記事の紹介

本裁決は、建物の建築工事費に係る消費税の仕入税額控除を巡り、その建物が「住宅の貸付け(非課税取引)」に供されるものかどうかが争点となりました。

請求人は、法人との賃貸借契約書に「用途は居住用及び事業用を問わない」と明記されていたため、非課税取引には該当しない(=全額控除可能)と主張しました。しかし、審判所は、契約書の文言だけでなく、「契約締結の経緯」「関連する転貸借契約の内容」などの諸般の事情を総合考慮すべきであると判示しました。

本件では、転貸借契約において「居住用」として運用することが前提となっていたため、実質的に「住宅の貸付け」に該当すると認定され、仕入税額控除が否認されました。また、請求人は「法改正で解釈が明確化されたため、それ以前の申告漏れには正当な理由がある」と訴えましたが、審判所は「実質で判断する解釈は改正前から一貫していた」として、加算税の免除も認めませんでした。

「契約書の形式的な記載」よりも「実態」が重視されるという、不動産オーナーや税務実務にとって極めて警鐘を鳴らす事例です。

裁決要旨

国税不服審判所ホームページの裁決要旨

請求人は、確定申告書の提出後に行われた消費税法別表第一の改正は、住宅の貸付けに該当するか否かを契約だけではなく実質により判断するという法令解釈の明確化に当たるから、平成12年7月3日付課消2-17ほか5課共同「消費税及び地方消費税の更正等及び加算税の取扱いについて(事務運営指針)」の第2のⅡの1(令和4年10月25日付課消2-8ほか5課共同による改正前のもの)に定める税法の解釈に関し、申告書提出後新たに法令の解釈が明確化されたため、その法令解釈と事業者の解釈とが異なることとなった場合において、その事業者の解釈について相当の理由があると認められる、といった納税者の責めに帰すべき事由のない事実に該当し、消費税等の確定申告(本件申告)が過少申告となったことについて、国税通則法(令和4年法律第4号による改正前のもの)第65条《過少申告加算税》第4項第1号に規定する正当な理由がある旨主張する。

しかしながら、建物の貸付けが非課税取引である住宅の貸付けに該当するか否かは、当該建物が転貸や再転貸されるか否かを問わず、当該貸付けに係る契約書の契約条項だけでなく、当該契約締結に至る経緯をはじめ、建物の種類・用途や関連する契約の定め等の諸般の事情を総合考慮して判断するのが相当であるとする法令解釈は、令和2年度税制改正前から一貫していたものであったと認められ、請求人が建物の貸付けが非課税取引である住宅の貸付けに該当しないと判断したことは、法令解釈の誤解という主観的な事情に基づくものであって、真に請求人の責めに帰することのできない客観的な事情があるとはいえず、過少申告加算税の趣旨に照らしても、なお、請求人に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になるとはいえない。したがって、本件申告が過少申告となったことについて、同号に規定する正当な理由があるとは認められない。(令6. 7. 3 東裁(諸)令6-4)

請求人は、消費税法(令和2年法律第8号による改正前のもの)別表第一第13号において、非課税取引とされる住宅の貸付けについて、当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされているものに限るとされているのは、貸主と借主の間で締結される賃貸借契約書の契約条項において明確に居住用と記載されている場合のみに限定する趣旨であるとした上で、請求人が法人に建物(本件建物)を賃貸する契約(本件賃貸借契約)に係る契約書には、賃借人の用途は居住用及び事業用を問わない旨記載されていることから、本件建物の貸付けは非課税取引とされる住宅の貸付けに該当しないとして、本件建物に係る課税仕入れ(本件課税仕入れ)は、課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するものに該当しない旨主張する。

しかしながら、別表第一第13号に規定する住宅の貸付けに該当するか否かは、当該貸付けに係る契約書の契約条項だけでなく、当該契約締結に至る経緯をはじめ、建物の種類・用途や関連する契約の定め等の諸般の事情を総合考慮して判断するのが相当であるところ、本件賃貸借契約の締結に至る経緯や本件建物に関連する契約の定め等から、本件建物の貸付けは、本件賃貸借契約において本件建物が最終的にそれを借り受ける者により居住の用に供されることが明らかにされているものであると認められ、同号に規定する住宅の貸付けに該当することから、本件課税仕入れは、将来住宅の貸付けという非課税売上げを生ずる取引のみが客観的に見込まれるものと認められ、課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するものに該当する。(令6. 7. 3 東裁(諸)令6-4)

事案の概要

不動産賃貸業を営む請求人が、建物の建築工事に係る消費税額を控除対象仕入税額に算入して消費税等の申告をしたところ、原処分庁は、当該建物の貸付けは消費税法に規定する「住宅の貸付け」に該当し非課税取引であるから、当該建築工事に係る課税仕入れは同法に規定する「課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するもの」に区分されるとして更正処分等をした。これに対し、請求人が、当該建物の貸付けは「住宅の貸付け」に該当しないなどとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。

関係法令等

1  消費税法関係
(1) 消費税法(平成28年法律第15号による改正前のもの。以下同じ。)第2条《定義》第1項第8号は、資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいう旨規定し、同項第9号は、課税資産の譲渡等とは、資産の譲渡等のうち、同法第6条《非課税》第1項の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のものをいう旨規定し、また、同法第2条第1項第12号は、課税仕入れとは、事業者が、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けること(当該他の者が事業として当該資産を譲り渡し、若し<は貸し付け、又は当該役務の提供をしたとした場合に課税資産の譲渡等に該当することとなるものに限る。)をいう旨規定している。
(2) 消費税法第6条第1項は、国内において行われる資産の譲渡等のうち、同法別表第ー(令和2年法律第8号による改正前のものをいい、以下「別表第一」という。)に掲げるものには、消費税を課さない旨規定し、別表第一第13号は、住宅(人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分をいう。)の貸付け(当該貸付けに係る契約において人の居住.の用に供することが明らかにされているものに限るものとし、一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)を掲げている(以下、同条第1項に基づき消費税が課されない取引を「非課税取引」といい、上記各規定を「本件非課税規定」という。)。
(3) 消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項柱書及び同項第1号は、事業者が、国内において行う課税仕入れについては、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額の合計額を控除する旨規定し、同条第2項は、同条第1項の場合において、同項に規定する課税期間における課税売上高が5億円を超えるとき、又は当該課税期間における課税売上割合が100分の95に満たないときは、同項の規定により控除する課税仕入れに係る消贅税額の合計額(以下「控除対象仕入税額」という。)は、同項の規定にかかわらず、同条第2項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める方法により計算した金額とずる旨規定している。
そして、消費税法第30条第2項第1号は、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れにつき、①課税資産の譲渡等にのみ要するもの、②課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等(以下「その他の資産の譲渡等」という。)にのみ要するもの及び③課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものにその区分(以下、上記①ないし③の区分を「用途区分」という。)が明らかにされている場合には、課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れに係る消費税額の合計額(同号イ)に、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れに係る消費税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額(同号口)を加算する方法(以下、この方法を「個i1J対応方式」という。)による旨規定している。
(4) 消費税法基本通達(以下「基本通達」という。) 6-13-7 《転貸する場合の取扱い》は、その本文で、住宅用の建物を賃貸する場合において、賃借人が自ら使用しない場合であっても、当該賃貸借に係る契約において、賃借人が住宅として転貸することが契約書その他において明らかな場合には、当該住宅用の建物の貸付けは、住宅の貸付けに含まれる旨定め、その注書で、この場合において、賃借人が行う住宅の転貸も住宅の貸付けに該当する旨定めている。


2 国税通則法関係
(1) 国税通則法(令和4年法律第4号による改正前のもの。以下「通則法」という。)第65条《過少申告加算税》第1項は、期限内申告書(還付請求申告書を含む。)が提出された場合において、更正があったときは、当該納税者に対し、その更正に基づき納付すべき税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する旨規定し、同条第2項は、同条第1項に規定する納付すべき税額がその国税に係る期限内申告税額に相当する金額と50万円とのいずれか多い金額を超えるときは、同項の過少申告加算税の額は、同項の規定にかかわらず、同項の規定により計算した金額に、その超える部分に相当する税額に100分の5の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする旨規定している。
(2) 通則法第65条第4項柱書及び同項第1号は、同条第1項又は同条第2項に規定する納付すぺき税額の計算の基礎となった事実のうちにその更正前の税額(還付金の額に相当する税額を含む。)の計算の基礎とされていなかったことについて正当な理由があると認められるものがある場合には、同条第1項又は同条第2項に規定する納付すべき税額から、その正当な理由があると認められる事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除して、これらの規定を適用する旨規定している。
(3) 国税庁長官発遣の「消費税及び地方消費税の更正等及び加算税の取扱いについて(事務運営指針)」(平成12年7月3日付課消2-17ほか5課共同)の第2のⅡの1 (令和4年10月25日付課消2-8ほか5課共同による改正前のもの。以下「本件事務運営指針」という。) 《過少申告の場合における正当な理由があると認められる事実》は、その本文において、通則法第65条の規定の適用に当たり、例えば、税法の解釈に関し、申告書提出後新たに法令の解釈が明確化されたため、その法令解釈と事業者の解釈とが異なることとなった場合において、その事業者の解釈について相当の理由があると認められる、といった納税者の責めに帰すべき事由のない事実は、同条第4項第1号に規定する正当な理由があると認められる事実として取り扱う旨定め、その注書において、税法の不知若しくは誤解又は事実誤認に基づくものはこれに当たらない旨定めている。


基礎事実

請求人等

請求人は、不動産賃貸業を営む個人事業者である。
請求人は、消費税の課税事業者となることを選択する届出書及び課税期間を短縮することを選択する届出書を提出した。

建築工事請負契約の締結等

請求人は、法人との間で、本件建物の建築工事を請け負う旨の建築工事請負契約を締結した。契約書には、工事名として「共同住宅新築工事」と記載された。
本件建物は、種類を「共同住宅」として表題登記がされ、請求人を所有者とする所有権保存登記がされた。
請求人は、本件建物の引渡しを受けた。

賃貸借契約・社宅使用契約・転貸借契約等

請求人は、法人との間で、本件建物に係る賃貸借契約を締結した。賃貸借契約書には、賃貸借期間、賃貸借の額等の定めのほか、「賃借人の用途は、居住用及び事業用を問わない」旨の記載があった。
請求人は、本件建物の一部について、社宅使用契約を締結した。本件社宅使用契約書では、???は、請求人に対し、本件社宅への入居を許可し、請求人は、本件社宅を使用すること及び社宅使用料は月額???円とすることが定められていた。
また、本件建物について転貸借契約が締結され、その契約書は居住用物件の契約書として作成され、表紙の「居住用」の欄に丸印が付され、居住用総部屋数、対象部屋(本件建物の居住用総部屋数13戸のうち本件社宅を除く12戸(以下「本件転貸部屋」という。)が、本件転貸借契約の対象となる部屋)、契約期間、借上支払賃料等が定められ、転貸目的を前提として、転貸条件を任意に決定し、居住用部屋として転貸できる旨が記載された。
さらに、請求人・???・???の三者間で覚書が締結され、転貸借契約における賃貸人としての地位の保証や、承諾なく賃貸借契約を解除できない旨等が定められた。

申告・更正処分等

請求人は、課税期間の消費税等について申告し、個別対応方式を採用した上で、本件建物に係る課税仕入れについて、用途区分を課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れとして控除対象仕入税額を計算していた。
原処分庁は、本件建物の貸付けは住宅の貸付けに該当し非課税取引であるから、本件課税仕入れはその他の資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れに区分されるとして、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。
その後、再調査の請求を経た上で審査請求がされた。


争点

争点1:本件課税仕入れは、消費税法第30条第2項第1号に掲げるその他の資産の譲渡等(住宅の貸付け)にのみ要するものに該当するか否か。

争点2:本件申告が過少申告となったことについて、国税通則法第65条第4項第1号に規定する「正当な理由があると認められるものがある場合」に該当するか否か。


争点についての請求人の主張(要旨)

争点1に関する主張

請求人は、非課税取引とされる住宅の貸付けについて、「当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされているものに限る」とされているのは、賃貸借契約書の契約条項において明確に居住用と記載されている場合のみに限定する趣旨である。
本件賃貸借契約書には、賃借人の用途は居住用及び事業用を問わない旨記載されていることから、本件建物の貸付けは住宅の貸付けに該当しないとして、本件建物に係る課税仕入れは、課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するものに該当しない。

争点2に関する主張

請求人は、確定申告書の提出後に行われた令和2年度税制改正は、住宅の貸付けに該当するか否かを契約だけではなく実質により判断するという法令解釈の明確化に当たるから、申告書提出後新たに法令の解釈が明確化されたため、その法令解釈と事業者の解釈とが異なることとなった場合において、その事業者の解釈について相当の理由があると認められる、といった納税者の責めに帰すべき事由のない事実に該当し、過少申告となったことについて正当な理由がある。


審判所の判断

争点1(本件課税仕入れの用途区分)

法令解釈

建物の賃貸に係る取引は資産の譲渡等に該当し、非課税取引とする住宅の貸付けは「当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされているもの」に限るとされる。
その趣旨は、最終的に建物を居住の用に供する者に消費税相当額を負担させないよう当該居住の用に供する者を政策的に保護することにある。
したがって、「当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされているもの」とは、当該建物が転貸や再転貸されるか否かにかかわらず、当該貸付けに係る契約において、当該建物が最終的にそれを借り受ける者により居住の用に供されることが明らかにされているものをいう。
また、「当該貸付けに係る契約において」とは、その文言上、契約書の記載内容に限られない。
よって、建物の貸付けが住宅の貸付けに該当するか否かは、当該建物が転貸や再転貸されるか否かを問わず、当該貸付けに係る契約書の契約条項だけでなく、当該契約締結に至る経緯をはじめ、建物の種類・用途や関連する契約の定め等の諸般の事情を総合考慮して判断するのが相当である。
また、課税仕入れの用途区分は、課税仕入れの行われた日の状況に基づき、当該課税仕入れにつき将来非課税売上げを生ずる取引のみが客観的に見込まれるか否かにより判断する。

イ 法令解釈
建物の賃貸に係る取引は、消費税法第2条第1項第8号に規定する資産の譲渡等に該当するから、本件非課税規定に該当する場合を除き、課税対象となる。そして、本件非課税規定は、別紙の1の(2)のとおり、非課税取引とする住宅の貸付けを「当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされているもの」に限る旨規定している。この趣旨は、最終的に建物を居住の用に供する者に消費税相当額を負担させないよう当該居住の用に供する者を政策的に保護することにあると解される。
そうすると、ここにいう「当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされているもの」とは、当該貸付けに係る建物が転貸や再転貸されるか否かにかかわらず、当該貸付けに係る契約において、当該建物が、最終的にそれを借り受ける者により居住の用に供されることが明らかにされているものをいい、また、「当該貸付けに係る契約において」とは、その文言が、契約書においてとはされていないことからすれば、当該貸付けに係る契約書の記載内容に限られないものと解される。
したがって、建物の貸付けが本件非課税規定にいう「住宅の貸付け」に該当するか否かは、当該建物が転貸や再転貸されるか否かを問わず、当該貸付けに係る契約書の契約条項だけでなく、当該契約締結に至る経緯をはじめ、建物の種類・用途や関連する契約の定め等の諸般の事情を総合考慮して判断するのが相当である。
そして、課税仕入れの用途区分がその他の資産の譲渡等(住宅の貸付け)にのみ要するものに該当するか否かは、当該課税仕入れの行われた日の状況に基づき、当該課税仕入れにつき将来非課税売上げを生ずる取引のみが客観的に見込まれるか否かにより判断することとなる。

当てはめ(転貸部屋・社宅)

本件課税仕入れが行われた平成30年3月31日より前である同月5日、???との間で本件賃貸借契約を締結したところ、同月20日には、???及び???による本件転貸借契約並びに請求人、???及び???による本件三者間覚書が締結されている。そして、本件貨貸借契約書には、???が請求人に支払う賃借料は、??? から家賃の入金があった日から支払う旨が定められており、また、本件三者間覚書には、請求人と???は、本件賃貸借契約に基づき、???と???との間で締結された本件転貸借契約において、???が完全な賃貸人としての権利義務を成し得る地位を有することを保証する旨、及び請求人と???は、???の承諾を得なければ本件賃貸借契約を解除することができない旨が定められていることに加え、請求人は、本件転貸部屋の賃借人兼転貸人である???の代表社員を務めていた。

これらのことからすると、本件賃貸借契約は、賃借人が本件転貸部屋を転貸することが前提であったと認められる。

本件転貸借契約書には、表紙に記載された「居住用」の欄に丸印が付され、居住用物件の契約書として作成されている上、①本件建物の総部屋数について、「居住用総部屋数13戸」である旨、及②???は、任意に転貸借条件を決定し、本件転貸部屋を居住用部屋として転貸できる旨記載されていることからすると、本件転貸部屋は、住宅として再転貸することが予定されていたと認められる。

以上からすると、本件転貸部屋は、???が本件転貸部屋を???に転貸し、???が住宅として再転貸することを前提としたものであるといえるから、本件転貸部屋は、本件賃貸借契約において、最終的にそれを借り受ける者により居住の用に供されることが明らかにされていると認められ、課税仕入れが行われた日の状況において、住宅として貸付けの用に供されることが予定されていたと認められる。
また、本件社宅についても、賃貸借契約及び社宅使用契約の締結状況から、最終的にそれを借り受ける者により居住の用に供されることが明らかにされていると認められ、課税仕入れが行われた日の状況において、住宅として貸付けの用に供されることが予定されていたと認められる。
以上により、本件建物の貸付けは住宅の貸付けに該当し非課税取引となる。
そうすると、本件課税仕入れは、課税仕入れが行われた日の状況において、将来住宅の貸付けという非課税売上げを生ずる取引のみが客観的に見込まれるものと認められるから、その他の資産の譲渡等(住宅の貸付け)にのみ要するものに該当する。

請求人の主張について

賃貸借契約書に「賃借人の用途は居住用及び事業用を問わない」と明記されているとしても、住宅の貸付けに該当するか否かは、契約条項だけでなく諸般の事情を総合考慮して判断するのが相当であるところ、本件建物が最終的に居住の用に供されることが明らかにされているものであると認められるから、当該主張は理由がない。
また、再転貸までもが「住宅の貸付け」に該当すると解することはできないとする点については、その文言上除外すべき理由はなく、非課税趣旨からしても再転貸により人の居住の用に供することが明らかにされている場合も住宅の貸付けに該当すると解するのが相当である。
改正法令の遡及適用で違法であるとする点についても、改正前の規定に基づき住宅の貸付けに該当することは上記のとおりであるから、当該主張は理由がない。


争点2(過少申告加算税の正当な理由)

法令解釈

過少申告加算税は、過少申告による納税義務違反の事実があれば、原則としてその違反者に対し課され、適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに、過少申告による納税義務違反の発生を防止し、適正な申告納税の実現を図るための行政上の措置である。
この趣旨に照らせば、「正当な理由があると認められる」場合とは、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、上記趣旨に照らしても、なお、納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいう。
納税者の主観的な事情に基づく単なる法令解釈の誤りは、これに当たらない。

検討(請求人の主張を含む)

改正前における「住宅の貸付け」の法令解釈は、契約条項だけでなく諸般の事情を総合考慮して判断するというものであり、当該解釈は改正前から一貫していたと認められる。
請求人が本件建物の貸付けが住宅の貸付けに該当しないと判断したことは、法令解釈の誤解という主観的な事情に基づくものであって、真に請求人の責めに帰することのできない客観的な事情があるとはいえず、過少申告加算税の趣旨に照らしても、なお、請求人に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になるとはいえない。
したがって、請求人の主張する事実は「正当な理由があると認められるものがある場合」に該当しない。
当審判所の調査の結果によっても、ほかに正当な理由に該当する事実があるとは認められない。


結論(処分の適法性)

本件課税仕入れは、その他の資産の譲渡等(住宅の貸付け)にのみ要するものに該当する。
本件更正処分は適法である。
また、本件申告が過少申告となったことについて正当な理由があるとは認められないから、過少申告加算税の賦課決定処分も適法である。

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