令和元年度税制改正により、暗号資産の税務上の取扱いが法令上初めて体系的に整備されました。所得税では取得価額の計算方法として総平均法・移動平均法が法定され、法人税では活発な市場が存在する暗号資産に期末時価評価課税が導入されました。暗号資産は棚卸資産・固定資産のいずれからも除外され、独立した資産区分として位置づけられています。本記事では、この改正の立案関係資料(内閣法制局資料)を確認します。
この記事では、所得税法上、平均法を採用する暗号資産の譲渡原価の算定方法等を定め、法人税法上、仮想通貨(暗号資産)を短期売買商品「等」に入れ込み、平均法で取得価額を計算し、期末時価評価課税を行なうこととした令和元年度税制改正の立案関係資料を確認します。暗号資産110%課税問題の関係資料も取り扱っています。
本記事に掲載している資料
本記事の有料部分では、内閣法制局資料(所得税法・法人税法の改正法律案・施行令案の条文構成・趣旨・逐条解説)という立案関係資料を掲載しています。
棚卸資産からの除外趣旨、有価証券との比較、「自己の計算において有する」の意義、信用取引の扱い、経過措置の解釈など、条文の背景にある立案者の考え方を確認できます。
- Q令和元年度税制改正で、暗号資産(仮想通貨)の取得価額の計算方法はどのように変わりましたか?
- A
所得税では「総平均法」または「移動平均法」のいずれかを選択でき、届出をしなかった場合の法定評価方法は総平均法です。法人税では「移動平均法」または「総平均法」を選択でき、法定の算出方法は移動平均法とされています(令和元年度税制改正)。
- Q法人が保有する暗号資産すべてに期末時価評価課税が適用されますか?
- A
いいえ、すべてには適用されません。「活発な市場が存在する仮想通貨(市場仮想通貨)」かつ「自己の計算において有する」場合のみ、期末に時価法による評価を行い、評価益・評価損を益金・損金に算入します。預り仮想通貨など他者の計算において有する場合は対象外です。
- Q暗号資産(仮想通貨)が棚卸資産から除外された理由は何ですか?
- A
令和元年度改正により仮想通貨の譲渡原価の計算方法(平均法)が法令上明確に定められたため、棚卸資産に係る規定との適用条項の重複を排除する観点から、棚卸資産の範囲から仮想通貨が除外されました。これにより、低価法や最終仕入原価法など棚卸資産固有の評価方法は仮想通貨には適用できなくなりました。
- Qこの記事で確認できる令和元年度税制改正の立案関係資料はどのようなものですか?
- A
内閣法制局が作成した所得税法・法人税法の改正法律案・施行令案に係る資料(条文の構成・趣旨・逐条解説)を確認できます。条文の位置づけ・定義・選定手続・経過措置などについて、立案段階の詳細な解釈資料をページ番号付きで掲載しています。
