📌 この記事でわかること
本裁決(国税不服審判所令和6年9月13日)は、海外(豪州)に留学中の親族を扶養控除の対象とするために提出した書類が、法令の定める「送金関係書類」に該当するかが争われた事例です。請求人は本人名義の預金通帳写しやクレジットカード明細を提出しましたが、審判所はいずれも要件を満たさないと判断し、扶養控除の適用を認めませんでした。
- 国外居住扶養親族に係る扶養控除の適用に必要な「送金関係書類」の具体的な要件(為替取引による送金を証する書類が必要)
- 本人名義の預金通帳写しやクレジットカード明細が「送金関係書類」に該当しないと判断された理由
- 「生活費を負担している事実」があっても形式要件を満たす書類がなければ控除が認められない理由
- 書類を限定する施行規則が委任の範囲を逸脱していないとされた根拠
- 更正処分の通知書における理由提示の適否(行政手続法第14条第1項)の判断枠組み
国税不服審判所ホームページの裁決要旨
請求人は、原処分庁の処分に係る通知書(本件通知書)に記載された処分の理由は、請求人が主張する非居住者の生活費等を負担していた事実に触れることなく、所得税法施行規則に定める書類の提出がないことのみを理由として記載しているほか、具体的な法令解釈についても示していないから、行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》第1項が求める理由の提示として不備がある旨主張する。
しかしながら、本件通知書には、原処分庁による判断結果並びにその基礎とされた根拠法令及び事実関係の内容が具体的に明示されており、本件通知書に記載された処分の理由は、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意性を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与えるという同項本文の趣旨を充足する程度に具体的に明示されたものといえるから、原処分の理由の提示に不備はない。(令6. 9.13 東裁(所)令6-30)
請求人は、所得税法(令和2年法律第8号による改正前のもの)第120条《確定所得申告》第3項第2号に規定する生計を一にすることを明らかにする書類の範囲を所得税法施行規則(令和2年財務省令第11号による改正前のもの)第47条の2《確定所得申告書に添付すべき書類等》第6項に規定する書類(送金等関係書類)に限定するのは、法令で委任された範囲を逸脱するものであり、当該書類以外の書類であっても、請求人と国外に居住する親族(本件親族)が生計を一にすることを明らかにするものであれば、同号に規定する書類の添付又は提示があったものと解すべきであるから、請求人が提出した預金通帳の写し等の書類(本件書類)をもって、所得税等の計算上、本件親族に係る扶養控除の適用がある旨主張する。
しかしながら、所得税法等は、国外に居住している親族に係る扶養控除の適用を受ける際には、確定申告書に本件親族と生計を一にすることを明らかにする書類の添付又は提示を義務付けているところ、請求人が提出した本件書類は送金等関係書類には該当しないため、請求人は確定申告書に本件親族と生計を一にすることを明らかにする書類を添付等していないことから、本件親族に係る扶養控除の適用はない。(令6. 9.13 東裁(所)令6-30)
裁決要旨
国税不服審判所ホームページの裁決要旨
請求人は、原処分庁の処分に係る通知書(本件通知書)に記載された処分の理由は、請求人が主張する非居住者の生活費等を負担していた事実に触れることなく、所得税法施行規則に定める書類の提出がないことのみを理由として記載しているほか、具体的な法令解釈についても示していないから、行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》第1項が求める理由の提示として不備がある旨主張する。
しかしながら、本件通知書には、原処分庁による判断結果並びにその基礎とされた根拠法令及び事実関係の内容が具体的に明示されており、本件通知書に記載された処分の理由は、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意性を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与えるという同項本文の趣旨を充足する程度に具体的に明示されたものといえるから、原処分の理由の提示に不備はない。(令6. 9.13 東裁(所)令6-30)
請求人は、所得税法(令和2年法律第8号による改正前のもの)第120条《確定所得申告》第3項第2号に規定する生計を一にすることを明らかにする書類の範囲を所得税法施行規則(令和2年財務省令第11号による改正前のもの)第47条の2《確定所得申告書に添付すべき書類等》第6項に規定する書類(送金等関係書類)に限定するのは、法令で委任された範囲を逸脱するものであり、当該書類以外の書類であっても、請求人と国外に居住する親族(本件親族)が生計を一にすることを明らかにするものであれば、同号に規定する書類の添付又は提示があったものと解すべきであるから、請求人が提出した預金通帳の写し等の書類(本件書類)をもって、所得税等の計算上、本件親族に係る扶養控除の適用がある旨主張する。
しかしながら、所得税法等は、国外に居住している親族に係る扶養控除の適用を受ける際には、確定申告書に本件親族と生計を一にすることを明らかにする書類の添付又は提示を義務付けているところ、請求人が提出した本件書類は送金等関係書類には該当しないため、請求人は確定申告書に本件親族と生計を一にすることを明らかにする書類を添付等していないことから、本件親族に係る扶養控除の適用はない。(令6. 9.13 東裁(所)令6-30)
事案の概要
国外に居住する親族(本件親族)を国外居住扶養親族として扶養控除を適用し、所得税等の確定申告を行ったところ、原処分庁が、「生計を一にすることを明らかにする書類」の添付又は提示がないとして扶養控除の適用を否認し、更正処分等を行った事案である。これに対し、原処分の全部の取消しが求められた。
関係法令
イ 行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》第1項本文は、行政庁は、不利益処分をする場合には、その名宛人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない旨規定し、同条第3項は、不利益処分を書面でするときは同条第1項の理由は、書面により示さなければならない旨規定している。
ロ 所得税法(平成30年分及び令和元年分については、平成30年法律第7号による改正前のものであり、令和2年分及び令和3年分については、令和2年法律第8号による改正前のもの。以下同じ。)第2条《定義》第1項第34号は、扶養親族とは、居住者の親族(その居住者の配偶者を除く。)でその居住者と生計を一にするもののうち、合計所得金額が48万円(平成30年分及び令和元年分については38万円)以下である者をいう旨規定し、同項第34号の2は、控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、年齢16歳以上の者をいう旨規定している。
ハ 所得税法第84条《扶養控除》第1項は、居住者が控除対象扶養親族を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額から、その控除対象扶養親族1人につき38万円を控除する旨規定している。
二 所得税法第120条《確定所得申告》第3項柱書及び同項第2号は、確定申告書に、同法第85条《扶養親族等の判定の時期等》第3項の規定による判定をする時の現況において非居住者である親族に係る扶養控除に関する事項の記載をする居住者が、当該申告書を提出する場合には、当該居住者は、政令で定めるところにより、当該扶養控除に係る非居住者である親族が当該居住者の親族に該当する旨を証する書類及び当該非居住者である親族が当該居住者と生計を一にすることを明らかにする書類を当該申告害に添付し、又は当該申告書の提出の際提示しなければならない旨規定している。
ホ 所得税法施行令(令和2年政令第111号による改正前のもの。以下同じ。)第262条《確定申告蓄に関する書類等の提出又は提示》第3項本文は、所得税法第120条第3項第2号に掲げる居住者は、同号に規定する記載がされる親族に係る次に掲げる書類を、当該記載がされる控除対象扶養親族(以下「国外居住扶養親族」という。)の各人別に確定申告書に添付し、又は当該申告書の提出の際提示しなければならない旨規定している。
(イ)国外居住扶養親族が当該居住者の配偶者以外の親族に該当する旨を証する書類として財務省令で定めるもの(第1 号ハ。以下「親族関係書類」という。)
(ロ)国外居住扶養親族が当該居住者と生計を一にすることを明らかにする書類として財務省令で定めるもの(第2 号。以下「送金関係書類」という。)
へ 所得税法施行規則(令和2年財務省令第11号による改正前のもの)第47条の2《確定所得申告書に添付すべき害類等》第6項(以下「本件規則」という。)柱書は、送金関係害類は、次に掲げる書類であって、所得税法施行令第262条第3項の居住者がその年において同項に規定する国外居住扶養親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするもの(当該書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文を含む。)とする旨規定している。
(イ)内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第2条《定義》第3号に規定する金融機関(以下、単に「金融機関」という。)の書類又はその写しで、金融機関が行う為替取引によって当該居住者から国外居住扶養親族に支払をしたことを明らかにするもの(第1号)
(ロ) クレジットカード等購入あっせん業者の書類又はその写しで、クレジットカード等を国外居住扶妾親族が提示し又は通知して、特定の販売業者から商品等を購入等したことにより支払うこととなる当該商品等の代金等に相当する額の金銭を当該居住者から受領し、又は受領することとなることを明らかにするもの(第2号)
基礎事実
確定申告と扶養控除の適用状況
平成30年分、令和元年分、令和2年分及び令和3年分の所得税及び復興特別所得税について、各確定申告書を法定申告期限までに提出した。
各確定申告書には、平成30年4月からオーストラリア連邦(豪州)に留学し居住する親族である本件親族(【不開示】)を国外居住扶養親族として記載し、扶養控除を適用した。
本件親族は、本件各年分の12月31日の現況において、所得税法上の非居住者に該当する。
各確定申告書には、親族関係書類及び送金関係書類の添付はなかった。
調査段階で提出された書類等
原処分庁の調査担当職員による調査の過程で、請求人妻(【不開示】)から、要旨、次の書類が提出された。
- 本件親族名義の普通預金口座の通帳の写し(令和3年3月4日〜令和4年3月23日)
- 請求人名義の総合口座の通帳の写し(令和3年6月18日〜同年12月30日)
- 本件親族名義の口座(【不開示】)の通帳の写し(平成29年5月29日〜令和3年10月18日)
- 本件親族の留学先での学費を証する書類
さらに、請求人から、パスポート写し、源泉徴収票写し、本件各口座の通帳写し、本件クレジットカードの利用代金明細書(令和3年4月30日〜同年11月30日)等が提出された。
原処分の内容
原処分庁は、送金関係書類の提出がないとして、扶養控除の適用を認めず、本件各年分の所得税等について更正処分等(更正処分及び一部年分の過少申告加算税の賦課決定処分)を行った。
争点
| 争点 | 内容 |
|---|---|
| 争点1 | 本件各更正処分の理由の提示に不備があるか |
| 争点2 | 本件各年分の所得税等の計算上、本件親族に係る扶養控除の適用があるか |
国外居住扶養親族について、確定申告書に「親族関係書類」及び「送金関係書類」の添付又は提示が必要とされるところ、提出書類が送金関係書類に該当するか、扶養控除が認められるかが問題となった。
争点に関する請求人の主張
理由の提示(争点1)
本件通知書は、請求人側がいう「生活費等を負担していた事実」に触れず、規則所定の書類提出がないことのみを理由としているほか、具体的な法令解釈も示されていないから、行政手続法第14条第1項の理由提示として不十分である。
扶養控除の適用(争点2)
所得税法第120条第3項第2号の「生計を一にすることを明らかにする書類」を、施行規則第47条の2第6項の送金関係書類に限定するのは、委任の範囲を逸脱する。
したがって、送金関係書類に該当しない書類であっても、生計を一にすることを明らかにする内容であれば足り、提出済みの預金通帳写し等(本件書類)により扶養控除の適用が認められる。
審判所の判断
争点1:理由の提示に不備があるか
法令解釈
行政手続法第14条第1項本文が、不利益処分をする場合に同時に理由を示すことを求める趣旨は、行政庁の判断の慎重と合理性を担保し恣意を抑制すること、及び、名宛人に不服申立ての便宜を与えることにある。
当該処分の理由が、この趣旨を充足する程度に具体的に明示されていれば、理由提示として不備はない。
本件通知書の記載内容の検討
本件通知書には、要旨、
- 国外居住扶養親族に係る扶養控除を確定申告書に記載する場合、親族関係書類及び送金関係書類を添付又は提示しなければならない旨
- 送金関係書類の具体的要件を定めた規則の内容
- 本件親族が本件各年分年末において非居住者である旨
- 各確定申告書に送金関係書類の添付がない旨
- 調査段階で提出された各書類が送金関係書類に該当しない旨
- 以上を踏まえ、扶養控除は適用されない旨
が記載され、判断結果並びにその基礎とされた根拠法令及び事実関係の内容が具体的に明示されている。
したがって、理由の提示に不備はない。
争点2:本件親族に係る扶養控除の適用があるか
認定事実
- 本件クレジットカードは本件親族名義で発行され、【不開示】から代金等の支払が行われている。
- 本件各年分において、金融機関が行う為替取引による請求人から本件親族への支払はない。
法令の枠組みと趣旨
所得税法第120条第3項第2号及び施行令第262条第3項は、国外居住扶養親族に係る扶養控除を受ける場合、親族関係書類及び送金関係書類を各人別に確定申告書に添付し、又は提出の際に提示しなければならない旨を定める。
施行規則は、送金関係書類を、要旨、
- 金融機関の書類等で、金融機関が行う為替取引によって居住者から国外居住扶養親族に支払をしたことを明らかにするもの
又は - クレジットカード等購入あっせん業者の書類等で規則所定の内容を明らかにするもの
のいずれかであって、居住者がその年において国外居住扶養親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものとする。
その趣旨は、国外居住扶養親族については、国内居住親族と比べて事実確認・実態把握が容易ではないことを踏まえ、法令で定められた書類の添付等を義務付ける点にある。
したがって、国外居住扶養親族が扶養控除の対象となるためには、親族関係書類及び送金関係書類を確定申告書等に添付等しなければならない。
「所得税法第120条第3項柱書及び同項第2号並びに所得税法施行令第262条第3項本文は、上記1の(2)、の二及びホのとおり、確定申告書に非居住者である親族に係る扶養控除に関する事項の記載をする居住者は、当該親族に係る親族関係書類及び送金関係書類を当該親族の各人別に当該申告書に添付し、又は当該申告書の提出の際に提示しなければならない旨規定している。そして、本件規
則は、上記1の(2)のへのとおり、送金関係書類は、①金融機関の書類又はその写しで、金融機関が行う為替取引によって当該居住者から国外居住扶養親族に支払をしたことを明らかにするもの、あるいは②クレジットカード等購入あっせん業者の書類又はその写しで本件規則第2号に規定する内容のもののいずれかであって、確定申告書を提出する居住者がその年において国外居住扶養親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものと規定している。
上記法令の趣旨は、国内に居住している扶養親族については、市町村等と国税当局との連携により扶養控除の要件を満たしているかの確認を税務署において行うことができる一方で、国外に居住している扶養親族については事実確認や実態把握が容易であるとはいえない状況にあることを踏まえ、国外に居住している親族に係る扶養控除の適用を受ける際には、確定申告書等に法令で定め
られた親族関係書類及び送金関係害類の添付等を義務付けるものである。したがって、国外居住扶姜親族が所得税法第84条に規定する扶養控除の対象者となるためには、親族関係書類及び送金関係書類を確定申告書等に添付等しなければならない。」
提出書類が送金関係書類に当たるか
本件クレジットカード明細書については、本件クレジットカードが本件親族名義で発行され、【不開示】から代金等の支払がされていることから、本件親族が商品等を購入等したことにより支払うこととなる金銭を請求人から受領したことを明らかにするものとはいえない。よって、規則第2号に規定する書類に該当しない。
本件各口座の通帳の写しについては、本件各年分において、【不開示】から【不開示】への振替又は振込みはなく、金融機関が行う為替取引によって請求人から本件親族に支払をしたことを明らかにするものとはいえない。よって、規則第1号に規定する書類に該当しない。
以上から、本件クレジットカード明細書及び本件各口座の通帳の写しはいずれも送金関係書類に該当しない。
そのため、規則柱書の「支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするもの」かどうかを判断するまでもなく、送金関係書類の添付等がないというべきである。
また、調査によっても、他に「生計を一にすることを明らかにする送金関係書類」の存在を認めるに足る証拠は見当たらない。
したがって、本件各年分の所得税等の計算上、本件親族に係る扶養控除の適用はない。
施行規則の適法性に関する整理
所得税法等は、国外居住扶養親族に係る扶養控除の適用を受けるために送金関係書類の添付等を必要とする旨を規定し、その例外を認める法令の規定もない。
よって、送金関係書類に該当しない書類の添付等をもって扶養控除の適用を受けることはできない。
なお、施行規則が法で委任された範囲を逸脱した規定か否かの判断は、原処分の違法・不当を判断する当審判所の権限に属さないことであり、審理の限りではない。
更正処分等の適法性
更正処分
理由提示に不備がなく、本件親族に係る扶養控除の適用がない以上、本件各年分の総所得金額及び納付すべき税額を計算すると、更正処分の金額と同額となる。その他の点についても不相当とする理由は認められない。
したがって、更正処分はいずれも適法である。
過少申告加算税の賦課決定処分
更正処分が適法であり、税額計算の基礎となった事実が更正前の税額計算の基礎とされていなかったことについて、通則法上の正当な理由があるとは認められない。過少申告加算税の額も賦課決定処分の金額と同額と認められる。
したがって、賦課決定処分はいずれも適法である。
結論
審査請求には理由がなく、棄却される。
⚖️ 裁決ポイントまとめ(国税不服審判所令和6年9月13日)
- 争点1(更正処分の理由提示に不備があるか):本件通知書には、国外居住扶養親族に係る規則の内容・本件親族が非居住者である旨・送金関係書類の添付がない旨・各書類が送金関係書類に該当しない旨が具体的に記載されており、行政手続法第14条第1項の趣旨(行政庁の判断の慎重・合理性の担保と名宛人への不服申立ての便宜付与)を充足する程度に具体的に明示されている。理由提示に不備はないと判断した
- 争点2(扶養控除の適用があるか):国外居住扶養親族について扶養控除の適用を受けるためには、確定申告書に親族関係書類及び送金関係書類を添付又は提示しなければならない。その趣旨は、国外居住親族については事実確認・実態把握が容易でないことを踏まえ、法令で定められた書類の添付等を義務付けるものである
- 本件クレジットカード明細書が送金関係書類に該当しない理由:本件クレジットカードは本件親族名義で発行され、妻の口座から代金等の支払がされていることから、「本件親族が商品等を購入したことにより支払うこととなる金銭を請求人から受領したことを明らかにするもの」とはいえず、規則第2号に規定する書類に該当しない
- 本件各口座の通帳写しが送金関係書類に該当しない理由:本件各年分において金融機関が行う為替取引によって請求人から本件親族への支払がなく、「金融機関が行う為替取引によって請求人から本件親族に支払をしたことを明らかにするもの」とはいえず、規則第1号に規定する書類に該当しない
- 施行規則の適法性について:施行規則が法で委任された範囲を逸脱した規定か否かの判断は、原処分の違法・不当を判断する審判所の権限に属さないため、審理の限りではないとして判断を回避した
- 結論:送金関係書類の添付等がなく本件親族に係る扶養控除の適用はない。更正処分・過少申告加算税の賦課決定処分はいずれも適法。審査請求は棄却された
✅ 実務上の留意点
- 国外居住扶養親族の扶養控除は書類要件が絶対条件:生活費を実際に負担していても、法令で定められた「送金関係書類」の添付または提示がなければ扶養控除は認められません。通帳コピーやクレジットカード明細書であっても、規則の定める要件を満たさない場合は送金関係書類に該当しません
- 送金関係書類の要件①(金融機関の書類):金融機関の書類等で「金融機関が行う為替取引によって居住者から国外居住扶養親族に支払をしたことを明らかにするもの」が必要です。単に親族名義の口座への振込や国内の通帳写しでは足りず、「居住者から親族への」為替取引による送金である必要があります
- 送金関係書類の要件②(クレジットカードの書類):クレジットカード等購入あっせん業者の書類等で「クレジットカード等を国外居住扶養親族が提示・通知して商品等を購入し、その代金に相当する金銭を居住者から受領することを明らかにするもの」が必要です。親族名義のカードで妻の口座から支払われている場合は、「居住者から受領」の要件を満たしません
- 「生計を一にする事実」と「送金関係書類」は別問題:生活費を負担している実態があっても、書類要件は独立した絶対条件です。審判所は「生計を一にすることを明らかにする書類」を送金関係書類に限定することの適法性を審査対象外としており、実態があっても規則の定める書類でなければ控除は受けられません
- 確定申告書への添付・提示のタイミング:送金関係書類は確定申告書への添付または申告書提出の際の提示が必要です。調査段階で提出しても、遡って控除が認められない場合があります
❓ よくある質問
生活費の負担だけでは足りません。本裁決では、国外居住扶養親族について扶養控除の適用を受けるためには、確定申告書に「親族関係書類」及び「送金関係書類」を添付または提示しなければならないとされました。その趣旨は、国外居住親族については事実確認・実態把握が容易でないため、法令で定められた特定の書類の添付等を義務付ける点にあります。生活費を実際に負担していても、書類要件を満たさない限り控除は認められません。
なりません。本裁決では、①子供名義のクレジットカード(妻の口座から支払)の明細書は、「居住者から国外居住扶養親族が受領したことを明らかにするもの」ではないため規則第2号に該当しない、②子供名義の口座の通帳写しは、金融機関が行う為替取引によって「居住者から」国外居住扶養親族に支払をしたことを明らかにするものではないため規則第1号に該当しない、と判断されました。送金関係書類となるためには、規則が定める具体的な要件(金融機関を通じた為替取引による送金や、適切なクレジットカード明細)を満たす必要があります。
必ずしもそうはなりません。本裁決では、行政手続法第14条第1項の理由提示の趣旨は、行政庁の判断の慎重・合理性の担保と名宛人への不服申立ての便宜付与にあり、この趣旨を充足する程度に具体的に明示されていれば足りるとされました。本件通知書には、適用規則の内容・本件親族が非居住者である旨・送金関係書類の添付がない旨・各書類が該当しない旨が具体的に記載されており、理由提示に不備はないと判断されました。
