現場での休憩時間に購入したお茶代や飲料代は、事業のために必要な支出として経費にできるのでしょうか。また、外注費について、署名押印のある書類があれば足りるのでしょうか。さらに、配偶者控除と専従者控除の違いをよく理解していなかった場合、それは「やむを得ない事情」として救済されるのでしょうか。
本件は、塗装業を営む個人事業者が、飲料代、外注費、専従者控除の適用を巡って争った事案です。国税不服審判所令和6年1月17日裁決(関裁(所・諸)令5-20)は、証拠の提出状況の不自然さや概算による算定を重視し、いずれも厳格に否定しました。
国税不服審判所ホームページの裁決要旨
請求人は、現場の10時及び15時のお茶代である飲料代(本件飲料代)は、社会通念上当然とされる休憩時間での水分補給に係る費用であることから、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入される旨主張する。
しかしながら、請求人は総勘定元帳以外に本件飲料代に係る証拠を提出しておらず、その価額についても概算で算定するのみであるから、本件飲料代を請求人が支払ったとも、本件飲料代が飲料品の譲受けの対価であるとも認められず、当審判所の調査及び審理の結果によっても、本件飲料代の支出を認めるに足りる証拠はない。したがって、本件飲料代は事業所得の金額の計算上、必要経費に算入されず、また、消費税等の金額の計算上、課税仕入れに係る支払対価の額に算入されない。(令6. 1.17 関裁(所・諸)令5-20)
請求人は、外注先又はその親族による署名押印がされた書類によって外注費として支払われたものであることが明らかであるもの(本件外注費)は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入される旨主張する。し
かしながら、当該書類には受領時期や金額が記載されているものの、外注先及びその親族は、いずれも本件外注費の正確な受領時期や金額については分からない旨申述し、また、外注費の存在及びその金額を裏付ける客観的な資料もなく、当該書類以外の総勘定元帳等の資料も期限後申告書提出後に作成され、時期を異にして順次原処分庁に提出される等、証拠の提出経過が不自然であり、本件外注費に係る支払があったとは認められないから、本件外注費は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入されず、また、消費税等の金額の計算上、課税仕入れに係る支払対価の額に算入されない。(令6. 1.17 関裁(所・諸)令5-20)
請求人は、請求人が申告書において専従者控除を選択せず配偶者控除を選択したのは、配偶者控除と専従者控除との違いが分からなかったからであり、これは所得税法第57条《事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等》第6項に規定する「やむを得ない事情」に当たるから、専従者控除の適用を認めるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人が提出した申告書には、同条第3項の適用を受ける旨の記載はなく、同項の規定により必要経費とみなされる金額に関する記載もない。また、同条第6項に規定する「やむを得ない事情」とは、納税者の責めに帰すことができない客観的な事情をいい、税法の不知や事実の誤認などの納税者の主観的な事情は、「やむを得ない事情」に当たらないと解するのが相当であるところ、配偶者控除と専従者控除の違いが分からずに申告書に専従者控除の適用を受ける旨を記載しなかったことは、請求人の主観的な事情にすぎず、他に請求人の責めに帰すことができない客観的事情を認めるに足りる証拠もないから、当該事情は「やむを得ない事情」に当たらない。したがって、請求人の主張には理由がない。(令6. 1.17 関裁(所・諸)令5-20)
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