平成31年3月14日第198回国会・参議院財政金融委員会のやりとり

平成31(2019)年3月14日の第198回国会・参議院財政金融委員会において、暗号資産(仮想通貨)の譲渡所得該当性や分離課税の適用等について、藤巻健史議員議員と政府参考人(麻生太郎財務大臣、星野次彦財務省主税局長、並木稔国税庁次長)との間で次のようなやりとりが続きました。

112 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 日本維新の会の藤巻でございます。日本維新の会並びに希望の党を代表して質問をさせていただきたいと思います。  私は税の専門家でもないので、基本的な税のことを押さえて、確認しながらちょっと議論を進めさせていただきたいと思いますが、まず最初に、税は九区分に分かれていると思うんですが、それをちょっとお教えいただけますでしょうか。

113 星野次彦発言URLを表示○政府参考人(星野次彦君) お答え申し上げます。  今委員からお話があった九区分、恐らく所得税の所得のその分類のことをおっしゃっておられると思います。現行の所得税におきましては、所得につきましては、その源泉また性質などによりまして十種類に分類しております。事業所得ですとか給与所得、譲渡所得、一時所得、雑所得など十種類に分類されておりまして、各所得区分に応じて課税標準の計算方法などが定められているところでございます。

114 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 暗号資産の譲渡益、これは原則雑所得と、それも総合課税の雑所得というふうに認識しておりますけれども、雑所得の計算方式並びに最高税率、それから繰延べができるのか、損益通算ができるのか、その辺をちょっとお教えください。

115 並木稔発言URLを表示○政府参考人(並木稔君) お答えいたします。  いわゆる暗号資産の譲渡による所得は、給与所得や事業所得といった他の九種類の所得のいずれにも該当しないことから、一般的には雑所得に該当するものとして取り扱っております。  この暗号資産に係る雑所得の計算方法につきましては、公的年金等以外の雑所得の金額は、その年中の雑所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とされているところでございまして、暗号資産の譲渡による所得については、暗号資産の売却価格からその暗号資産の譲渡価格などの必要経費を控除して算出することとなるところでございます。  また、最高税率につきましては、総合課税に係る所得税の税率は、課税される所得金額に応じまして五%から四五%の七段階に区分されており、最高税率はそういう意味では四五%となるというところでございます。  さらに、損益通算について申し上げますと、損益通算制度は、不動産所得、事業所得、山林所得又は譲渡所得の計算上生じた損失の金額があるときに他の所得金額から控除することができるというものでございまして、雑所得は損益通算できる所得に該当しないため、雑所得の計算上生じた損失の金額を他の各種所得の金額から控除することはできないところでございます。  また、繰越控除という点についてでございますけれども、純損失の繰越控除制度は、損益通算ができる損失の金額のうち、他の所得から控除してもなお控除し切れない部分の金額を翌年の総所得金額等から控除することができるものでございまして、先ほど申し上げたとおり、雑所得は損益通算できる所得に該当しないため、雑所得の計算上生じた損失の金額は翌年以降に繰り越すことができないという制度になっているところでございます。

116 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 最高税率は四五%ということで、住民税を合わせて五五%ということですね。そして、翌年への繰越しはできないし損益通算もできないということで、納税者にとってはかなり厳しい税金になっているかと思います。  なぜ損益通算が雑所得はできないんでしょうか。

117 星野次彦発言URLを表示○政府参考人(星野次彦君) お答え申し上げます。  雑所得につきましては、大きな損益の変動が起こる取引が雑所得に含まれているか否かにつきましては、雑所得は給与所得や事業所得といった各種所得分類に入らない所得を包括する所得分類でありまして、様々なものが含まれることから、なかなかお答えすることが難しいところでございます。  ただ、様々な損失が恐らく雑所得の中には含まれるということでございまして、総合所得の課税ベースの計算に当たりましてこうした様々な経費を広く勘案するということになりますと、税負担の公平性等の観点から慎重な対応が必要であるということで、雑所得の損失としてこれを見るということはしておりませんし、繰越控除することは認めていないということでございます。

118 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 雑所得、暗号資産の譲渡益、損とか、それから外貨預金の損とか得とかが入ると思いますけれども、そのほかに雑所得に分類されるような利益、損失を教えていただきたいんですが。

119 並木稔発言URLを表示○政府参考人(並木稔君) お答えいたします。  お尋ねの雑所得の例といたしましては、国民年金法、厚生年金保険法などの規定による公的年金などのほかに、個人年金保険契約に基づき支払を受ける年金、著述家や作家以外の人が受ける原稿等の報酬や講演料などが該当するところでございます。

120 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 今、例をお聞きしましたけれども、雑所得の中で、外貨預金の譲渡損とかそれから暗号資産の譲渡損、これは大きい損失が計上できる、要するに、暗号資産の例がそうなんですけれども、おととし大もうけしたけれども、翌年、去年は大損したというような非常にボラタイルな、収益が、利益がボラタイルな科目、その二つ以外に、外貨預金とそれから譲渡資産のほかにそういうように利益がボラタイルするようなものがあるのかどうかお教えいただきたいんですけれども。もしよければ財務大臣にお願いします。    〔委員長退席、理事三木亨君着席〕

121 星野次彦発言URLを表示○政府参考人(星野次彦君) 今お尋ねがございました、例えば外貨、外為の関係、それからこの暗号資産の関係といったような大きな損益の変動が起こる取引、これが雑所得に含まれているものもございますけれども、こういった暗号資産取引ですとか為替差損につきまして他の所得との例えば損益通算を可能とするかというようなことにつきましては、こうした取引は一定程度取引のタイミングを調整して損益の発生時期を選ぶことが可能でございますので、広く損益通算を認めた場合には他の所得の状況を踏まえた税負担の調整が可能となるという懸念があることから損益通算を認めていないということでございまして、そこは外国為替、それから暗号資産につきまして共通するところがあるかなというふうに考えております。

122 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 元々税法を作ったときに、雑所得に、そういうように今年は大もうけ、次の年に大損するというようなものが雑所得に入るというふうに想定しなかったからこういうふうに通算をできないというふうには考えられませんか。そうじゃないんでしょうか、本音は。

123 星野次彦発言URLを表示○政府参考人(星野次彦君) 先ほど申し上げましたように、雑所得というのは、その他の所得分類に入らないものがある意味バスケットクローズ的に雑所得の分類になるわけでございまして、当初その予定していたかどうかということはあれですけれども、少なくとも様々な所得分類に入らないものが雑所得として入ってくるという、そういう前提の下で制度がつくられているということでございます。

124 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 まあ苦しいとは思うんです、苦しい御答弁かなとは思うんですが、確認しておきますと、外貨預金の譲渡損とかそれから暗号資産の譲渡損、これ以外は基本的にはいつも損が出るようなものじゃない、公的年金とか印税とかそのような、講演料とか、普通、そういう毎年、年によって大もうけしたり大損したりしないようなものがほとんどは雑所得に入ると、私はこう理解しているわけなんですが。    〔理事三木亨君退席、委員長着席〕  そこでちょっと財務大臣にお聞きしたいんですけれども、この財政金融委員会で昔私が暗号資産について二〇%の源泉分離がどうかというふうに申し上げたときに、大臣は、一生懸命働いてもうかった人、これは五五%の税金を払って、暗号資産のもうかった人が二〇%は不公平だと、それじゃ国民が納得しないという回答があったんですが、それについてはいろいろコメントありますよ。例えば、リスクを取って、その汗を流すんであっても、汗を流して給料もらうんだったらば、暗号資産でもうかるのはやっぱり冷や汗かいていますからね、やっぱりリスクを取るというのはこれ日本が成長するために非常に重要なことなので、両方とも私は重要なんですけれども。  まあそれは別として、もし暗号資産が雑所得になっているということであるならば、給与所得の人たちは絶対に損をするわけない、今年大もうけして、たくさんの給料をもらって翌年マイナスの給料をもらうなんということはあり得ない。しかし、暗号資産の譲渡に関しては、もうかったときだけは五五%の最高税率を取られて、損をしたときは何とも、補填が何にもない、損益通算はできない、繰越しはできないというのは余りにもこれ現状が物すごく不公平だというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

125 麻生太郎発言URLを表示○国務大臣(麻生太郎君) これはこの前と少し質問の趣旨が変わってきているように思いますけれども、藤巻先生のお尋ねというのは、多分、暗号資産の取引の所得というのは早い話が総合課税じゃなくて二〇%の分離課税の対象とすべきだとおっしゃりたいんですね。

126 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 いや、それは最終的には二〇%の分離課税にするべきだとは思っていますが、私は、最初に結論から言っちゃうと、取りあえずは雑所得じゃなくて譲渡課税ではないか、総合所得の中の雑所得では、最低限それでもおかしくないんじゃないかなという議論を今日はさせていただいています。

127 麻生太郎発言URLを表示○国務大臣(麻生太郎君) これは、暗号資産の取引とか為替損益について、これは他の所得との損益通算というのを可能にすべきなんだという御趣旨なんだと思いますけど、これらの取引は、先ほど星野も言っておりましたように、取引のタイミングというのを少々調整して期末調整等々やりますと損益の発生時期を選ぶという可能性がこれは十分に可能なので、そうすると、広く損益計算を認めますと、これは他の所得との状況等々を踏まえまして税負担の調整が可能になる、調整可能だということになりますので、ちょっとそれではいかがなものかということから損益計算を認めないというところなんだと思いますので、損益の変動が大きいから損益通算が認められるべきというようなことではないというように御理解いただければと存じます。

128 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 私はちょっと違うと思うんですけどね。その取引の時期が選べるから損益通算を認めないんじゃなくて、雑所得の範疇になっているから損益計算を認めないということがロジカルだと思うんですけれども。まあ、それはいいです。それは後からこの議論するうちに御説明したいと思いますので。  今、私は、せめて暗号資産の譲渡益というのは雑所得じゃなくて総合課税でも譲渡所得じゃないかというふうに思っているんですけれども、まず取りあえず譲渡所得とそれから雑所得について、これちょっと、ごめんなさい、質問通告、雑所得、雑所得と書いちゃいましたけれども、雑所得と譲渡所得をちょっと比べていただきたいんですけど、控除額が幾らになるかとか、それから損益通算ができるのか否かと、それから長期に持っていると非常に税率が下がるとかいう差があるのかどうか。これ、雑所得だったらどうか、それから譲渡所得だったらどうかということを比べながら教えていただきたいんですが。

129 並木稔発言URLを表示○政府参考人(並木稔君) お答えいたします。  まず、雑所得に関してでございますけれども、所得税法上、雑所得の金額は、先ほど申し上げたところでございますけど、その年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額とその年中の公的年金等以外の雑所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額の合計額とされているところでございまして、例えば、公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額がある方が公的年金等以外の雑所得に損失が生じている場合、これらの損益を合計することができるというふうになっております。  また、控除額につきましては、雑所得のうち、公的年金等の所得については、所得税法上、収入金額に応じた公的年金等控除額が規定されております。また、外交員や集金人といった家内労働者等の所得については、租税特別措置法上、必要経費として六十五万円まで認められる特例が規定されております。これら以外の雑所得に区分される所得については一定額等を控除する規定はございませんけれども、法令上、総収入金額から必要経費を控除することとされているところでございます。  譲渡所得との比較ということについて申し上げますと、例えばその資産の保有期間の長短ということについてでありますけれども、譲渡所得については、いわゆる分離課税の対象となる資産を譲渡した場合を除きまして、その譲渡をした資産の保有期間が五年を超えるときはその資産に係る譲渡益を二分の一とする平準化措置が設けられているところでございますけれども、御質問の雑所得の方につきましては、譲渡所得のような保有期間の長短に応じた平準化措置は設けられておりませんで、その長短のみによって税負担に差が生じるといったようなことはないという状況でございます。

130 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 ちょっと分かりにくいんで、一つ一つ、じゃ、お聞きします。  保有期間について、最後に保有期間のことをおっしゃいましたけれども、雑所得の場合は保有期間に関しても同じ税率が適用されますが、譲渡所得になった場合、総合所得の話、今、総合所得の方の、分離課税じゃないですよ、総合所得の方の話をしていますけれども、長期保有のときと短期保有のときとは税率は変わりますか。

131 並木稔発言URLを表示○政府参考人(並木稔君) お答え申し上げます。  先ほどお答え申し上げたとおり、その保有期間の長短に関しまして、分離課税の対象となる資産を譲渡した場合を除きまして、その資産を譲渡した資産の保有期間が五年を超えるときは、その資産に係る譲渡益を二分の一とする平準化措置が設けられておるところでございますけれども、税率に関してはその平準化のような措置はありませんで、同じように、同じ税率が適用されるというところでございます。

132 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 譲渡所得の場合は、五年以上保有していると半額になって、それに同じ税率が掛かるということですね。

133 並木稔発言URLを表示○政府参考人(並木稔君) おっしゃるとおりでございます。

134 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 譲渡所得の方がよっぽどいいですね。  それから、損益通算については、雑所得ではできないけれども、譲渡所得、総合では損益通算ができるということですね。

135 並木稔発言URLを表示○政府参考人(並木稔君) それもおっしゃるとおりでございます。

136 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 要は、譲渡所得の方が納税者にとっては有利だということですよね。  それから、私の理解だと、控除額というのは、雑所得の場合は、一つの、会社幾つも勤めては別、収入があれば別ですけど、一つの会社に勤めているサラリーマンの場合、二十万円までは非課税になりますけれども、譲渡所得の場合には五十万円まで非課税ではありませんか。その辺ちょっと教えてください。確認したいんです。

137 星野次彦発言URLを表示○政府参考人(星野次彦君) おっしゃるとおり、譲渡所得の場合は五十万円の控除がございます。  それからあと、譲渡所得に関しては、先ほど申し上げたように、何というんですかね、分離課税になっているようなものもございますので、譲渡所得の中には、例えば株ですとかいろんなものがございますので、分離課税を取っているものもございますので、そういうものについては、何というか、損益通算にはならないということになります。

138 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 いや、今日は、最初にちょっと申し上げておきますけど、私は、暗号資産というのはやっぱり特措法でいずれは源泉分離二〇%にするべきだとは思っていますけれども、今日の議論は、少なくても総合所得の中でも雑所得じゃなくて譲渡所得に相当するのではないかという今日議論していますので、分離課税の方、忘れてください。将来またそっちの方に行くべきだということは話しますけれども、少なくても総合所得の中でも雑所得じゃないでしょう、譲渡所得でしょうという話を今日はしていますので、その辺はちょっと確認しておいていただきたいんですが。  次の段階で、次の話で、平成三十年の、去年の三月二十日に参議院の財政金融委員会で、私の質問に対し藤井国税庁当時の次長、今の国税庁長官が、資金決済法上、代価の決済のために不特定多数の者に対して使用することができる財産的価値を想定されており、消費税法上も支払手段に類するものと位置付けられることも考慮する。これ、これによって譲渡所得の該当性を排除しているわけですよ。要するに、私がなぜ譲渡所得ではないかというのをお聞きになったとき、やっぱり消費税法上も考えてこれは無理だと。要するに、要は暗号資産というのは支払手段であると、支払手段であるからキャピタルゲインの生じない、だから譲渡所得ではないよという説明だったと思うんですね。  もう一つ、去年、やっぱり三月二十日の私の質問に対して、予算委員会だったか財政金融委員会、ちょっと申し訳ありません、あれですけれども、私の質問に対して星野主税局長は、この取扱い、これ雑所得という意味ですけど、雑所得は日本円と外貨を交換した場合の為替差益が雑所得として総合課税の対象になることのバランスを考えれば適当になるものと考えていらっしゃいますと。要するに、外貨の課税関係との整合性を考えて雑所得が適当だというふうにおっしゃったわけですよ。  勘案しますと、要するに、暗号資産というのは支払手段であるからキャピタルゲインを生じるわけがない。そしてもう一つは、外貨の課税関係との整合性を考えて、だから雑所得だというふうに私はそのお二人の発言から理解したんですけれども、それは違いますか。なぜその暗号資産が譲渡所得でないのか、その辺のロジックをちょっとお聞きしたいんですけど。

139 並木稔発言URLを表示○政府参考人(並木稔君) お答え申し上げます。  所得税法上、譲渡所得は資産の譲渡による所得と定義されておりまして、当該所得に対する課税は、資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会としましてこれを清算して課税する趣旨と解されているところでございます。  この点、ビットコインなどのいわゆる暗号資産につきましては、先ほど御指摘もございましたけれども、資金決済法上、対価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる財産的価値と規定されておりまして、また、消費税法上も支払手段に類するものとして位置付けられていることから、その譲渡益は資産の値上がりによる増加益とは性質を異にするものと考えられるところでございまして、このため、我々国税当局といたしましては、いわゆる暗号資産の譲渡による所得は一般的に譲渡所得には該当せず、雑所得に該当するものとして取り扱っているところでございます。

140 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 後で議論しますけれども、雑所得の定義というのは何なのでしょうかね。雑所得というのは、これ三十三条、所得税法三十三条の一で、一時所得というのは、まあいいや、譲渡所得、譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じる所得以外の、まあこの辺はちょっと省きますけれども、譲渡所得以外の所得のうち、一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有さないものをいうと。  要するに、雑所得というのはいろんな、そのさっき主税局長、星野主税局長がおっしゃった分類の中に入らないものを雑所得というふうに定義されると私は思っているんですよ。だとするならば、国税当局、ちょっと後で言いますけど、国税当局は、暗号資産もそれから外貨預金も譲渡所得とか一時所得でないということを証明しない限り雑所得に入れられないわけですよ。もし私がここで、暗号資産とか外貨所得が、外貨資産の譲渡益が一時所得であるとかそれから譲渡所得であると申し上げたときに、それを完璧に否定していただかない限り、雑所得に入れる理由というのはないんですよね。だから、今日、私は、暗号資産とか外貨資産というのは譲渡所得ではないんですか、これは一時所得ではないんですかということをお聞きしたいんです。これが今後またちょっと言っていきますけれども。  それでまずお話を聞きたいんですが、麻生大臣が、この前私、本会議で登壇でお話ししたときに、今度の法律上でこの所得税法の一部を改正する法律案の中で仮想通貨という文言が入ったのは極めて画期的だというふうに申し上げましたところ、やっぱり麻生大臣にしろ安倍首相にしろ、国際的なことを考えると、国際的な動向を踏まえて今後暗号資産と呼ぶことが適当と考えるとおっしゃっているわけですね。  要するに、そして、この法律も、仮想通貨から今後法律も暗号資産に変えるというふうにおっしゃっていますから、まずその暗号資産というのは、資産というカテゴライズ、資産であるという、法律的にも資産であると、こういうふうな認識だと思うんですが、麻生大臣、いかがでしょうか。

141 麻生太郎発言URLを表示○国務大臣(麻生太郎君) これは、国際金融の場面の中において、いわゆるバーチャルカレンシーなんていう言葉はほとんど今使われなくなって、ほとんどはクリプトアセットという言葉を使っているので、日本だけがということはいかがなものかということを申し上げたというのがあのときの記憶だと思うんですが、今のところはまだ法令上そういうことになっていませんので、法律の上では仮想通貨と書かせていただいておりますけれども、いずれこの点については、クリプトアセットということをそのまま直して、いわゆる暗号資産というような形にしていくのが筋ではないかということを申し上げたと記憶します。

142 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 すなわち、法律上では暗号資産というのは支払手段ではなくて資産であるという、法律的にも明確にもう宣言しているようだというふうに私は理解しますけれども、いかがでしょうか。

143 麻生太郎発言URLを表示○国務大臣(麻生太郎君) 藤巻先生がそれをどう捉えたかということに関してはちょっとよく分かりませんけれども、このクリプトアセットという表現が用いられている例がこれは間違いなく国際金融の場でよく出てきますので、法令上の呼称を暗号資産に変更するというもので、次にその定義を見直すというものではないという、このように御理解ください。

144 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 分かりました。  少なくとも法律の中では資産という言葉を使っているわけですけれども、また国税、お聞きしたいんですけれども、譲渡所得の起因となり得る資産というのは譲渡性のある財産権を全て含む広い概念である、こう私は理解していますけれども、それで正しいかどうか、お教えください。

145 並木稔発言URLを表示○政府参考人(並木稔君) お答え申し上げます。  今おっしゃいましたところの譲渡所得の起因となる資産とは、一般的にその経済的価値が認められて取引の対象とされまして、増加益が生じるような全ての資産が含まれるものと解されているところでございますけれども、その増加益が資産の価値の増加益とは異なる性質を持つ資産については譲渡所得の起因となる資産には該当しないというふうに考えております。  御指摘のいわゆる暗号資産については、先ほど申し述べたところでございますけれども、資金決済法上、対価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる財産的価値と規定されておりますし、消費税法上も支払手段に類するものとして位置付けられていることから、外国通貨と同様に、その譲渡益等は資産の値上がりによる譲渡所得とは性質を異にするものであると考えております。  したがいまして、国税当局としては、いわゆる暗号資産の譲渡による所得は一般的に譲渡所得には該当せず、雑所得に該当するものと取り扱っているところでございまして、いわゆる暗号資産は譲渡所得の起因となる資産には該当しないものと考えております。  なお、済みません、大変申し訳ございません、先ほど冒頭の暗号資産の譲渡した場合の計算方法の答弁の中で、暗号資産の取得価額と答えるべきところを譲渡価格と誤って答弁申し上げました。大変失礼いたしました。修正させていただきたいと思います。

146 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 今、国税当局の御回答の中ではっきりしたのは、譲渡所得の起因となり得る資産にはなるということを断定されたというふうに私は理解しましたけれども、なり得るんですよね。要するに、譲渡所得の起因となり得る資産になり得ると。それは今明快にお聞きしましたけれども、それならば、あとの課題は、あとは値上がりするとか値下がりするという、そういう観念を否定するか否かになると思うんですよね。あともう一つ、外貨の譲渡益との関係、これも後でちょっと議論したいんですけれども。  これ、要するに値上がり益があるか値下がり損があるかということ、要するにキャピタルゲインがあるかどうかの判断だというふうに思っていますけれども、キャピタルゲイン、私はキャピタルゲインだと思いますけれども、諸外国の課税で、暗号資産に対する課税で損益をキャピタルゲインとして認識しているのかいないのか、ちょっと確認したいんですが。

147 星野次彦発言URLを表示○政府参考人(星野次彦君) 諸外国におけます扱いでございますけれども、諸外国において暗号資産を譲渡した際の所得税の取扱いについては、これは国によってまちまちであります。  アメリカ、イギリス、フランスにおきましては、原則分離課税となる株式譲渡益等と同じ課税上の取扱いとしております。一方、例えばドイツを見てみますと、ドイツにおきましては分離課税となる株式譲渡益等とは異なり、原則総合課税として課税されるということでございまして、取扱いはそういう意味では様々であると承知をしております。

148 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 いや、総合課税か分離課税は別として、今聞いた限りでは、他国はやっぱりキャピタルゲインと認めていると思うんですよね。  キャピタルゲインと日本の言う譲渡所得というのは違うんですか。私は同じだと思うんですが、違うんですか。キャピタルゲインであるならばやっぱり譲渡益だと思うんですけど、違いますか。

149 星野次彦発言URLを表示○政府参考人(星野次彦君) キャピタルゲインかどうかというよりも、例えば今ドイツの例を申し上げましたけれども、例えばドイツで暗号資産を保有し、譲渡した譲渡益につきましては、これはいわゆるプライベート取引という、既に所有している資産の売却益に該当するということでございまして、この取扱い自体は日本と同じような取扱いになっているということでございます。

150 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 ちょっと時間がなくなってきたので、これ、今日残っちゃったのはまた次回に進めますけれども。  外貨預金の益というもの、これも雑所得なんですよ。これは後で議論していきますけど、私は暗号資産の分類、それから外貨預金の分類も、確かにおっしゃるように、おっしゃるようにじゃないな、雑所得というのは、さっきも言いましたように何にも範疇に入らないものが雑所得へ行くわけですから、可能性として譲渡所得かもしれない、一時所得かもしれないものだったらば、まあ確かにその三つの要因あるかと思いますよ、そうとも言えないというような。でも、可能性としてその譲渡所得の可能性もあり、一時所得もあるんだったらば、課税の論理で言わないで、やっぱりどの範疇にすると国が元気になるかということを考えるべきだと思うんですよ。それは、学問上雑所得にしかならないというなら話は別ですよ。だけど、雑所得の可能性じゃなくて譲渡所得の可能性もある、一時所得の可能性もあるんだったらば、国にとって何が一番いい範疇に入るのかなということを考えるべきだと思うんですよ。  例えば、外貨預金。私、今日、銀行に行ってね、銀行行ったら、今日、外貨預金どうですかって言うから、冗談じゃないよと。外貨預金で為替益があって、百円が例えば一ドル千円になって、私そうなると思っているけれども、九百円もうかっていたら、何十%か税金、総合課税で持っていかれちゃうんだと。だから、私はドルのMMF、源泉分離二〇%って言っていますけど、外貨預金なんかできるかと。損したら全然、外貨預金で為替損したら、もう国は何とも面倒見てくれないし、もうかったら、もう高所得の方、五五%税金持っていくんだったらば、ドル預金なんかしないぞとは思うわけですよ。  だとするならば、私はやっぱり、もし例えば譲渡所得であるという、よっぽどましな、分離所得まで行かないでも分離課税にも行かないでも総合所得でも、もっと有利な税制であれば、外貨預金、ドル預金をする人たくさん出てくると思うんですよ。  そうすれば、ドル高円安、消費者物価指数、デフレ脱却、景気万々歳。そんな、わざわざ異次元の量的緩和なんという、副作用で出口もなくてこんなに苦しむような副作用満載の金融政策を取らなくても、外貨預金、ドル預金を雑所得から譲渡所得若しくは一時所得に変えるだけで、ドル高が上がっていって、結局直るじゃないですか、デフレ脱却できるじゃないですか、金使わないで。  私は、だからそれを言いたいわけですよね。要するに、税制の、お金取るという、税金を取るという理論じゃなくて、どうすれば国に勢いが来るか。要するに、デフレを脱却するんだったらば、ドルの外貨資産を、外貨預金を一時所得か、それから若しくは譲渡所得、それで特措法で分離課税でやればいいじゃないですか。それをやれば、異次元の緩和以外できちんと円安ドル高になって、景気いいんですよ。そういう観点。  それも、先ほど何度も言いましたけれども、まさに雑所得しか駄目だというなら話は別ですよ。まだ議論続けていきますけれども、一時所得かもしれない、譲渡所得かもしれないんだったらば、それは全否定でしないでそっちにした方がいいんじゃないかという話です。それは全く暗号資産も同じなんです。  ちょっとお話ししたいですけど、ちょっと時間ないんで最後もう一つだけ言いたいんですが。  これ、学説的にどうかというと、ちょっと読みたいんですけれど、その権威のある、租税法の代表的教科書と言われている金子宏先生の教科書、一か月ぐらい前に新しいバージョンが出た、二十三版が出たんですけど、二十三版に、金子宏先生というのは、御存じだと思いますけど、東京大学の名誉教授で租税大学校の非常勤顧問もされている金子先生。「租税法」、まさに租税法の代表的教科書の、一か月ぐらい前ですかね、出た二十三版、二百六十一ページですけれど、新しいバージョンですよ、出たんですよ。譲渡所得における資産とは、譲渡性のある財産権を全て含む概念で、ビットコイン等の仮想通貨などがそれに含まれるとの記載があります。  要するに、この権威者の書いた、これビットコインとは書いてありますけれども、仮想通貨も譲渡所得になる財産の一つだと、こう明言されているわけですよ。  学説的にもこういうのがあるときに、わざわざこれを否定して雑所得に入れる必要というのは全くないというか、これ、この金子先生の説を否定しない限り、雑所得に入れる理由ってないんですよ。雑所得というのは、何度も繰り返し申し上げますけれども、どこにも入らないのが雑所得でございますから。  だから、是非、もしできるんだったらば次回、繰り返しますけれども、金子先生の説を否定できるだけのものをいただきたいと思うんですね。否定できなかったら、やっぱり私は、確かにおっしゃるように雑所得の可能性もありますよ、でも、譲渡所得でもいいじゃないかと、私はこう思うので、これ宿題にしますけど、また次回続きをやりたいと思いますけれども、是非、そのことを言って、ちょっともし、まだ一分ありますので、もし主税局長、何かお話ししたいのであれば。

151 星野次彦発言URLを表示○政府参考人(星野次彦君) 本日の議論は、所得税法上の所得分類の関連で、やはり概念整理をやるということで議論が始まりました。  国税庁も含めまして、私どもは、所得税法上の例えば譲渡所得の概念についてはるる申し上げましたけれども、資産の値上がりによってその資産の所有者に帰属する増加益を所得として認識をしてこれに課税をするという趣旨でございます。これまでの国税庁からの答弁でも、ビットコインなどの暗号資産については、これは、資金決済法上も、また消費税法上も見ても、その資産の値上がりによる増加益というふうには性質上考えられないということで、これが譲渡所得に当たらないということでございます。  また、外国為替についてもほぼ同じような理屈でこういうことを申し上げておりまして、ここの分類につきましては、そこは政策的な要請という先生の御主張も分かりますけれども、政策的要請で概念が変わるものではないということで、私どもの概念整理を御説明をしているということでございます。

152 藤巻健史発言URLを表示○藤巻健史君 政策的なもので範疇が変わるわけではないというのは私も十分に分かっています。学説にそういうのがあるから変えてみたらどうですかという話を今日はしているわけで、今後、きっとこの今日、話を聞きながら、いろいろ学者の先生の間でも議論が始まると思いますので、是非、学説でいろんなことを、どういうふうに出るか、興味を持って見ていきたいなと思います。  ありがとうございました

上記の税制等に関する政府参考人の答弁にあたり、当局はどのような資料を用意していたのでしょうか。以下では、当局が、藤巻議員の質問に対して用意していた税金に関する答弁の内容を確認していきます。

その中には、暗号資産の資産該当性、譲渡所得該当性や分離課税に関するものや、「諸外国の課税では暗号資産の譲渡による損益をキャピタルゲイン・ロスとして取り扱っているのではないのか」といった質問に対する答弁案の記載もあります。

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