本記事では、国税庁が財務省主税局に対して提出した「平成31年度税制改正意見」の内容を整理し、主要な改正意見について紹介します。
国税庁では、納税者の利便性の向上や適正・公平な課税・徴収を実現する観点から、制度上の対応(税制改正)が必要と考えられる事項について意見を申入れています。これらの意見は、主税局との事務的な調整を経た後、与党税制調査会で審議され、毎年度の税制改正大綱に反映されます。
税務実務のトレンドを読み解く上で、過去の「税制改正意見」を振り返ることは非常に重要です。なぜなら、そこには「国税庁がいま、何を問題視し、どのような課税権限を欲しているのか」という本音が凝縮されているからです。
本記事で取り上げる「平成31年度(2019年度)税制改正意見」は、その後の実務を大きく変えた「国外不動産所得の損益通算規制」や「帳簿保存義務」が提案された歴史的な回です。しかし一方で、公益法人の課税範囲拡大や一般的租税回避否認規定(GAAR)の導入など、現在に至るまで実現していない、あるいは慎重な議論が続いている項目も少なくありません。
本記事では、全34項目のリストとともに、主要な14項目の要旨をまとめました。
詳細な資料のダウンロードも可能ですので、ぜひ実務の事前準備にお役立てください。
(参考) スケジュール
主に8月下旬主税局に対する当庁意見の提出
9~10月主税局との事務的な調整
11月上旬~ 与党税制調査会(当庁意見を踏まえた改正事項は「納税環境整備」の分野で議論)
12月上中旬与党税制改正大綱
12月中下旬政府税制改正大綱(閣議決定
平成31年度税制改正意見 34項目リスト
所得税法関係
- 必要経費及び損金の額の算定における帳簿及び請求書等の保存義務規定の新設
- 源泉徴収税額相当額の納税の確保
- 第三者作成書類の提出不要化
- 確定申告書の記載事項の簡素化
- クレジットカード決済等の電子的な取引に係る調書提出制度の創設
- 仮想通貨交換業者を通じて行った仮想通貨の交換取引に係る調書提出制度の創設
- 給与所得の源泉徴収票の提出省略基準の見直し
- 措置法第40条の非課税承認に関する処分権者の見直し
- 国外不動産に係る不動産所得の適正化
相続税法関係
- 配偶者居住権(及び配偶者居住権に基づく敷地利用権)の評価方法の新設
- 同族会社等の行為計算否認規定の見直し
法人税法関係
- 公益法人等に係る課税所得の範囲拡大
- ???
- 「連結納税の承認申請関係書類の提出先の一元化」の対象書類の拡大
- 設立届出書に係る添付書類の削減
- 特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却等の見直し
- 特定の医療法人の法人税率の特例制度における承認申請事務の見直し
間接諸税関係
- 課税売上割合の見直し(高額資産を利用した恣意的な計算への対応)
国税通則法関係
- 情報収集権限の整備
- 国外の関連者が保存する帳簿書類等の提示・提出要求
- 租税回避スキーム報告制度の導入
- 一般的租税回避否認規定の導入
- 相続による納付義務の承継の見直し
- 無申告加算税の不適用制度に係る所得税の期限後申告書の提出期間の延長
- 無申告加算税の割合の引上げ
- 事前通知方法の見直し
国際課税関係
- 外国子会社配当益金不算入制度の見直し
- 外国子会社から受ける配当等に係る外国源泉税等の損金不算入措置の整備
- 無形資産取引に係る移転価格税制の整備
- 控除対象外国法人税の額から除かれるものの範囲の見直し
その他
- 新たに事業を開始した者の電子帳簿の承認申請期限の整備
- 揮発油税等の申告の電子化
- ダイレクト納付利用届出書のオンライン提出化
- マイナポータルを利用して法人設立関係書類等を送信する者の電子署名等の省略
平成31年度税制改正意見 主要項目の要約
【1】必要経費及び損金の額の算定における帳簿及び請求書等の保存義務規定の新設
【改正意見】 所得税法第37条及び法人税法第22条第3項の損金の額への算入要件として、「帳簿及び請求書等の保存」を要件とする旨の規定を新設する。
【理由】
- 帳簿及び請求書等の保存のない納税者に対する課税処分において、申告されていない収入に係る必要経費であっても考慮する必要があるが、帳簿等の保存が無い状態で単に経費等の支払いがある旨の主張が繰り返され、調査が長期化する事例が少なくない
- 意図的に帳簿や請求書等を破棄する者が存する現状を踏まえ、消費税法第30条第7項の規定と同様に、帳簿及び請求書等の保存を算入要件とすべき
- 当該規定を新設することにより、帳簿等の保存のない納税者が必要経費又は損金の計上を主張する際には、その立証責任が納税者側に生じることとなる
【6】仮想通貨交換業者を通じて行った仮想通貨の交換取引に係る調書提出制度の創設
【改正意見】 資金決済法第二条第八項に規定する仮想通貨交換業者を通じて仮想通貨の売買取引を行った者及び仮想通貨保有者について、交換業者に対し、調書の提出を新たに義務付ける。
【理由】
- 平成29年4月施行の改正資金決済法により仮想通貨及び仮想通貨交換業が定義され、平成30年4月現在で登録業者は16社、仮想通貨市場は今後も拡大が見込まれる
- 平成29年度の国内取引量は、現物取引12.7兆円、証拠金・信用・先物取引56.4兆円、顧客数は350万人に達している
- 仮想通貨は、手数料が少額、匿名性が高く、資産の隠匿目的やマネーロンダリング、大幅な価格変動による投機目的等に利用されることが想定されるが、既存の法定調書の対象となっていない
- 仮想通貨と本邦通貨の交換は交換業者が提供する販売所や取引所で行われることから、適正・公平な課税の確保を図るため、仮想通貨と本邦通貨の交換取引及び仮想通貨の年末保有残高等について法定調書の提出を義務付ける必要がある
【8】措置法第40条の非課税承認に関する処分権者の見直し
【改正意見】 現行、措置法第40条の非課税承認に関する処分権者は国税庁長官のみであるが、申請事案の性質に応じて、国税庁長官が、その処分権限を国税局長又は税務署長に委任できることとする改正を行う。
【理由】
- 現行、全ての申請事案について署局の審査を経て庁に進達され、その後、庁での審査を経て非課税承認についての処分を行っていることから、申請から承認までの平均審査期間は、おおむね1年数か月となっている
- 公益法人等に対する寄附を促進する観点から、審査期間の短縮を求める声も多い
- 審査事務は昭和43年に非課税承認権者が大蔵大臣から国税庁長官に移管されて以降、署局庁の3層で実施してきたことから、署局における審査体制も十分に確立されており、先例がない事案などを除く大部分の申請事案については署局において適切に審査を行うことが可能
- 国税庁長官が処分権限を申請事案の性質に応じて国税局長又は税務署長に委任することにより、事務の効率化及び審査期間の短縮化を図ることが期待できる
【9】国外不動産に係る不動産所得の適正化
【改正意見】 国外に存する不動産(国外不動産)に係る不動産所得について適正化を図る。
【理由】
- 海外の本社や親会社等に所属し、転勤等の理由で日本に派遣されている社員が多数存する中、これらの者の申告において、国外不動産の賃貸によって生じた多額の減価償却費により不動産所得に損失が生じたとして、当該損失を給与所得等と損益通算し、多額の還付を受けている事例が散見される
- 具体的には、海外で高額な中古不動産を取得・賃貸した上で、中古資産に係る耐用年数を簡便法を適用することで極端に短くし、短年で多額の減価償却を計上している
- 多額の減価償却費を計上したとしても、日本の居住者である期間中に当該不動産を譲渡する場合、譲渡収入から差し引く取得費からは減価償却費累計額が控除されるため、結果として譲渡所得が増加することとなるが、その譲渡が非居住者である期間中に行われる場合には、日本で課税する機会を失うことになる
- このような事例は、外国人に限定されず、日本人が国外不動産を取得・賃貸し、国外に転出した上で当該不動産を譲渡するような場面でも起こりうる
【11】同族会社等の行為計算否認規定の見直し
【改正意見】 現行、「同族会社の行為」により相続税等の負担が不当に減少した場合に適用がある標記規定について、その適用がある場合の範囲に、同族会社以外の者の行為により相続税等の負担が不当に減少した場合を追加する等の改正を行う。
【理由】
- 同族会社等の行為計算否認規定(相続税法第64条)は、同族会社が同族株主の租税負担回避行為に利用されやすく、これを放置すれば税負担の実質的な公平を図ることができないことから、実質的な公平を図るために設けられた規定である(大阪高裁H19.4.17判決)
- 同族会社以外の者の行為を利用して相続税等の負担を不当に減少させる事例に対しても、課税の公平を徹底する観点から的確に対応する必要があることから、標記規定について見直す必要がある
- また、規定の整備も行う必要がある
- ※他税目においても同様の規定があるため、見直しにあたっては併せて検討する必要がある
【12】 公益法人等に係る課税所得の範囲拡大
【改正意見】 公益法人等に係る課税所得の範囲については、収益事業を行う場合の「収益事業から生じた所得」に限定されているが、収益事業については、広く対価性のある事業全てとした上で、「対価性のない寄附金、補助金に係る所得」についてのみ非課税とする。
【理由】
- 収益事業の範囲は政令で限定列挙されているため、次のような問題が生じている:
- 政令に掲げられていない新たな事業形態が次々と出現し、課税の公平が保たれない
- 政令に掲げられていない技芸教授を普通法人が行う場合には課税となるのに対し、公益法人等が行う場合には課税されないこととなり、課税上の不公平が生じている
- 現行のように、公益法人等について収益事業を行う場合のみ申告義務があるとすると、非課税とされた法人は、税法上の帳簿書類の記載、保存義務が及ばず、質問検査権の行使にも支障がある
- このため、課税所得の範囲を現行の法令で限定された収益事業を行う場合の「収益事業から生じる所得」から、原則として「対価を得て行う全ての事業から生じた所得」に拡大する必要がある
- ※平成8年度から要望している事項
【18】課税売上割合の見直し(高額資産を利用した恣意的な計算への対応)
【改正意見】 一定の取引相場がある高額資産の譲渡について、課税売上割合の計算に含めると事業者の事業実態から乖離することとなる場合には、当該資産の譲渡に係る売上高を課税売上割合の計算から除外する。 若しくは、事業者が算出した課税売上割合が事業実態から乖離する課税売上割合と認められる場合の事後的否認規定を措置する。
【理由】
- 住宅の貸付を行う事業者が居住用建物を取得し当該建物に係る課税仕入れを行った場合、本来仕入税額控除の対象とならない居住用建物であったとしても、当該課税仕入れを行った課税期間の課税売上割合が95%以上であれば、当該建物の課税仕入れが可能
- 建物等取得後課税売上割合が変動した場合には、仕入控除税額を調整することとされており、建物等取得後2年間は事業者免税点制度を制限することとされている
- しかし、市場で取引可能な高額資産の売買を繰り返し、課税売上割合を増加させ、仕入控除税額の調整規定が働かせないようにすることが可能
- 本来、仕入税額控除の対象とならない課税仕入れについて、取引相場の比較的安定した高額資産の反復売買を行うことにより生じた売上額を基に仕入控除税額を計算することは、その事業実態及び仕入税額控除制度の趣旨からも適切ではない
【19】情報収集権限の整備
【改正意見】 課税上の問題を有する取引を行っている納税者の特定を適時適切に行うための情報収集権限を整備する。
【理由】
- ICT技術の発展や各種の規制緩和により、商品の流通形態の多様化やシェアリング・エコノミーの出現をはじめとして経済活動の多様化が進展している
- そのため、税務当局からみた経済活動の「匿名性」が広がっており、その中には適正公平な課税の観点から是正を要すると見込まれるケースも散見される
- このような課税上の問題が潜在する取引の実態解明を行うために、従来から、仲介事業者や販売事業者から任意の協力によって必要な情報の収集を図っているが、個人情報保護への関心が高まっており、従来のように任意の協力による情報の収集が困難になっている
- 類型的に問題となり得る取引に対して法定調書の提出を義務付けることが考えられるが、この方法では、法定調書の導入まで当局が情報を入手する権限が与えられず、日々新しい事業形態が誕生する状況下での機動的な対応が困難である
- そこで、我が国の立法例や諸外国の例を参考にして、課税上の問題を有する納税者の特定を適時適切に行うための情報収集を機動的に行えるよう、情報収集権限を整備する必要がある
【20】国外の関連者が保存する帳簿書類等の提示・提出要求
【改正意見】 移転価格課税のための調査について必要があるときは、納税者に対してその国外関連者が保存する帳簿書類の提示・提出を求めることができる規定(措法66条の4第10項)があるところ、資本関係等のある国外の関連者が保存する帳簿書類について、移転価格課税目的以外でも提示・提出を求めることができるよう類似規定を創設する。
【理由】
- 経済活動の国際化・複雑化が進展する中、納税者の所得の額等を確認する上で、その国外にある関連者との取引内容等を把握する必要のあるケースが、より一般的となっている
- 証拠収集の基本的手段である質問検査権は国外に及ばないことから、当該職員が国外の関連者との取引内容等の詳細を把握するためには、①租税条約に基づく情報提供要請を行う、②調査対象者に当該帳簿書類の任意の提出を求める、のいずれかが必要となる
- しかし、①租税条約に基づく情報提供要請については、そもそも租税条約の存在が前提となるほか、実際に情報が提供されるまで一定の日数を要し、迅速な証拠収集という観点から課題がある
- そこで、移転価格課税のための調査について必要があるときは、国外の関連者が保存する帳簿書類について提示・提出を求めることができる規定(措法66条の4第10項)があるところ、移転価格課税目的以外でも、資本関係等のある国外の関連者が保存する帳簿書類の提示・提出を求めることができる類似規定を創設し、かかる提示・提出要求を行う法的根拠を整備する
【21】租税回避スキーム報告制度の導入
【改正意見】 租税回避に利用されるおそれのある一定の取引について、その取引に関与したプロモーターや取引を行った納税者に対して、税務当局への報告及び関係資料の保存を義務付ける。当該報告義務違反等については、罰則を設ける。
【理由】
- 各国の税制の差異や租税条約の違いを巧みに利用し租税負担を軽減する国際的租税回避には、金融や法律・税の専門家が関与し、匿名組合契約、パートナーシップといった様々な事業体や新たな金融手法を用いた複雑な仕組みが使われている
- 諸外国においては、義務的開示制度の導入・整備が進められており(アメリカ1984年、イギリス2004年、カナダ1989年等)、また、G20/OECDにおいても、BEPS行動計画12として取り上げられ、2015年10月には、最終報告書がまとめられた
- こうした国際的租税回避行為に対しては、我が国においても厳正に対処していく必要があるところ、国際的租税回避スキームを的確に把握するための制度が整備されていないため、スキームの把握が困難である
- 我が国も諸外国の制度を参考に同様の制度を導入することにより、限られた人員の中での効率的な調査及び納税者に対する牽制効果が期待できる
- なお、本意見は、平成29年度与党大綱の「補論 今後の国際課税のあり方についての基本的考え方」において、中期的に取り組むべき事項として、制度導入の可否を検討すると位置づけられたもの
【22】 一般的租税回避否認規定の導入
【改正意見】 租税回避を主目的とする取引等により発生した費用・損失等を税務上否認するための一般的な規定を導入する。
【理由】
- 租税回避を主目的とする取引等により発生した費用・損失等については、これを税務上一般的に否認するための規定がなく、取引種別ごとの個別的な否認規定(組織再編成等)や、租税法規の趣旨解釈等のアプローチに基づいて対応しているところである
- 近年、多国籍企業等による経済活動の国際化・複雑化が進展する中、多様な形態の取引等への適切な課税が世界的な課題となっているところ、こうした規定等に基づく対応には限界がある
- 諸外国においては、多国籍企業等による経済活動の国際化・複雑化を踏まえ、判例法で形成された否認法理を法令にて改めて明確化したり、新たに一般的否認規定を整備したりする動きがある
- アメリカ:2010年に「経済実質原則」を確認する規定として内国歳入法典7701条o項を制定
- イギリス:2013年に一般的否認規定として「2013年財政法203~205条」を制定
- 我が国においても、租税回避を主目的とする多様な形態の取引等に対応可能な一般的否認規定を、立法により整備する必要がある
【23】 相続による納付義務の承継の見直し
【改正意見】 相続分の指定がある場合は、その指定相続分により納付義務を承継することとしている国税通則法第5条第2項を改め、相続分が指定されている場合であっても、法定相続分により納付義務を承継することとする。
【理由】
- 平成30年7月に公布された「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」では、判例の考え方を明文化するために、被相続人の債務は、相続分の指定があった場合であっても、債権者が承認する場合を除き、債権者は法定相続分に応じて権利を行使することができる旨が規定されている(改正民法第902条の2)
- また、民法の改正案では、相続債権者や取引の安全を保護するため、法定相続分を超える権利の承継は、登記などの対抗要件を備えなければ、第三者に対抗できないこととされている(改正民法第899条の2)
- これに対し、国税の納付義務は指定相続分により承継されるため、法定相続分に応じて各共同相続人に対して滞納処分を行った後に、相続分を指定する遺言の存在が判明した場合は、指定相続分に応じた納付義務に基づいて処分をやり直さなければならず、他の債権者に比して、法的安定性を欠き、迅速かつ確実な徴収が困難となるおそれがある
- そのため、相続分が指定された場合の納付義務の承継についても、民法と同様に法定相続分によることとし、督促、滞納処分などの迅速な執行と法的安定性の確保を図る必要がある
【27】 外国子会社配当益金不算入制度の見直し
【改正意見】 内国法人が外国子会社から受ける配当等の額(みなし配当の額を含む。)は外国子会社配当益金不算入制度により95%が益金不算入とされ(法法23条2項)、外国子会社株式等の譲渡利益額又は譲渡損失額は益金の額又は損金の額に算入されることとされている(法法61条2項)。 上記の制度において、外国法人の自己株式の取得等により生ずるみなし配当の額については、外国子会社配当益金不算入制度の適用を受ける配当等の額から除外する。
【理由】
- 近年、内国法人が大規模な外国法人を買収する件数が増加している
- 当該買収後に、買収した外国子会社が行う資本の払戻し、解散による残余財産の分配又は自己株式の取得等(外国子会社のみなし配当事由)によりみなし配当が生じる場合、株主である内国法人において、当該みなし配当は外国子会社配当益金不算入制度の対象となりその95%が益金不算入とされる上、当該みなし配当の金額と見合いの株式譲渡損が生じる
- 外国子会社配当益金不算入制度は、海外の子会社が獲得した利益の国内還流について、企業の配当政策の決定に対する税制の中立性の観点及び適切な二重課税の排除のため導入されており、その適用対象は、利益の配当のみならず、みなし配当も含まれている
- 外国子会社のみなし配当事由が生じた場合において、例えば、資本金等の額が0又はマイナスと算出されたときは、株主である内国法人が交付を受けた金銭その他の資産の価額の全額をみなし配当の額と認識することとなり、外国子会社配当益金不算入制度によりそのみなし配当の額の95%は益金不算入となる。一方で、株式又は出資に対応する部分の金額が0とされ、多額の株式譲渡損が計上されることとなる
- (理由の一部が黒塗りのため詳細不明)外国子会社のみなし配当事由により生ずるみなし配当については、外国子会社配当益金不算入制度の適用を受ける配当等の額から除外する必要がある
【29】無形資産取引に係る移転価格税制の整備
【改正意見】 BEPSプロジェクト最終報告書を踏まえ、次の措置を講ずる。
- 無形資産取引について既存の独立企業間価格の算定方法に加え、ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)により対価を算定することができる旨を法令上、明確にする。
- 取引時に評価が困難な無形資産(Hard-To-Value-Intangibles)について、取引時の前提(例:予測の利益)と取引後の結果(例:実際の利益)が大幅に異なるなど一定の要件に該当する場合は、取引後の結果に関する情報を用いて、取引価格を再計算することを可能とする制度(HTVIアプローチ)を導入する。
- 無形資産の定義を法令上、明確にする。
【理由】
- 法人が国外関連者に対して行う無形資産の譲渡取引については、租税特別措置法第66条の4第2項に定める独立企業間価格の算定方法によって対価を算定することとなっている
- こうした状況において、BEPSプロジェクト最終報告書では、無形資産の譲渡対価を評価する方法としてDCF法が示されたところ、我が国の法令上、これを明確に規定することで、DCF法を適用して無形資産の譲渡対価を評価することが容易になる
- HTVIアプローチも併せて導入する必要がある
- なお、現行税制上、無形資産の定義が明確でないため、移転価格税制の対象となる無形資産を定義する必要がある
