官税 1- 40 課評 1- 13
官総 10- 61 課消 1- 27
官改 1- 49 課軽 1- 96
課総 2- 15 課審 1- 13
課個 4- 60 徴管 1- 31
課資 6- 44 徴徴 1-111
課法 1- 24 査調 1- 67
課酒 1- 33 査察 1- 40
令和6 年6 月1 9 日


各国税局長
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官


令和6事務年度における税理士関係事務の運営に当たり特に留意すべき事項について(指示)


標題のことについては、別紙のとおり定めたから、平成14 年7月5日付官総6-110「『税理士事務提要』の制定について」(事務運営指針。以下「提要」という。)及び令和6年6月19 日付官総10-45 ほか32 課共同「令和6事務年度における事務運営に当たり特に留意すべき各事務系統に共通する事項について」(指示)によるほか、これにより適切な運営を図られたい。

1 基本的な考え方
「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」という国税庁の使命を達成するため、国税庁の任務の一つである「税理士業務の適正な運営の確保」に努める。
具体的には、税理士及び税理士法人(以下「税理士等」という。)が、その公共的使命を踏まえ、申告納税制度の適正かつ円滑な運営に重要な役割を果たすよう、「税理士会(支部を含む。以下同じ。)との連絡協調」や「税理士等に対する指導監督等」などに取り組む。
これら税理士関係事務に当たっては、PDCAサイクルに基づき、取組状況を適切に分析・評価した上で、それを踏まえた必要な対応を行うなど、事務のやり方の見直しも図るとともに、庁局・各局間で連携しながら、効果的・効率的な運営に努める。また、適切な進行管理とともに、急な欠員などが生じた場合には、必要に応じて事務処理体制の変更や事務計画の見直しを行うなど、弾力的な運営に配意する。
参考:提要第1章第3節〈1 税理士事務運営に当たって〉


2 税理士法に関する職員研修等の実施
「税理士業務の適正な運営の確保」のためには、国税局(沖縄国税事務所を含む。以下「局」という。)・税務署(以下「署」という。)の職員が、税理士法(昭和26 年法律第237号)に関する知識を正しく習得し、活用する必要がある。
このため、税理士監理官(沖縄国税事務所にあっては総務課長。以下同じ。)は、事務年度首の各種研修・会議や署への臨場時等に、局署幹部に対して、部下職員が税理士法に関する職員研修等に参加し、税理士会との連絡協調に必要な知識や「税理士等情報せん」の作成に必要な税理士法違反行為の基礎的知識を習得するよう依頼する。
なお、税理士監理官は、職員研修等の資料に次の内容も盛り込む。
※ 「税理士等情報せん」は、平成14 年6月28 日付官総6-106 ほか12 課共同「関係各部課及び税務署から税理士監理官への情報提供要領の制定について」(事務運営指針。以下「情報提供要領通達」という。)に定めるものをいう。


【職員研修等に盛り込む内容】
・ 税理士等の自己脱税や無申告事案は、課税調査の対象として確実に選定すること。
・ 課税調査担当者や徴収担当者(以下「課税調査等担当者」という。)が、課税調査や滞納整理など(以下「課税調査等」という。)の過程において多額の不正行為の事実を把握したときは、税理士等の不正関与の有無を必ず確認すること。
・ 確認の結果、税理士等の不正関与など税理士法違反行為の疑いがあると認められる場合には、税理士監理官へ速やかに連絡するとともに、「税理士等情報せん」を作成すること。
・ 特に、課税調査等において税理士による調査妨害などが疑われる行為を把握した場合は、課税調査等担当者は、直ちに具体的な事実に基づく当該行為の詳細(日時、場所、当方及び相手方の言動に関する具体的事実など)について、確実に記録に残すこと。
・ 税理士法第2条の3「税理士の業務における電磁的方法の利用等を通じた納税義務者の利便の向上等」の努力規定について、局署職員が正しく理解するよう、この規定の趣旨等。

参考:提要第1章第3節〈2 税理士法等に関する職員研修等の実施〉


3 税理士会との連絡協調
申告納税制度の適正かつ円滑な運営を図る上で、公共的使命を担う税理士が果たすべき役割は極めて大きなものがあることから、税務行政に対する税理士の理解を得ることが重要である。
このため、局署幹部は、日頃からあらゆる機会を通じて、税理士会役員等と意思疎通を図り、税理士会との連絡協調を推進する。
⑴ 税理士会との連絡協議会等の開催
局署幹部は、税理士会との連絡協議会等を通じ、幅広い課題について協議・意見交換を行うなど、税理士会との連絡協調に努める。
なお、添付書類も含めたe-Tax の利用拡大、キャッシュレス納付の推進、書面添付制度の一層の普及・定着、年末調整手続の電子化、事業者の業務のデジタル化を含むDX 関連施策など、税理士の業務と密接に関係した税務行政の各種施策の実施に当たっては、税理士等の要望を的確に把握するとともに、施策への理解を求める。
また、e-Tax の利用勧奨に当たっては、税理士等がe-Tax 利用を行っていないことのみをもって、税理士法第2条の3の努力義務違反として行政指導や懲戒処分の対象となるものではないことに留意する。


⑵ 税理士会が開催する研修会等への講師派遣
税理士会が開催する研修会や説明会(以下「研修会等」という。)への講師派遣の要請があった場合、局署職員は、積極的に協力するとともに、研修会等の内容の充実を図る。
具体的には、税理士会と事前に研修会等の内容に関する打合せを行い、開催趣旨や税理士会の要望を把握した上で、過去の評価等を分析して、説明方法や資料の見直しを行うなどの改善策を講じる。
参考:提要第2章第1節〈1 協議会等の開催〉、〈3 研修会等への協力〉


4 税理士等に対する指導監督・にせ税理士への対応
税理士等に対する指導監督の的確な実施や、税理士等でない者による税理士法第52条、第53 条違反行為(以下当該行為者を「にせ税理士」という。)への厳正な対処に向けて、局署職員は、以下の項目に重点的に取り組む。
なお、各取組に当たっては、局署の実情を踏まえ、十分な事務量の確保と各取組へのバランスの取れた事務量配分に配意して事務計画を策定するとともに、適切な進行管理と弾力的な運営に配意する


⑴ 税理士等による税理士法違反行為の未然防止
税理士制度に対する国民の信頼を確保するためには、税理士等による税理士法違反行為の未然防止を図ることが肝要である。
このため、局署幹部は、税理士法違反行為の未然防止の重要性を十分に認識し、税理士会との会合や協議会・研修会、実態確認等のあらゆる機会を活用して、積極的・効果的な注意喚起を行う。

⑵ 「税理士等情報せん」の的確な収集等
税理士等に対する指導監督やにせ税理士への対応を的確に行うためには、税理士法違反行為に関する情報の収集が不可欠である。
このため、税理士等に対する指導監督事務を所掌している税理士事務担当者は、自ら率先して、税理士法違反行為の情報収集に努める。
また、局署職員は、情報提供要領通達に基づき、適切に「税理士等情報せん」を作成し、税理士監理官に提出する。特に、課税調査等担当者が課税調査等において税理士法違反行為が疑われる事実等を把握した場合は、税理士監理官に速やかに連絡する。
参考:提要第3章第1節〈1 税理士等情報せんの作成等〉


⑶ 課税調査等担当者との意識共有等
課税調査等担当者から「課税調査等において税理士法違反行為の疑いを把握した」旨の連絡があった場合、局署税理士事務担当者は、当該課税調査等の担当部署との間で、課税調査等や税理士法違反行為に係る調査の処理方針等について意識共有を図る。併せて、当該課税調査等の担当部署に対して、税理士法違反行為に関する証拠資料の収集とその保全を確実に行うよう依頼する。


⑷ 税理士等に対する実態確認
実態確認は、署税理士事務担当者が主体となって、次の点に留意して、計画的かつ的確に実施する。
イ 必要事務量の確保
署税理士事務担当者は、実態確認に必要な事務量を適切に見積もった上で、実態確認対象者の選定に関する署長決裁時に、署幹部にその見込み事務量を報告する。
ロ 重点対象者の選定
署税理士事務担当者は、各種情報や部内簿書等に基づき、実態確認の重点対象者として次に掲げる者を的確に選定する。
なお、税理士自身の無申告により懲戒処分や指導を受けた税理士等については、じ後の申告状況を確実に確認する。

【実態確認の重点対象者】
・ 懲戒処分により業務停止期間中の者
・ 懲戒処分後に業務を再開した者
・ 過去の指導事項について改善状況を確認する必要がある者
・ 税理士業務の実態を把握できない者(使用人や関与先の概況が不明な者、長期未接触者等)
ハ 実態確認の実施
実態確認の実施に当たっては、「税理士等実態確認表」を活用して実態確認対象者ごとの確認項目をあらかじめ抽出するなど、事前準備を確実に行い、業務内容等の的確な把握に努める。
特に、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19 年法律第22 号)の遵守状況については、税理士の責務の認識や特定受任行為の代理等の有無を必ず確認し、状況に応じて、指導や注意喚起を適切に行う。
ニ 進捗管理の徹底
税理士監理官は、各署における実態確認の実施状況を把握し、進捗管理を確実に行う。
また、実態確認対象者の関与先数や事務所の規模等、署税理士事務担当者の経験等を勘案して、的確な実態確認の実施が困難であると判断した場合には、税理士専門官等による支援・指導を行う。
参考:提要第4章第1節〈3 選定〉、〈4 計画及び進行管理等〉、〈5 実施要領〉


⑸ 税理士等に対する税理士法上の調査
局署税理士事務担当者は、税理士等に関する情報等から税理士法違反行為があると認められる場合に、税理士に対する懲戒処分や税理士法人に対する処分を視野に入れ、次の点に留意して税理士法上の調査(以下単に「調査」という。)を実施する。
なお、事務年度中に争訟事案が発生した場合には、調査計画を変更するなどして、争訟事案に対応するための事務量を確保する。
イ 調査対象者の選定
税理士監理官は、次の税理士法違反行為が放置されることのないよう、重点調査対象事案として的確に選定を行うほか、複雑・困難事案についても調査対象として的確に選定を行う。
なお、事案選定に当たっては、税理士法違反行為の前提となる課税調査の結果について、税理士監理官又は税理士専門官が課税調査の関係資料等を確実に精査し、課税処分時の認定事実等が税理士法違反の要件を充足していることを確認する。
その他、税理士監理官が、税理士等自身の無申告情報を把握した場合には、局内関係課と税理士等に関する課税調査の実施について協議する。
【重点調査対象事案】
・ 故意による不真正税務書類の作成等(税理士法第45 条第1項該当)
・ 税理士等自身(税理士が代表者である法人又は実質的に支配していると認められる法人を含む。)の脱税(税理士法第37 条違反)
・ 多額かつ反職業倫理的な自己申告漏れ(無申告に係るもの)(税理士法第37 条違反)
・ 業務け怠(委嘱された税理士業務について正当な理由なく怠ったことをいう。)
(税理士法第37 条違反)


ロ 調査事案に応じた調査体制の確保
税理士監理官は、調査事案の困難性等から、他局の税理士専門官の支援が必要と判断した場合は、原則として、事務年度当初にその旨を庁税理士事務担当者に連絡する。


ハ 調査の実施
調査の実施に当たっては、じ後の不服申立て等を念頭において、事実関係を的確に把握するとともに、証拠資料の収集及び保全を確実に行い、処分の適法性の確保に努める。
なお、懲戒処分等の進達を予定している調査事案については、「事前相談確認票」を作成した上で、早期に庁税理士事務担当者と相談する。
参考:提要第4章第2節〈2 選定〉、〈5 調査着手の要領〉、〈6 実施に当たっての留意事項〉


ニ 懲戒逃れを図る者への対応
令和5年4月1日以後に行われた税理士法違反行為に係る調査の過程で懲戒処分を逃れる目的で税理士を自主廃業する者(いわゆる、懲戒逃れを図る者)については、税理士法第48 条の「懲戒処分を受けるべきであったことについての決定等」の適用を検討し、同法第55 条第2項(監督上の措置)により調査を継続する。また、令和5年3月31 日以前に行われた税理士法違反行為に係る調査の過程で懲戒逃れを図る者については、上記の適用がないことから、国税当局として個別管理を徹底する。
参考:提要第4章第2節〈1 対象者〉、〈6 実施に当たっての留意事項〉、第6章第2節〈2懲戒処分等を受けた者等のフォローアップ〉


⑹ にせ税理士に対する確認調査等
イ 確認調査
確認調査の選定に当たって、次に掲げる者のうち、にせ税理士行為が想定される者は、確認調査の重点対象者として選定する。
局署税理士事務担当者は、収集した「税理士等情報せん」等の各種情報や部内簿書等に基づく事前準備を的確に行った上で、確認調査を実施する。
【確認調査の重点対象者】
・ 「税理士業務の禁止」の処分を受け、その処分期間中の者
・ 令和5年3月31 日以前に行われた税理士法違反行為に係る調査の過程において懲戒逃れを図った者
・ 税理士法第48 条(懲戒処分を受けるべきであったことについての決定等)の規定による決定を受けた者
・ 税理士法第37 条の2(非税理士に対する名義貸しの禁止)の規定に違反する行為を行っている者の名義を利用している者


ロ 命令制度に係る調査
令和5年度税理士法改正により、税理士等でない者が税務相談を行った場合の命令制度が創設されるとともに、その税務相談を行った者に対する調査権限等が整備され、令和6年4月1日に施行された。
これらのことから、局税理士事務担当者は、命令制度に係る調査(税理士法第55 条第3項)を実施する場合、当面の間、事前に庁税理士事務担当者に連絡をする。
参考:提要第7章第3節〈2 選定〉、〈4 確認調査の実施〉、〈5 確認調査時の留意事項〉


5 退職予定職員に対する注意喚起等の徹底
局署幹部は、税務職員を退職して税理士となる者に対し、退職予定職員に対する説明会などの機会を利用し、税理士法について説明する。
特に、税理士法第42 条(業務の制限)は、税務行政に従事していた者に課せられた制限であることから、税理士業務の制限の対象となる基本的な範囲など、留意すべき内容等を確実に周知徹底し、税理士法違反行為の未然防止を図る。
参考:提要第12 章第1節〈1 税理士法遵守についての注意喚起等〉、〈2 法第42 条の周知徹底〉

参考資料(ダウンロード可)

令和6事務年度における税理士関係事務の運営に当たり特に留意すべき事項について(指示)