決裁が必要
- 準備調査では金融機関10年分の取引履歴が取得される
- 臨宅では金庫・骨董品・貴金属等の現物確認と生前資産運用の聞き取りが行われる
- 無予告調査は署長決裁が必要だが、一定条件下では事前連絡なしに訪問される
📄机上調査と実地調査の違い
| 項目 | 机上調査(p.37-39, 別紙18) | 実地調査 |
|---|---|---|
| 接触方法 | 電話・文書照会、来署依頼、郵送資料提出 | 自宅・事業所への直接訪問 |
| 反面調査 | 可能(金融機関調査・取引先照会) ※過度な事務量投下は避ける | 可能 |
| 事前通知 | 原則不要 | 原則必要(無予告除く) |
| 移行条件 | 接触拒否・対面必要・書面回答に不審点 → 実地調査へ移行(改めて事前通知が必要) | |
机上調査から実地調査に移行する場合、改めて事前通知が必要です。机上調査でも金融機関・取引先への照会(反面調査)は実施されます。
🌐国際関係編の要約
東京国税局が令和7年度に策定した海外資産関連事案の調査実施要領。CRS情報(自動的情報交換)、国外送金等調書、国外財産調書を活用し、海外資産の申告漏れを重点的に調査する方針を明記しています。
- ①海外資産の相続・贈与・譲渡
- ②被相続人・贈与者・譲渡人が非居住者
- ③海外資産等の資料情報あり
- ④その他海外資産関連が見込まれる事案
- ▶調査選定は署国際官(国際税務専門官)が主導
- ▶RINシステムと「海外資産関連事案リスト」を活用
- ▶相続税は令和5年以降開始分を対象。5月末までに1次・2次選定と局国際官との協議(選定会議)を実施
- ▶調査完了時は「海外資産関連事案の連絡シート」で局に報告義務あり
📋 まとめ:AI税務調査・RIN対策の実務チェックポイント
- RINは7要素でリスクスコアを算出し、調査優先度を自動判定する
- 令和7年度の3大重点課題は国際化・富裕層・無申告
- 海外資産保有者は全件が局資産課税課への報告対象
- 準備調査では金融機関10年分の取引履歴が取得される
- 臨宅では現物確認+生前資産運用の聞き取りが行われる
- 机上調査でも金融機関・取引先への照会(反面調査)が実施可能
- AIリスクスコアを下げる鍵は申告内容の正確性と証拠書類の整備
本記事は東京国税局「資産税各税の実地調査事務等の実施要領(令和7年版)」の内容に基づいて解説しています。詳細・個別事案については所轄税務署または税理士にご確認ください。
- QAI税務調査の選定システム「RIN」とはどんなシステムですか?
- A
RIN(相続税選定支援ツール)は、申告内容・財産評価・過去の調査履歴・外部情報など7つの要素からリスクスコアを算出し、追徴税額が見込める事案を自動で優先順位付けするAI搭載システムです。最終判断は税務職員が行いますが、RINが「高リスク」と判定した事案は調査対象となる可能性が高まります。
- QAI税務調査で調査対象に選ばれやすいのはどんなケースですか?
- A
令和7年版の実施要領では、①海外資産保有者・CRS情報該当者、②富裕層として課税部事案名簿に登載された者、③申告要否検討表やRINによって無申告リスクが高いと判定された者、の3つが重点課題です。RINのリスクスコアが高い事案ほど調査優先度が上がります。
- QAI税務調査に備えて税理士や納税者は何をすべきですか?
- A
RINの選定ロジック(資料では不開示であるので、想定されるのは、例えば、申告内容の整合性・財産評価の適正性・資料との突合など)を踏まえ、申告内容の正確性確保と証拠書類の整備が最重要です。特に海外資産・名義財産・生前贈与の把握と適切な申告が、AIによるリスクスコアを下げる鍵になります。
