国税庁では、事前照会に対する文書回答手続に関する事務運営指針に基づき、納税者の皆様の予測可能性の一層の向上に役立ててもらうため、特定の納税者の個別事情に係る事前照会について、一定の要件に該当しない限り、文書による回答を行っています。
上記については、平成14年6月28日付課審1-14ほか8課共同「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について(事務運営指針)」が発遣されています。
以下では、前回の記事「国税庁の事前照会に対する文書回答手続(平成14年6月、平成16年2月、平成18年5月の事務運営指針改正等)」に続き、次の各事務運営指針改正の概要や趣旨等について、国税庁から開示された決裁資料に基づいて確認します。また、当該決裁資料を記事の最後にアップしておきます。
- 「将来行う予定の取引で個別具体的な資料の提出が可能なもの」も照会可能とし、原則3か月以内の極力早期回答努力を明記した平成20年3月の事務運営指針改正
- おおむね1月以内に、文書回答の可能性、処理の時期の見通し等について、事前照会者に対し回頭で説明することとした平成23年3月の事務運営指針改正
- 仮定の事実関係に基づく」照会のルールを整備しなおした平成29年5月の事務運営指針改正
- 照会文書への押印を廃止した令和2年10月の事務運営指針改正
- 「税の軽減を主要な目的とするもの」要件を削除するなどした令和3年6月の事務運営指針改正
- 沖縄国税事務所への審理官設置等に伴う令和5年6月の事務運営指針改正
平成20年3月の事務運営改正(「将来行う予定の取引で個別具体的な資料の提出が可能なもの」の追加、原則3か月以内の極力早期回答努力)
決裁資料の「伺い」文
文書回答手続は、納税者サービスの一環として、具体的な取引等に係る税法の適用等に関して、文書による回答を求める納税者からの申告期限前の照会(以下「事前照会」という。)に対して、一定の要件の下、回答を文書で行うとともに、その内容を公表することにより、他の納税者に対しても税法の適用等に関する予測可能性を与えることを目的として実施している。
今回、この文書回答手続について、納税者利便の一層の向上及び事務処理の適正化の観点から、所要の整備を行い、現行の事務運営指針を別案のとおり改正することとしたい。
(注)なお、「同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について」の一部改正について(事務運営指針)については、本事務運営指針の改正と同時に発遣することを予定している。
文書回答手続の事務運営指針の一部改正について
1 平成20年度税制改正審議を踏まえ(「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について(事務運営指針)」を次のとおり改正する。
(主な改正点)
① 文書回答を行う対象となる事前照会の範囲に、将来行う予定の取引で個別具体的な資料の提出が可能なものを加える。 ´
② 照会・回答内容の公表に関して、事前照会者名などの事前照会者を特定する情報は原則非公表とする。
なお、事前照会者から申出があつた場合は事前照会者名を公表することができることとする。
③ 回答文書等は、原則として、その回答後60日以内に公表することとしているが、事前照会者の申出があり、その申出に相当な理由がある場合には、180日以内(現行120日以内)の期間、公表を延期できることとする。
④ 文書回答は、照会文書が到達した日から原則3か月以内に行うよう努めることとしているが、原則3か月以内の極力早期に行うよう努めることとする。
(参考)現行の事務運営指針中に「複数の選択肢がある事実関係に基づくものではないこと」との要件があるが、その意味は、「一つの照会文書において前提となる事実関係が選択的なものとなっていないことである」旨注記し、明確化を図ることとする。
2 「同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について(事務運営指針)」についても、上記l④と同様の改正を行う。
3上記改正は、いずれも平成20年4月1日以後に受け付けたものから適用する。
平成23年3月の事務運営指針改正(文書回答の可能性、処理の時期の見通し等)
決裁資料の「伺い」文
文書回答手続は、納税者サービスの一環として、実際に行われた又は確実に行われる取引等で、多数の納税者から照会が予想されるものや不特定多数の納税者にかかわるものの税務上の取扱いについて文書により回答を行うとともに、その内容を公表することにより、同様の取引等を行う他の多数の納税者に対しても税法の適用等について予測可能性を与えることを目的として実施している。
今回、この文書回答手続について、納税者利便の一層の向上の観点から、、所要の整備を行い、現行の事務運営指針を別案のとおり改正することとしたい。
文書回答手続の事務運営指針の一部改正について
1 文書回答手続の概要
文書回答手続は、納税者サービスの一環として、実際に行われた又は確実に行われる取引等で、多数の納税者から照会が予想されるものや不特定多数の納税者にかかわるものの税務上の取扱いについて文書により回答を行うとともに、その内容を公表することにより、同様の取引等を行う他の多数の納税者に対しても税法の適用等について予測可能性を与えることを目的として実施している。
2 改正点
平成23年度税制改正大綱を踏まえ、「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について(事務運営指針)」を次のとおり改正する。
①国税局の担当職員は、照会文書が受付窓口に到達しだ日からおおむね1月以内に、それまでの検討状況から見た文書回答の可能性、処理の時期の見通し等について、事前照会者に対し回頭で説明することとする。ただし、補足資料の提出等を求めた日から提出等がなされた日までの期間は、この1月の期間に算入しないこととする。
② 事前照会者からの申出に相当の理由があるとして、照会内容及び回答内容等の公表を延期できる期間を、最長1年以内(改正前180日以内)に延長する。
3 適用時期
平成23年4月1日以後に受け付けたものから適用する。
平成29年5月の事務運営指針改正(仮定取引要件の整備、記名押印要件の簡素化)
決裁資料の「伺い」文
事前照会に対する文書回答手続は、納税者サービスの一環として、実際に行われた又は確実に行われる取引等で、多数の納税者から照会が予想されるものや不特定多数の納税者に関わるものの税務上の取扱いについて文書により回答を行うとともに、その内容を公表することにより、同様の取引等を行う他の多数の納税者に対しても税法の適用等について予測可能性を与えることを目的として実施している。
今回、この文書回答手続について、納税者利便の一層の向上の観点から、所要の整備を行い、現行の事務運営指針を別案のとおり改正することとしたい。
(注)「『同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について』の一部改正について(事務運営指針)」については、本事務運営指針の改正と同時に発遣することを予定している。
文書回答手続(事前照会)の事務運営指針の一部改正について
1 文書回答手続の概要
事前照会に対する文書回答手続は、納税者サービスの一環として、実際に行われた又は確実に行われる取引等で、多数の納税者から照会が予想されるものや不特定多数の納税者に関わるものの税務上の取扱いについて文書により回答を行うとともに、その内容を公表することにより、同様の取引等を行う他の多数の納税者に対しても税法の適用等について予測可能性を与えることを目的として実施している。
2 改正点
納税者利便の一層の向上の観点から、「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について(事務運営指針)」を次のとおり改正する。
① 文書回答手続の対象となる照会範囲についての誤解の是正
現行の事務運営指針においては、将来行う予定の取引等であっても、個別具体的な資料の提出が可能なものは照会の対象としている。この場合、自己に有利な回答を引き出すために照会内容の一部を変更するなどして照会を繰り返し、租税回避に悪用される可能性があることから、「仮定の事実関係に基づく」照会は、文書回答手続の照会範囲から除いている。そのため、例えば、照会者が、認可前の金融商品など前提となる事実関係が最終確定していない照会は、本来は照会の対象となるにもかかわらず、照会者において「仮定の事実関係に基づく」照会に該当し、照会の対象外であるとの誤解を生み、照会に至っていない現状が把握されたことから、これを是正するために文書回答手続の照会範囲を整理する。
② 納税者の照会に係る事務手続の簡素化
現行の事務運営指針においては、照会文書には一律に代表者の記名押印を求めているところ、大企業においては記名押印のための代表者への説明等の事務手続が煩雑であり、照会する上での負担になっているとの意見があることから、記名押即を行うべき者について担当役員でも差し支えないこととする。
3 適用時期
平成29年7月1日以後に受け付けるものから適用する。
令和2年10月の事務運営指針改正(押印廃止)
決裁資料の「伺い」文
事前照会に対する文書回答手続は、納税者サービスの一環として、個別の取引等に係る税務上の取扱いについて、文書により回答を行うとともに、その内容を公表することにより、同様の取引等を行う他の多数の納税者に対しても税法の適用等について予測可能性を与えることを目的として実施している。
今回、この文書回答手続について、照会者の事務負担の軽減及び行政事務の効率化を図る観点から、所要の整備を行い、現行の事務運営指針を別案のとおり改正することとしたい。
(注)「『同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について』の一部改正について(事務運営指針)」については、本事務運営指針の改正と同時に発遣することを予定している。
文書回答手続(事前照会)の事務運営指針の一部改正について
1 文書回答手続の概要
事前照会に対する文書回答手続は、納税者サービスの一環として、個別の取引等に係る税務上の取扱いについて、文書により回答を行うとともに、その内容を公表することにより、同様の取引等を行う他の多数の納税者に対しても税法の適用等について予測可能性を与えることを目的として実施している。
2 改正点
照会者等の事務負担の軽減及び行政事務の効率化を図る観点から、照会文書への押印を不要とするなど、平成14年6月28日付課審1-14ほか8課共同「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について(事務運営指針)」に定める様式等を改正する。
3 適用時期
令和2年10月26日以後に受け付けるものから適用する。
令和3年6月の事務運営指針改正(「税の軽減を主要な目的とするもの」要件削除)
決裁資料の「伺い」文
事前照会に対する文書回答手続は、納税者サービスの一環として、個別の取引等に係る税務上の取扱いについて、文書により回答を行うとともに、その内容を公表することにより、同様の取引等を行う他の多数の納税者に対しても税法の適用等について予測可能性を与えることを目的として実施している。
今回、この文書回答手続について、納税者利便の一層の向上の観点から、所要の整備を行い、現
行の事務運営指針を別案のとおり改正することとしたい。
(注)「『同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について』の一部改正について(事務運営指針)」については、本事務運営指針の改正と同時に発遣することを予定している。
文書回答手続(事前照会)の事務運営指針の一部改正について
1 文書回答手続の概要
事前照会に対する文書回答手続は、納税者サービスの一環として、個別の取引等に係る税務上の取扱いについて、文書により回答を行うとともに、その内容を公表することにより、同様の取引等を行う他の多数の納税者に対しても税法の適用等について予測可能性を与えることを目的として実施している。
2 改正点
文書回答の対象となる事前照会等の範囲については、照会内容を公表することにより納税者の予測可能性を向上させるという文書回答手続の趣旨や濫用防止の観点から、複数の要件が定められている。
この要件については、①項目が多く、類似するものがある、②抽象的な表現もあり、文書回答の対象になるかどうかの判断が難しい、といった意見が寄せられていたところ。
このような意見を踏まえ、今般、この要件のうち、類似する要件を統合するともに、「税の軽減を主要な目的とするもの」のように、事前照会の段階において確定的に判断が困難な要件を削除するなど、要件の整理・合理化を行うこととしたい。
3 適用時期
令和3年7月1日以後に受け付けるものから適用する。
令和5年6月の事務運営指針改正(沖縄国税事務所への審理官設置)
この改正は、単に、令和5年度機構改正による沖縄国税事務所への審理官設置等に伴い、所要の整備を行うものです。
参考資料(ダウンロード可)
事前照会・文書回答制度を税務調査対策として活用する
令和3年の改正で「税の軽減を主要な目的とするもの」という要件が削除されたことにより、事前照会の対象範囲が拡大されました。暗号資産・NFT・Web3・国際取引・組織再編など、税務上の取扱いが不明確な案件では、積極的に事前照会を活用することで税務調査リスクを大幅に低減できます。泉絢也税理士事務所では、当局への照会・事前確認を専門サービスとして提供しており、国税庁・税務署への事前照会の立案・書面作成・回答交渉を全国対応で承っています。
税務調査・事前照会でお困りの方へ|税理士にご相談ください
「新規ビジネスの税務上の取扱いを事前に確認したい」「税務調査が不安なので事前照会を検討したい」「照会書類の作成を依頼したい」など、事前照会・税務調査対応に関するお悩みは専門税理士にご相談ください。事前照会・当局への照会サービスの詳細はこちら。また、高度な損益計算については提携するカオーリア会計事務所(https://kaoria-tax.com/)と連携して対応いたします。
よくある質問(事前照会・文書回答手続の改正)
Q1. 令和3年の改正で事前照会制度はどう変わりましたか?
令和3年6月の改正により、「税の軽減を主要な目的とするもの」は文書回答しないという要件が削除されました。これにより、節税効果を伴う取引であっても事前照会の対象となり、より幅広い案件で文書回答を受けることができるようになりました。
Q2. 令和2年の改正で押印が廃止されたとはどういうことですか?
令和2年10月の改正により、事前照会書類への押印要件が廃止されました。これにより、照会書類の作成・提出の手続きが簡素化され、より利用しやすくなっています。
Q3. 平成29年の改正で「仮定取引要件」はどう整備されましたか?
平成29年5月の改正により、仮定の事実に基づく照会(例:「もし〇〇した場合は…」という形式)については文書回答の対象外であることが明確化されました。事前照会は、実際に行う予定の具体的な取引について行う必要があります。
Q4. 事前照会の回答期間はどのくらいかかりますか?
平成20年3月の改正により「原則3か月以内の極力早期回答」という方針が明確化されました。ただし、複雑な案件や関係部署との調整が必要な場合はそれ以上かかる場合があります。照会前に担当部署と十分な事前相談を行うことが重要です。
Q5. 事前照会はどのような案件に特に有効ですか?
暗号資産・NFT・DeFi・Web3・国際取引・組織再編・新規ビジネスモデルなど、税務上の取扱いが法令・通達等で明確でない案件に特に有効です。文書回答を受けることで課税リスクを事前に確認し、税務調査への備えとなります。当事務所の事前照会サービスの詳細はこちらをご覧ください。
国税庁文書回答事務運営指針決裁資料 平成20年3月~令和5年6月.pdf
関連記事
「国税庁の事前照会に対する文書回答手続(平成14年6月、平成16年2月、平成18年5月の事務運営指針改正等)」
国税庁の同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等(平成14年6月、平成16年2月、平成18年5月の事務運営指針改正等)
