記事の紹介

本記事では、国税庁が財務省主税局に対して提出した「令和4年度税制改正意見」の内容を整理し、主要な改正意見について紹介します。

国税庁では、納税者の利便性の向上や適正・公平な課税・徴収を実現する観点から、制度上の対応(税制改正)が必要と考えられる事項について意見を申入れています。これらの意見は、主税局との事務的な調整を経た後、与党税制調査会で審議され、毎年度の税制改正大綱に反映されます。

現在の税務実務において、元税理士やにせ税理士との関係で税理士法の質問検査権の対象範囲の拡大懲戒逃れをする税理士への対応の強化定められたり、滞納処分免脱罪の適用対象に、納税者が滞納処分の執行等を免れる目的で、その現状を改変して、その財産の価額を減損し、又はその滞納処分に係る滞納処分費等を増大させる行為をした場合が追加された経緯をご存知でしょうか。これらのルーツは、国税庁が財務省へ申し入れた「令和4年度税制改正意見」にあります。

本記事では、令和4年度に提案された全33項目を一覧化し、改正が実現したか否かにかかわらず、要約しました。

この改正意見を振り返ることは、単なる過去の記録を確認することではありません。「国税庁がどの取引を租税回避とみなし、どのように網を広げようとしているのか」という、現在も続く当局の着眼点を理解することに他なりません。当時の貴重なダウンロード資料も掲載しておりますので、税務コンプライアンスの強化や実務の理論武装にぜひご活用ください。

(参考) スケジュール
主に8月下旬主税局に対する当庁意見の提出
9~10月 主税局との事務的な調整
11月上旬~ 与党税制調査会(当庁意見を踏まえた改正事項は「納税環境整備」の分野で議論)
12月上中旬 与党税制改正大綱
12月中下旬 政府税制改正大綱(閣議決定

目 次

令和4年度税制改正意見 33項目

  1. 税理士法の質問検査権の対象範囲の拡大
  2. 反面調査及び官公署への協力要請規定の創設
  3. 懲戒逃れをする税理士への対応の強化
  4. 税理士法違反行為の除斥期間の創設
  5. 税理士法第43条に規定する業務の停止の要件の明確化
  6. 税理士法の番号法対応
  7. 処分通知等の電子化の拡充
  8. 税理士試験の受験者から提出される受験申込書兼写真票に添付する写真の規格の見直し
  9. 各種申請等の簡素化・デジタル化等
  10. マイナポータル連携の推進
  11. 暗号資産交換業者を通じて行った暗号資産の交換等取引に係る調書提出の義務化
  12. 「信託に関する受益者別(委託者別)調書」の記載要領の改正
  13. 相続税e-Taxにおける添付書類の提出方法の拡充
  14. 相続税法第58条通知のオンライン化に伴う改正
  15. 記帳水準の向上等に資する施策の導入
  16. 公益法人等に係る課税所得の範囲拡大
  17. 減価償却資産の特別な損金算入規定等の見直し
  18. 有価証券の譲渡損益の計上時期の明確化
  19. 公売手続において税務署長が媒介者として適格請求書を交付する場合の要件の見直し
  20. 滞納処分免脱罪の適用対象の見直し
  21. 電子公売における入札書に封をすることに相当する措置の創設
  22. 滞納者が国外に有する財産に係る引渡命令の創設
  23. 無申告加算税に係る税率の見直し
  24. 国外財産調書等が提出期限内に提出されたものとみなす規定の修正
  25. 外国子会社合算税制(租税負担割合の計算方法)の適正化
  26. 外国子会社合算税制(外国法人税の範囲)の適正化
  27. 控除対象外国法人税の額から除かれるものの範囲の見直し
  28. 恒久的施設を有しない外国法人に対する過大支払利子税等の見直し
  29. 国内不動産を取得した外国法人に対する届出書等の提出義務化
  30. マイナンバーカードを利用したe-Taxの利便性向上
  31. 特定納税専用手続の廃止
  32. 財産債務調書制度の提出義務者に係る要件の見直し
  33. 法定調書等の磁気テープによる提出規定の廃止

令和4年度税制改正意見の要約

【1】税理士法の質問検査権の対象範囲の拡大

現行制度: 税理士業務の適正な運営の確保を図る観点から、税理士法違反行為があると認められる税理士、税理士法人、通知弁護士及び通知弁護士法人(以下「税理士等」という。)に対して、税理士法第55条に規定されている質問検査を行っている。調査の結果、税理士法違反行為を把握した場合、その者に対しては税理士法第45・46条の懲戒処分等を行っている。

改正意見: 税理士法第55条の規定の射程範囲について、「元税理士」及び「にせ税理士」を追加する。

理由: 税理士法違反行為があると認められる税理士等に対して、税理士法第55条に規定されている質問検査を行っているが、「元税理士」や「にせ税理士」はこの質問検査の対象とはなっていない。このため、これらの者に接触し指導する必要がある場合に、税理士法上に根拠規定が無いことを理由に、接触を拒まれるケースが生じている。


【2】反面調査及び官公署への協力要請規定の創設

現行制度: 無し

改正意見: 課税調査と同様に、税理士法においても、関係者に対する反面調査や官公署への協力要請に係る規定を新たに創設する。

理由: 税理士業務の適正な運営の確保を図る観点から、税理士法違反行為があると認められる税理士等に対して、税理士法第55条に規定されている質問検査を行っており、また、その際当該税理士等が行っている税理士法違反行為に関する証拠資料等を収集するために、必要があれば関係者への聴取や官公署への照会を行うこととしているが、税理士法上の根拠規定が無いことから、対応を拒まれるケースがある。


【3】懲戒逃れをする税理士への対応の強化

現行制度: 税理士法第47条の2の規定においては、「日本税理士会連合会は、税理士が懲戒の手続に付された場合においては、その手続が結了するまで税理士の登録抹消はできない」こととされている。これは本来懲戒処分の対象となって税理士業務の禁止又は停止とされるべき者が、自ら登録抹消を行って、懲戒処分を回避すること(いわゆる「懲戒処分逃れ」)を排除するために創設された規定である。

税理士法第47条の2における「懲戒の手続に付された場合」とは、税理士法施行規則14条の3において「税理士に対し、懲戒処分に係る聴聞又は弁明の機会の付与について行政手続法第15条第1項又は第30条に規定する通知をした場合をいう。」と規定されている。

改正意見: 税理士調査において税理士法違反行為を把握した後、懲戒の手続に付すまでの間に登録抹消を行うことで、懲戒逃れができる状態となっていることを踏まえ、懲戒逃れをする税理士への対応を強化する方策を整備する。

理由: 懲戒処分の予告通知書が税理士に送達される以前(具体的には、税理士法55条に規定する質問検査を行っている最中)に、税理士自ら登録抹消を行うことにより、懲戒逃れが可能となっている。


【4】税理士法違反行為の除斥期間の創設

現行制度: 税理士に対する懲戒処分(税理士法第45・46条)については、除斥制限が特段設けられていない。

改正意見: 法的安定性の確保や質問検査権に対応する者の負担軽減の観点から、税理士法違反行為後10年で税理士懲戒処分が除斥される規定を創設する。

理由: 税理士法違反行為が行われた時期から、税理士法第55条に規定する質問検査を行う時期までの間が長期間経過した場合、国税当局にとっては税理士法違反行為に関する証拠資料等の収集が困難となる可能性があり、また、税理士にとっては既に過去の関係資料(※)を廃棄している可能性(自らを十分に防御できない可能性)がある。 ※ 税理士等においては、過去の関係資料の整理を行っておく必要があり、過大な負担となっている。


【5】税理士法第43条に規定する業務の停止の要件の明確化

現行制度: 税理士法第43条では、税理士が他の職業専門家としての業務の停止等の懲戒処分を受けた場合には、その処分を受けている間は税理士業務を行ってはならないこととされている。

これは、税理士として業務を行っている公認会計士や弁護士等の職業専門家が、当該税理士以外の士業において業務停止の処分がなされている場合、税理士として引き続き業務を行うことは、納税者の信頼を損なうほか、税理士としての信用・品位を害することとなることから、これを防止する趣旨とされている。

改正意見: 税理士法第43条の懲戒処分には、税理士法の規定により当該税理士が受けた懲戒処分の基因となる事由によるものが含まれないことを明確化する。

理由: 他士業の業務停止処分が、税理士懲戒処分に起因して行われるものである場合、当該他士業の業務停止の処分を理由として、税理士法第43条に規定する税理士業務の停止を行うことになることから、税理士法違反行為に対してなされた懲戒処分による業務停止期間より、長い業務停止期間を強いることになっている。


【6】税理士法の番号法対応

現行制度: 無し

改正意見: 令和3年度における番号法改正により、①税理士登録事務、②税理士試験事務、③税理士監督事務が、番号利用事務とされたことに伴い、各種様式等において個人番号の記載欄を設けるなど所要の整備を行う。

理由: 令和3年度の番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)改正により、同法別表第一(第九条関係)に掲げる個人番号利用事務に、①税理士登録事務、②税理士試験事務、③税理士監督事務が追加された。

このため、税理士法令で規定される各種様式等において、個人番号の記載欄を設けるなど所要の整備を行う必要がある。


【7】処分通知等の電子化の拡充

現行制度: 実地の調査を行った結果、更正決定等をすべきと認められない場合には、当該調査において質問検査等の相手方となった者に対し、その時点において更正決定等をすべきと認められない旨を書面により通知するものとされている。(国税通則法第74条の11第1項)

改正意見: 電子で通知することのできる処分通知等に、「更正決定等をすべきと認められない旨の通知」(国税通則法第74条の11第1項及び第5項)を追加する。

理由: 日本税理士会連合会が令和4年度税制改正により、「税務代理における利便の向上」による税理士法等の改正を求めている。これは、税務代理は「税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行すること」とされているところ、その範囲に「税務官公署から納税者に対する通知等の受領を代理すること」が含まれることを明確化すべきとの要望が提出されており、財務省主税局・国税庁と日本税理士会連合会において当該要望項目について議論しているところ。

国税庁は税務行政のDXを目指しており、納税者等への通知について可能なものから電子化していくこととしている。一方で、加算税賦課決定通知書・是認通知書のいずれも国税通則法において「書面」により納税者等に通知することが規定されており、これらの通知書を電子化するには、国税オンライン省令第9条による国税庁長官告示において、電子化できる通知書として指定する必要がある。

(注)この点、加算税賦課決定通知書については、既に電子化できる通知書として指定されていることから、今般、是認通知書につき、電子化できる通知書として国税庁長官告示において指定する必要がある。


【8】税理士試験の受験者から提出される受験申込書兼写真票に添付する写真の規格の見直し

現行制度: 税理士試験の受験者が受験申込時に提出する受験申込書兼写真票には、受験者の写真を添付することとされており、以下のとおり、受験願書の裏面に当該写真の規格に関する注意事項が記載されている(税理士法施行規則第二号様式)。 ・添付すべき写真は、上半身像(縦4.5cm×横3.5cm)のものとすること。

改正意見: 税理士試験の受験者から提出される受験申込書兼写真票において、添付すべき写真の規格を「縦45mm×横35mm(縁なしで顔の寸法は頭頂から顎までが34mm±2mm)のもの」※など、所要の整備を行う必要がある。 ※ 旅券(パスポート)の規格に準拠(呼称も変更)

理由: 令和3年6月18日付で閣議決定された規制改革実施計画において、写真サイズ等の見直し方針が示されたことから、当該方針に沿った見直しが必要である。

【写真サイズ等の見直し方針】(抜粋) 各手続等で指定している写真サイズ等に変更できない固有の事情がない限り、以下の通り写真サイズ及び撮影時期を集約する。

1 サイズ 以下の4種類のいずれかに集約する。 ①運転免許証サイズ(2.4cm×3.0cm) ②履歴書サイズ(3.0cm×4.0cm) ③パスポート規格(3.5cm×4.5cmで顔中心の人物配置) ④大型サイズ(4.0cm×6.0cm)

3 スケジュール 原則として令和4年度までに施行


【9】各種申請等の簡素化・デジタル化等

現行制度: ①各種申請書の提出方法は、納税者の使用に係る電子計算機から国税庁の使用に係る電子計算機に送信しなければならない(国税オン化省令5①)。 ②処分通知等を電子で受領するためには、納税者がその処分通知等に係る申請ごとに電子での受領を選択しなければならない(国税オン化省令11) ③納税者が納税地の異動(転居)をした場合には、納税地の異動届出書を提出しなければならない(所法20) ④納税者が事業所を納税地に変更する場合には、納税地の変更届出書を提出しなければならない(所法16④)。 ⑤修正申告書又は更正の請求書には申告又は請求前の課税標準等を記載しなければならない(通法19④、23③)。

改正意見: ●国税庁では、特例適用(青色承認、消費税簡易課税等)や納税(未納税額がない旨等)の状況について、マイナポータルやe-Taxにより確認できる仕組み(国税庁マイページ)を導入する予定。 ●申請等のデジタル化の推進の観点から、国税庁マイページの導入と併せ、次の措置が必要。 ①国税庁マイページで処分通知等を受領する者については、その旨を表示することにより、申請の都度の選択を不要とする。 ●不要な申請等の廃止や重複する申請等の統合の観点から、次の措置の導入が必要。 ②納税地の異動届出書は廃止し、住民票の異動で管理する。 ③納税地の変更届出書も廃止し、確定申告書の記載で変更する。 ④修正申告書又は更正の請求書について、申告又は請求前の課税標準等の記載を廃止する。

理由: ●各種申請等については、個々の手続ごとに様式が定められており、これらを処理するために多大な事務量を要している。 ●納税者利便の向上や国税当局の事務の簡素化の観点からは、 ①不要な申請等の廃止 ②重複する申請等の統合 ③申請等のデジタル化 を推進していく必要がある。


【10】マイナポータル連携の推進

現行制度: ①確定申告・年末調整で社会保険料控除又は小規模企業共済等掛金控除の適用を受けるためには、納税者は証明書(紙)を提出又は提示しなければならない(所法196) ②確定申告で住宅ローン控除の適用を受けるためには、年末残高証明書、登記事項証明書及び売買契約書等の写しを提出又は提示しなければならない(措法41)

改正意見: ●納税者の申告利便の向上や国税当局の事務量削減の観点から、次の措置が必要。 ①社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除の証明書についてマイナポータル連携を可能とする。 ②住宅ローン控除について、年末残高証明情報に家屋の取得価額等を追加して法定調書化する。

理由: ●納税者の申告利便の向上のためにはマイナポータル連携を推進する必要があり、国税当局の事務量削減のためには自宅等からのe-Tax申告を増加させる必要。 ●社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除の証明書は、法令上マイナポータル連携が認められていない。 ●住宅ローン控除については、 ①年末残高証明書は、マイナポータル連携が認められているが、金融機関の連携が進んでいない。 ②登記事項証明書及び売買契約書等の写しは、マイナポータル連携のハードルが高い。


【11】暗号資産交換業者を通じて行った暗号資産の交換等取引に係る調書提出の義務化

現行制度: 暗号資産に関しては、全ての取引形態について、従来、法定調書の対象とはされていなかったが、金融商品取引法の改正により、「暗号資産」が金融商品として位置づけられたことに伴い、暗号資産デリバティブ取引については、「先物取引に関する支払調書」の提出対象とされた(令和3年1月施行)。【所得税法第225条①十三】

一方、暗号資産の売買や交換などのいわゆる現物取引については、法定調書の提出対象とはされていない。

改正意見: 暗号資産交換業者に対し、利用者(顧客)の暗号資産交換等取引について、税務署へ調書の提出を義務付ける。

理由: 上記のとおり、暗号資産デリバティブ取引に係る支払調書の提出については措置されているが、現物取引については現時点において法定調書の提出対象とはされていない。

暗号資産取引の適切申告を担保するため、平成30事務年度において、暗号資産取引業協会に対し、顧客への年間取引報告の交付を依頼し、当該仕組自体は確立しているところであるが、未だに無申告等が散見されている状況であり、当局による取引情報の把握が必要。


【12】「信託に関する受益者別(委託者別)調書」の記載要領の改正

現行制度: 「信託に関する受益者別(委託者別)調書」(相規第9号書式。以下「本件調書」という。)では、対象となる信託財産の価額の記載に当たって、「『信託財産の価額』の欄には、相続税法第22条から第25条までの規定により評価した価額を記載する。ただし、信託財産について当該規定により評価することを困難とする事由が存する場合は、この限りでない。」とされ(相規第9号書式)、相続税法第22条から第25条までの規定に基づく価額を記載しないことも認められている。

改正意見: 信託銀行等の受託者は、信託財産を相続税法第22条から第25条までの規定により評価することを原則としつつ、信託財産を同法22条から25条までの規定により評価することを困難とする事由が存する場合については、国外財産調書及び財産債務調書における財産の評価方法と同様の簡易な方法により評価した額を記載する旨に改正する。

理由: 本件調書に係る信託財産の価額の記載に当たって、財産評価基本通達に基づく評価を要することは、受託者にとって大きな負担となっており、信託財産が土地や非上場株式である場合など評価が困難な場合には、財産評価基本通達に基づく評価額によらない評価も可能とされているが、代わりにどのような評価額を記載するか明らかでなく本件調書の活用に当たって問題が生じている。

この点について、家族信託など信託銀行以外の一般の納税者が受託者になるケースも増えているところ、全ての場合について相続税法の規定に基づく厳密な時価に限定する必要まではないことから、同法に基づく評価を困難とする事由がある場合には、簡易な評価方法を定めた上で調書に記載される価額を統一すべきである。

一般の納税者が提出する「国外財産調書」及び「財産債務調書」に記載する財産の価額については、「時価又は時価に準ずるもの」として、土地については固定資産税評価額、非上場株式については法人の決算書(帳簿価額)に基づく純資産額により算定することができるとされており、執行上特段の問題は生じていない。


【13】相続税e-Taxにおける添付書類の提出方法の拡充

現行制度: 相続税法第27条第4項では、相続税の申告書を提出する場合には、財務省令で定める事項を記載した明細書その他財務省令で定める書類を添付しなければならない旨規定されている。相続税申告をe-Taxで行う場合、当該添付書類(提出をお願いしている書類を含む。)については、国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令(以下「オン化省令」という。)第5条第3項第2号に基づき、スキャナにより読み取る方法その他これに類する方法により作成した電磁的記録(いわゆる「イメージデータ(PDF形式)」)に変換して送信することができる。

なお、イメージデータの送信可能容量は、最大11回の送信で1回当たり8.0MB、最大88.0MBである。

改正意見: 相続税e-Taxにおける添付書類については、相続税e-Taxの普及に向けた利便性向上のため、オン化省令第5条第3項第4号に定めるとおり、光ディスク又は磁気ディスク(以下「光ディスク等」という。)による提出を可能とするよう、国税庁長官の告示を改正し、提出方法を拡充する。

なお、光ディスク等により提出する場合、法人税申告の仕様に準ずれば、1枚当たり1,000ファイルまで、1ファイル当たり50MBまで保存可能である。また、保存されているイメージデータについては、光ディスク等を受領後、e-Taxシステムにアップロードすることで閲覧可能とする。

1 オン化省令第5条第3項第4号には、国税庁長官が定める添付書面等に係るものに限る旨の記載があるため、当該告示に相続税法を追加する。 2 相続税e-Taxでは、法令に基づく添付書類(戸籍謄本等)及び提出をお願いしている書類(公図、地図等)が送信可能であり、画像データの多い状況である。

理由: 相続税e-Taxについては、令和元年10月の導入以降、税理士等への積極的な利用勧奨を実施し、早期に普及・定着するよう取組を進めてきたところであるが、利用勧奨の中で税理士に対し、e-Tax未利用である理由を確認した結果、添付書類の提出方法がイメージデータに限定されていることが要因である旨の意見が多い状況である。

具体的には、相続税申告は、提出する添付書類が非常に多いため、①1回当たりの送信容量(8.0MB)を勘案し、送信用ファイルを分割して作成する必要があること、②データの読込等に時間を要すること、及び③分割したデータを複数回送信する必要があること等がe-Tax普及に向けた阻害要因となっており、税理士等から改善を求める意見の多い状況である。


【14】相続税法第58条通知のオンライン化に伴う改正

現行制度: 相続税法第58条(市町村等の通知)では、市町村長その他戸籍に関する事務をつかさどる者(以下「市町村長等」という。)は、死亡又は失踪に関する届書を受理したときは、当該届書に記載された事項を税務署長に通知しなければならない旨、規定されている。

また、税務署長から市町村長等に対しては、国税通則法第74条の12(当該職員の事業者等への協力要請)及び「税務行政運営上の協力に関する国税庁と(旧)自治庁との了解事項」を根拠とした協力要請を行い、市町村長等が税務署長に対して死亡通知書を提出する場合には、死亡者の所有に係る固定資産課税台帳に登録されている土地、家屋及び償却資産等に関する資料を添付して送付している。

死亡等による相続開始の事実を把握し、相続税を適正に課税するためには、いずれも???(黒塗り)であり、税務署においては、当該情報に基づき相続税事務を実施している状況である。

改正意見: 市町村長等から税務署長に書面により通知されている死亡等の届書の記載事項について、全国の死亡届に関する情報及び戸籍副本情報を保有することとなる法務大臣から国税庁長官にオンラインにより通知するよう法改正し、税務署及び市町村における行政事務の効率化を図る。

また、市町村長は、死亡届を受理するなどして当該市町村に住民登録のある者の死亡の事実を把握した場合、死亡者の所有に係る固定資産課税台帳に登録されている土地及び家屋に関する情報を税務署長に通知するよう法整備を行う。

※法務省とは、デジタル・ガバメント実行計画に基づき、令和6年4月以降の運用開始に向けて死亡届に関する情報等の連携方法、システム開発内容等を協議している。 ※総務省とは、自治体の情報システムの標準化を見据え、標準仕様書に税務署提供用CSVファイル(固定資産税情報)の追加、当該csvファイルの提供方法等を協議している。

理由: 相続税法第58条の規定により各税務署に提出される通知書は、毎月、各市町村から全ての死亡届に係る情報を書面により通知されており、当該情報は、KSKシステムに全て手入力している状況である(年間139万件程度)。

また、税務署では、管轄区域内の市町村に対し、①KSKシステムに入力するための必要事項を記載した入力票の作成、②相続税法第58条通知書の固定資産税評価額欄の記載(又は名寄帳の添付)について協力要請しているところであり、税務署及び市町村の双方において、当該事務に多くの事務量を投下している状況である。


【15】記帳水準の向上等に資する施策の導入

現行制度: 法人又は個人においては、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならないとされている(法法126①、150②①、法規54、59①、66、67①、所法37、148①、232①、所規63①、102③、電帳法4、10)

この帳簿書類の保存義務規定については、この規定に違反した場合には、青色申告制度の承認取消しの対象となっている以外に特段の措置は設けられていない。

改正意見: 記帳水準の向上及び適正申告の確保の観点から、納税者が自主的に帳簿書類の保存義務を履行するために必要な各種施策を講じる。

理由: 税務調査において納税者が経費と主張する支出は、納税者がその存在を立証すべきと解されているが、課税・査察実務では次のような事案が発生している。 ●1,000枚超の領収書を後出しすることによって立証責任を果たし、当局側が多大な事務量を投下してその真偽を確認しなければならない事案 ●査察調査においては、当局に立証責任があり、また、簿外経費がないことに合理的疑いがない程度まで立証しなければならず、???(黒塗り)


【16】公益法人等に係る課税所得の範囲拡大

現行制度: 公益法人等に係る課税所得の範囲については、収益事業を行う場合の「収益事業から生じた所得」とされており、また、収益事業の範囲は、法人税法施行令において34事業が限定列挙されている(法法2④⑦、法令5)

改正意見: 公益法人等に係る課税所得の範囲を原則として「対価を得て行う全ての事業から生じた所得」に拡大することとする抜本的な見直しを含め、収益事業であるべき事業について、その範囲を明確化することとする。

理由: 宗教法人をはじめとする公益法人等の課税上の課題については、様々な観点からの指摘がなされているが、これら公益法人等が課税逃れに利用される途を閉ざすとともに、 ・収益事業と非収益事業との区分が曖昧であるとの指摘を受ける ・類似事業間に課税上の不公平が生じる といった問題を排除する必要がある。

特に、収益事業とされる技芸教授業の範囲は、法人税法施行令第5条第1項第30号に限定列挙されており、これに掲げられた技芸教授以外は課税されないこととされているが、最近の教育産業の発展、余暇の拡大、生活のゆとり化傾向を反映して、水泳等のスポーツ教室や英会話等の語学教室、コンピュータや簿記等の技能教室を行う公益法人等がみられ、これらの技芸教授が収益事業となる技芸教授業に列挙されていないため、次のような問題が生じている。 ・類似の技芸教授であっても、政令に掲げられていないものは収益事業として課税されないことから、課税対象とされる技芸教授との間に課税上の不公平が生じている。 ・政令に掲げられていない技芸教授を普通法人が行う場合には課税となるのに対し、公益法人等が行う場合には課税されないこととなり、課税上の不公平が生じている。

また、現行のように、公益法人等について収益事業を行う場合のみ申告義務があるとすると、非課税とされた法人は、税法上の帳簿書類の記載、保存義務が及ばず、質問検査権の行使にも支障がある。


【17】減価償却資産の特別な損金算入規定等の見直し

現行制度: 法人が事業の用に供した減価償却資産で、取得価額が10万円未満であるもの等は、法人の損金経理を要件として、損金の額に算入することとされている(法令133①)。

また、各種租税特別措置において、即時償却又は通常より短い期間で損金算入することが認められている。

リース取引については、中途解約禁止及びフルペイアウトを要件として、そのリース資産を賃貸人から賃借人へ引渡した時に売買があったものとされているが、一連の取引が実質的に金銭の賃借であると認められるときは、その資産の売買はなかったものとし、かつ、譲受人から譲渡人に対する金銭の貸付けがあったものとして、譲受人又は譲渡人の所得の金額を計算することとされている(法法64②、法令131の2)

改正意見: 減価償却資産の特別な損金算入規定について、合理的な理由がない限り、取得した資産を相手方に対して貸付けする場合(リース業を除く)は適用しない措置を導入する。

リース取引に限らず、資産の賃貸を前提として行われる売買取引について、実質的に金銭の貸付けであると認められる場合は金銭の貸付けとする措置を導入する。

理由: ???(黒塗り)これは、実質的には、購入法人から売却法人への金銭の貸付けと認められるものの、当該賃貸借契約をリース取引に該当しない内容とすることにより、購入法人においては、元本相当額の損金算入が可能となっており、課税の公平性の観点から問題が生じている。


【18】有価証券の譲渡損益の計上時期の明確化

現行制度: 有価証券の譲渡損益の計上時期は、「その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度」と規定されている(法61の2①)。

改正意見: 法人税法第61条の2第1項について、有価証券の譲渡契約に停止条件が付されている場合の譲渡損益の計上時期を、その譲渡に係る契約の効力が生ずる日とする。

理由: 有価証券の譲渡契約に停止条件が付されている場合、有価証券の譲渡損益の計上時期は、当該契約をした日(約定日)となるか、契約の効力が生ずる日(停止条件成就の日)となるか、明確ではない。


【19】公売手続において税務署長が媒介者として適格請求書を交付する場合の要件の見直し

現行制度: 令和5年10月に実施されるインボイス制度(適格請求書等保存方式)の下では、税務署長の登録を受けた課税事業者(適格請求書発行事業者)のみが適格請求書等を発行することができ、適格請求書発行事業者が媒介や取次ぎを行う者(媒介者等)を介して行う課税資産の譲渡等については、当該媒介者等が当該適格請求書発行事業者に代わって適格請求書等を発行することも認められている。

ただし、媒介者等が適格請求書等を発行する場合には「当該媒介者等が当該課税資産の譲渡等の時までに当該事業者(課税資産の譲渡等を行う事業者。売主)から適格請求書発行事業者である旨の通知を受けている」ことが、要件とされている(消令70の12①)。

改正意見: 公売を行う税務署長が媒介者等として適格請求書を発行する場合には、滞納者から、適格請求書発行事業者である旨の通知を受けていない場合であっても、滞納者が適格請求書発行事業者であるときは、買受人に対して当該請求書の発行ができることとする。

理由: 適格請求書発行事業者である滞納者の差押財産(消費税の課税対象となる資産)を公売する場合、滞納者が行う課税資産の譲渡等について、税務署長が媒介者等として買受人に対して適格請求書を発行することができる。

ただし、税務署長が滞納者から「適格請求書発行事業者である旨の通知」を受けていない場合には、公売を行う税務署長は買受人に対し、適格請求書を発行することはできない。

公売が滞納者の意思にかかわらず強制的に換価される手続であることを踏まえると、滞納者から税務署長への通知がなされないことが想定されるとともに、買受人が滞納者に適格請求書の発行を求めたとしても、滞納者が適格請求書を発行しないことも想定され、買受人が仕入税額控除を適用できないなどの不利益が生じるおそれがある。


【20】滞納処分免脱罪の適用対象の見直し

現行制度: 納税者が滞納処分の執行を免れる目的でその財産を隠ぺいし、損壊し、国の不利益に処分し、又はその財産に係る負担を偽って増加する行為をしたときは、滞納処分免脱罪が適用される(徴法187①)。

改正意見: 滞納処分を免れる目的で行われる、差押不動産上に廃棄物を集積する等の差押財産の価値を減損し、又はその除去費用を増大させる行為について、滞納処分免脱罪の適用対象に加える。

理由: 例えば、差し押さえた土地上に多量の廃棄物が持ち込まれると、その差押財産の価値が著しく減少し、又はその除去に過大な費用を要する状態となるため、公売の執行を断念せざるを得ず、又は公売を実施したとしても公売成立が困難となる。

上記の行為に対しては、差押不動産の使用収益を制限する措置(徴法69)を採ることが考えられるものの、同措置になおも従わない者に対しては、滞納処分免脱罪(徴法187)の適用を検討するほかない。

しかし、上記の行為は、差押財産自体に損傷を与える行為とはいえないため、「損壊」(徴法187①)に該当せず、滞納処分免脱罪の適用対象外と解されている。

なお、民事における強制執行の場合は、上記の行為は、「その現状を改変して、価格を減損し、又は強制執行の費用を増大させる行為」として、強制執行妨害目的財産損壊等罪(刑法96の2二)が適用されることとなる。しかしながら、刑法96条の2と国税徴収法187条が一般法と特別法の関係にあるため、滞納処分の場合は、刑法の強制執行妨害目的財産損壊等罪は適用されないこととなる。


【21】電子公売における入札書に封をすることに相当する措置の創設

現行制度: 公売において、入札を電子で行う場合、国税徴収法第101条第1項において、「電子情報処理組織を使用して入札がされる場合には、入札書に封をすることに相当する措置であって財務省令で定めるものをもって当該封をすることに代えるものとする。」と規定されている。

改正意見: 国税徴収法第101条第1項における「入札書に封をすることに相当する措置」を財務省令に規定する。

理由: 公売手続においても電子による入札を実施し、政府方針である行政手続のデジタル化・非対面化を実現するため、国税徴収法第101条第1項における「入札書に封をすることに相当する措置であって財務省令で定めるもの」を財務省令に規定する必要がある。


【22】滞納者が国外に有する財産に係る引渡命令の創設

現行制度: 国税の徴収においては、まず納税者に自主的な納付義務の履行(国税通則法35条)を求めるが、納税者が十分な財産(資力)を有しているにもかかわらず納付をしない場合には、強制的な実現方法として、一般に、滞納者の国内の財産については滞納処分(国税徴収法47条以下)、国外の財産のうち徴収共助の要請(税務行政執行共助条約11条等)が可能な国に所在するものについては、当該要請による徴収が可能である。

また、滞納処分や徴収共助の要請による徴収の円滑な実施を間接的に保障するため、納税者がこれらの徴収を免れる目的でその財産につき隠蔽等の行為をした場合には、滞納処分免脱罪(令和3年改正後の国税徴収法187条)の適用の対象とされる。

改正意見: 滞納者が徴収共助不可国に財産を有しており、滞納処分又は徴収共助の要請による徴収によっても滞納国税の全額を徴収可能な財産を有していないと認められるなど一定の要件を充足する場合に、滞納者に対し、滞納額を限度として、徴収共助不可国に所在する滞納者の財産(又はその価額に相当する他の財産)を徴収職員に引き渡すよう書面で命じることができることとする(引渡命令)。

また、引渡命令の上記要件の下で、滞納者が指定された期限までに財産を徴収職員に引き渡さない場合には、引き渡した財産に対する滞納処分を免れる意図が推認されることに加え、徴収共助不可国に所在する財産については強制的な実現方法がないことから、引渡しを間接的に強制し滞納処分の円滑な実施を確保するため、引渡しの不履行に対し罰則を科すこととする。

理由: 近年、経済取引の国際化が進展する中、滞納者が徴収共助の要請ができない国(徴収共助不可国)に財産を有しながら納付をしない事案が散見される。

このような事案においては、滞納者の自主的な納付が見込めないにもかかわらず、滞納処分や徴収共助の要請により滞納者の財産からの強制的な徴収を図ることができず、また、徴収共助不可国に財産を有しているだけでは隠蔽等の行為がないことから、意図的に納付をしない場合であっても滞納処分免脱罪の適用の対象とならない。

そのため、このような状況を放置することは、いわゆる「逃げ得」を許すこととなり、適正公平な徴収の実現という観点から問題がある。


【23】無申告加算税に係る税率の見直し

現行制度: 次のいずれかに該当する場合には、15%の無申告加算税を賦課する(通法66) ・期限後申告書の提出又は第二十五条(決定)の規定による決定があった場合 ・期限後申告書の提出又は第二十五条の規定による決定があった後に修正申告書の提出又は更正があった場合

改正意見: 期限後申告又は決定を行った場合の無申告加算税の税率について、重過失が認められる以下のような者については、無申告加算税率を30%とする。 ・調査による増差税額が300万円(仮)を超える(注:基準額については無申告加算税賦課事案の実態などを踏まえて更に精査していく。) ・調査による増差所得が1,000万円を超える(年末調整済の給与所得を除く。)。 ・過去3年にわたり事業を行い連年申告すべき税額があったにも関わらず、事前通知時まで申告がなかった者

理由: 近年、経済社会の変化のスピードが速くなり、ビジネスの開始・廃止が活発化しているほか、ICTの発展・普及や各種プラットフォーム事業者の登場などによって取引参加者も増加し、申告義務が生じる可能性のある者が増加している。

こうした背景のもと、納税者の自主的な申告を確保する必要性は従来以上に増大しており、そのためにも国税当局としては無申告者に対する調査に重点的に取り組んでいる。

一方で、無申告者に対する調査を実施しても、無申告加算税は増差本税額の15%(調査通知後・更正予知前は10%)となっており、実際に税務調査が実施されて無申告が発覚する確率までも加味すると低い水準に抑えられていると言わざるを得ない。

(参考)延滞税の引下げ(H25年度)以前は、延滞税が、事実上、無申告へのペナルティ機能の一部を担っていたとも考えられる(無申告には延滞税の除算期間がない)。

さらに、積極的な行為が伴わない等の理由から仮装隠蔽の事実が認定できず重加算税を賦課できなかった無申告者であっても、その中には、単純な失念等ではなく、申告の必要性を認識しながら故意に申告をしていない者もいると考えられる。そうした者については、過少申告を行う者よりも相当悪質と考えられ、より重いペナルティを課すことによって強力に無申告を抑止する必要がある。


【24】国外財産調書等が提出期限内に提出されたものとみなす規定の修正

現行制度: 現行制度においては、国外財産調書が提出期限後に提出され、かつ、修正申告等があった場合において、当該国外財産調書の提出が、当該国外財産調書に係る国外財産に係る所得税又は国外財産に対する相続税についての調査があったことにより当該国外財産に係る所得税又は国外財産に対する相続税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでないときは、当該国外財産調書は提出期限内に提出されたものとみなして、第1項(加算税を5%軽減)又は第3項(加算税を5%加重)の規定を適用するとしている(国外送金等調書法6⑥)(国外送金等調書法第6条の3《財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》においては、国外送金等調書法6条が準用されている。)。

また、調査通知から更正を予知するまでの間に修正申告があった場合には、5%の過少申告加算税が賦課される(通法65①括弧書き)。

改正意見: 国外財産調書及び財産債務調書が提出期限後に提出された場合にも加算税を軽減する規定を修正する。

理由: 調査として接触し、調査により国外財産等に係る非違事項を把握した場合であっても、納税者が更正又は決定の予知前に国外財産調書等を提出した場合には、加算税が5%軽減されることとなる。

そうすると、通常、調査通知から更正を予知するまでの間に修正申告があった場合には、5%の過少申告加算税が賦課されるものが、国外財産調書等を同時に提出することで、過少申告加算税が5%軽減され、結果として、国外財産等に関して所得税・相続税の申告漏れが生じていたとしても、過少申告加算税が賦課されないこととなる。

国外財産調書に係る加算税の軽減措置が、調書の適正な提出を確保、ひいては国外財産に係る課税を適正化するためのインセンティブ措置として設けられたものであることからすると、国外財産調書が調査通知後に提出された場合にまで、加算税を軽減すべきではないと考えられる。


【25】外国子会社合算税制(租税負担割合の計算方法)の適正化

現行制度: 外国子会社合算税制では、特定外国関係会社の各事業年度の租税負担割合が30%以上の場合には、本税制を適用しないこととされている(措法66の6⑤イ)。

この租税負担割合の分子となる「外国法人税の額」について、外国関係会社の本店所在地国の外国法人税の税率が所得の額に応じて高くなる場合には、これらの税率をこれらの税率のうち最も高い税率であるものとして算定した外国法人税の額とすることができる特例(以下「複数税率特例」という。)が設けられている(措令39の17の2①四)。

改正意見: 租税負担割合の計算方法を見直し、このような事例について、外国子会社合算税制の適用が免除されないよう措置する必要があることから、複数税率特例を廃止する。

理由: 今般、実質的に税負担の著しく低い国に所在する外国子会社が外国子会社合算税制の対象とならない次の事例を把握した。 (事例)???(黒塗り)


【26】外国子会社合算税制(外国法人税の範囲)の適正化

現行制度: 外国子会社合算税制における租税負担割合の分子となる「外国法人税」は、法人税法69条第1項の「外国法人税」と規定されている(措令39の14の3⑧五)。また、法人税法施行令第141条第3項第1号において、この外国法人税に含まれないものとして、「税を納付する者が、当該税の納付後、任意にその金額の全部又は一部の還付を請求することができる税」が掲げられており、外国法人税として捉えることが適当でないものは、外国法人税に含まれないこととされている。

改正意見: ???(黒塗り)

理由: 今般、実質的に税負担の著しく低い国に所在する外国子会社が外国子会社合算税制の対象とならない次の事例を把握した。 (事例)???(黒塗り)


【27】控除対象外国法人税の額から除かれるものの範囲の見直し

現行制度: 現状、控除対象外国法人税の額から除かれる「内国法人の法人税に関する法令の規定により法人税が課されないこととなる金額を課税標準として外国法人税に関する法令により課されるものとして政令で定める外国法人税の額」は、法人税法施行令第142条の2第7項において限定列挙されている。

改正意見: 制度趣旨からして外国税額控除の対象から除外すべきものを包括的に除く規定を設け、国際的二重課税の排除という制度趣旨に即した課税関係を実現する必要があることから、法人税法施行令第142条の2第7項に「前各号に掲げるもののほか内国法人の法人税に関する法令の規定により法人税が課されないこととなる金額を課税標準として外国法人税に関する法令により課される外国法人税の額」を追加する。

理由: 法人税法施行令第142条の2第7項に列挙されたもの以外にも、諸外国には様々な外国法人税が存在することから、国際的二重課税の排除という制度趣旨からすると外国税額控除の対象とすべきではないものがある。


【28】恒久的施設を有しない外国法人に対する過大支払利子税等の見直し

現行制度: 利子の支払を通じた租税回避に直接対応する制度として、過大支払利子税制(措法66の5の2)及び過少資本税制が措置されており、前者は所得水準に比して過大な支払利子の損金算入を、後者は資本の額に比して過大な負債に係る支払利子の損金算入を制限する制度であり、両制度が相まって多額の利払いによる税源浸食を防止している。

過大支払利子税制及び過少資本税制は、内国法人以外に、国内において事業を行う外国法人に対しても恒久的施設の有無を問わず適用されていたが、平成26年改正において外国法人の課税原則が帰属主義へ改正された際、過大支払利子税制及び過少資本税制について、恒久的施設を有しない外国法人には適用がないこととなった(措法66の5の2⑧)。

その結果、恒久的施設を有しない外国法人に対しては過大支払利子税制が適用されておらず、利子の支払を通じた国際的租税回避に対して対応が困難な状況にある。

また、恒久的施設を有しない外国法人が国外で支払う利子に対しては通常源泉徴収も適用されないことから、日本における税をほとんど負担することなく、国外に還流することが可能となっている。

改正意見: 恒久的施設を有しない外国法人に対して利子の支払を通じた租税回避を防止するため、過大支払利子税制を適用する。

理由: 平成26年改正以後、恒久的施設を有しない外国法人に対する過大支払利子税制の適用が廃止されているが、恒久的施設を有しない外国法人においても不動産賃貸業など国内における事業について法人税の申告課税の場面があり、過大な利子の支払を通じて不動産所得を圧縮するリスクが潜在している。国際課税において、日本のような高税率国では負債(借入)で資金調達し、利払により所得を圧縮することが基本であるなかで、現状、恒久的施設を有しない外国法人に対しては、上記のとおり、過大支払利子税制等の適用がなく、利子の支払を通じた国際的租税回避に対して対応が困難な状況にある。

この結果、恒久的施設を有しない外国法人が国内不動産の賃貸などの国内源泉所得を生じる事業を行うに当たり、外国法人の代表者や国外の関連者等のグループ企業から多額の不動産の購入資金を借り入れ、その支払利子を計上することで、日本での課税所得を圧縮する事例が散見されている。

さらに、こうした事例においては香港やシンガポールなど国外所得を免除する諸外国の制度と組み合わせることで、利子の受領者においても課税されないよう仕組まれているものと想定され、国際的二重非課税が生じている。


【29】国内不動産を取得した外国法人に対する届出書等の提出義務化

現行制度: 不動産関連法人(総資産価額に占める国内不動産の価額の割合が50%以上)の株主である外国法人又は非居住者が、当該不動産関連法人の株式(不動産化体株式)を譲渡した場合、当該譲渡による所得は、国内源泉所得に該当し、当該外国法人等が恒久的施設を有していなくても申告義務がある(法法138①三、141二、144の6②、法令178五、所法161①三、164①二、166、所令281①五)。

改正意見: 国内不動産を取得した外国法人に「不動産の取得等に関する届出書」の提出を義務化し、外国法人、取得不動産、株主(最終株主まで)情報の記載及び貸借対照表を添付させることによって、不動産関連法人該当性や不動産化体株式の譲渡の有無についての検討及び当該外国法人への接触を可能とする。

届出書の内容及び手続等については、次のとおりとする。 1 提出時期 不動産取得時及び取得後の毎事業年度末から一定の期間内(確定申告書を提出する法人については、申告書の提出と同時とする。)。 2 記載内容 ①外国法人の情報(法人名、所在地、簡単な事業内容及び連絡先等) ②取得(保有)不動産情報(登記情報程度) ③最終株主までの株主情報(上場法人については記載不要) 3 添付資料 不動産取得後の毎事業年度末に提出する場合には、貸借対照表を併せて提出する。

また、外国法人に対する当該届出制度の実効性を担保するため、未提出の場合に、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する規定を設ける。

理由: 当局が不動産化体株式の譲渡を把握するためには、 ①株式発行法人が不動産関連法人であること ②当該不動産関連法人の株主が株式を譲渡したこと を把握する必要があるところ、国内不動産を保有している法人が外国法人(特に、法人税申告義務のない外国法人)である場合、これらを把握することは極めて困難である。


【30】マイナンバーカードを利用したe-Taxの利便性向上

現行制度: e-Taxによる申請等の際には、①書面提出の場合に記載すべき事項並びに②利用者識別番号(数字16桁)及び暗証番号(英数字8桁以上)を入力して申請等データを作成の上、③当該データに電子署名を行い、当該電子署名に係る電子証明書と併せて送信しなければならない。

ただし、平成29年度税制改正により、個人納税者については、マイナンバーカードを用いて電子署名を行い、当該電子署名に係る電子証明書と併せてこれらを送信する場合には、利用者識別番号及び暗証番号を入力することが省略できることとされた(マイナンバーカード方式)。

なお、電子署名及びその電子証明書まで求めなくてもセキュリティ上問題ないと考えられるものについては、それらを省略し、利用者識別番号及び暗証符号の入力をもって、署名等に代えさせることができることとされている。

改正意見: マイナンバーカード方式の利用者については、利用者識別番号及び暗証番号の入力を不要とするのみならず、事前にマイナンバーカードを利用した電子署名及び電子証明書の送信により本人確認を行うことで、以降の申告等データの送信においては、本人性の確認のための電子署名等が不要となり、利便性向上が図られる。

ただし、本人性の担保のため、e-Taxへログインする際は、マイナンバーカードの利用者証明書による認証を必須とする。

なお、電子署名及び電子証明書の送信の目的は本人性の確認のためだけでなく、データの改ざん防止の見地やセキュリティの観点から求めるものであるため、代替措置としてサーバによる電子署名等を行うことで、これらを担保することが可能となる。

理由: マイナンバーカード方式を利用してe-Taxを行うインセンティブは、利用者識別番号及び暗証番号の入力が不要となることに限られ、その他の恩恵がないのが現状。

さらに、利用者識別番号及び暗証番号の入力は、e-Taxへログインするための行為であるところ、マイナンバーカード方式によりこれらの入力が省略されたとしても、マイナンバーカードを読み込むためには別途パスワード(数字4桁)を入力する必要がある。

また、申請等に電子署名を行う場合には、電子署名を行うためのパスワード(英数字6桁~16桁)が必要となり、似たような英数字の入力を複数回求められるケースが発生していることから、e-Taxの利便性を損ねる原因となっている。


【31】特定納税専用手続の廃止

現行制度: e-Taxにより申請等を行おうとする者又は電子納税を行おうとする者は、「e-Taxの利用開始(変更)届出」をあらかじめ税務署長に届け出ることで、利用者識別番号及び暗証番号の通知を受け、e-Taxが利用可能となる。

また、e-Taxは利用しないが、金融機関のATMでのみ納税(以下、「特定納税専用手続」)を行おうとする者については、税務署長に書面により届け出ることで、特定納税専用手続を利用するための利用者識別番号の通知を受けることができる。

なお、特定納税専用手続を利用するための届出の場合、暗証番号は通知されない。

改正意見: 「特定納税専用手続」の制度を廃止する。

なお、既に特定納税専用手続を利用するために通知され、現在も利用されている利用者識別番号については、利用状況を鑑み、廃止又はe-Taxを利用するために通知された利用者識別番号へ職権で変更する。

理由: 利用者識別番号にはe-Tax利用のためのものと、特定納税専用手続のためのものの2種類があるところ、e-Tax利用のための利用者識別番号により金融機関のATMで納税を行うことが可能であり、区分に特定納税専用手続を行うための利用者識別番号ではe-Taxを利用することはできず、e-Taxを利用する場合には、改めて税務署長に届出をする必要があることから、特定納税専用手続を行うための利用者識別番号を納税者が利用するメリットがない。

なお、「特定納税専用手続」のために払い出された利用者識別番号は、令和3年4月末現在1,137件であり、e-Tax利用のための利用者識別番号と比較して(※)非常に少なく、また、利用者も僅かである。 (※)e-Taxの利用のために払い出された利用者識別番号は39,474,737件(令和3年4月末現在)


【32】財産債務調書制度の提出義務者に係る要件の見直し

現行制度: 現行制度における財産債務調書の提出義務者については、 ・総所得金額及び山林所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ、 ・その年の12月31日において価額の合計額が3億円以上の財産又は価額の合計額が1億円以上である国外転出特例対象財産を有する ことが、要件となっている(国外送金等調書法6の2①本文)。

改正意見: 適正公平な課税を実現するために財産を適正に捕捉できるように提出基準の見直しを行う。

理由: 多額の資産を保有している者のうち、所得基準を下回る者が存在するが、その場合、財産債務調書が提出されない。そのため、財産債務調書の制度趣旨である、所得税・相続税の申告の適正性を確保するための情報把握について、現状では十分にできていない。


【33】法定調書等の磁気テープによる提出規定の廃止

現行制度: 給与所得の源泉徴収票に代表される法定調書については、書面による提出のほか、e-Tax、クラウド等、光ディスク等による提出が認められている。【所得税法第228条の4第2項ほか】

また、電子申告義務の対象となる大規模法人が申告の際に提出する添付書類についても、光ディスク等により提出することができる。【法人税法第75条の3第1項ほか】

更に、金融機関等は、共通報告基準(CRS)に基づき、非居住者が保有する金融口座情報を光ディスク等により提出することができる。 【租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律10条の6第1項】 【外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律第41条の2第1項】

改正意見: 法定調書等の提出方法に係る規定から「磁気テープ」を削除する。

理由: 光ディスク等に含まれる磁気テープについては、既に製造が中止されており、当該媒体による提出はない。

関連記事

ダウンロード資料