国税庁タックスアンサー「No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係」は、平成29(2017)年9月に公表された「No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」から始まったものです。
国税庁がビットコインなどの仮想通貨に関して、取引で生じる利益が「雑所得」にあたるという公式見解を初めて公表したのがこのタックスアンサーです。
それまでは、インターネット上では、「仮想通貨は法定通貨に交換するまで課税されない」、「仮想通貨同士の交換は課税イベントではない」という見解が散見されましたし、税務職員の中にも納税者に対してそのような説明をする者がいたようです。
なので、仮想通貨同士の交換をした際に所得税を申告していなかった納税者に対して税務調査が入り、調査官から修正申告をしなければならないと告げられた際に、仮想通貨の「このタックスアンサーを見るまでは、自分なりに調べたけど、仮想通貨同士の交換は課税ではないと思っていた」のであるから、修正申告や課税処分に対するペナルティ(加算税)を払いたくないと主張する納税者もいるようです。
このように、暗号資産(仮想通貨)の税務調査の際に、国税庁の公式見解がいつ公表され、それがいつ修正等されたかが問題となることもあります。
そこで、この記事では、タックスアンサーがいつ国税庁のホームページで公表され、これまでどのように修正等されてきたのかを、国税庁の内部資料(記事の最後にある参考資料からダウンロードできます)も参照しつつ、確認します。
暗号資産(仮想通貨)タックスアンサーの公表と変遷
令和6(2024)年11月12日現在、国税庁タックスアンサー「No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係」は次のとおり定めています。
No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係
[令和6年4月1日現在法令等]
対象税目
所得税
概要
ビットコインなどの暗号資産を使用することで生じた利益の課税関係については、「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」をご覧ください。
関連リンク
◆パンフレット・手引き
◆各種様式
関連コード
- 1525 暗号資産交換業者から暗号資産に代えて金銭の補償を受けた場合
- 1525-2 NFTやFTを用いた取引を行った場合の課税関係
このタックスアンサーは、もともと「No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」から始まりました。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1524.htm
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/ No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係
No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係
[平成29年4月1日現在法令等]
ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。
このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。
(所法27、35、36)
その後、「No.1524 仮想通貨を使用することにより利益が生じた場合の課税関係」になった後、現在の名称に変更等されました。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1524.htm
No.1524 仮想通貨を使用することにより利益が生じた場合の課税関係
[平成31年4月1日現在法令等]
ビットコインなどの仮想通貨を使用することで生じた利益の課税関係については、「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(情報)」をご覧ください。
参考: 関連コード
• 1525 仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合
以下は、国税庁がホームページを修正等する場合に作成される資料からの抜粋です。
最初のタックスアンサーは平成29年9月に公表
IT mediaニュースによると、平成29年9月6日の時点で、最初のタックスアンサーである「No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」が国税庁のホームページで公表されていたようです。
ビットコイン使用で得た利益は「雑所得」 国税庁が見解
2017年09月06日 17時43分 公開
国税庁は、ビットコインを使用することで生じた利益について「原則として雑所得に区分される」とし、所得税の課税対象になるとの見解を、9月6日までに「タックスアンサー」に掲載した
平成29年9月12日11:56分日経新聞「仮想通貨は「雑所得」、換金売りの引き金か 投資家、税対策で円確保へ」は、「国税庁は9月上旬、ビットコインを使用することで生じた利益について「原則として雑所得に区分される」との見解をホームページの「タックスアンサー」に掲載した。「雑所得」は所得額に応じて5~45%の累進税率がかかる。最大の45%となるのは所得が4000万円超。国税庁が税務上の扱いを明確にしたのは初めてだ。」と報道しています。