この記事でわかること
- 東京国税局「CFC課税研修(令和6事務年度)」の内部資料の概要と、情報公開により確認できる範囲の内容
- 外国子会社合算税制(CFC課税・措法66条の6)の基本的な判定フローと判定基準(租税負担割合30%未満・20%未満)
- 経済活動基準(実体基準・管理支配基準等)の意義と合算課税の成否を分けるポイント
- 別表十七(四)の構成―特定外国関係会社の判定・ペーパーカンパニー・キャッシュボックスの該当性と租税負担割合計算フロー
- 当局が準備調査で着目する国外関連者情報(営業収益・利益剰余金・関連者間取引)の視点
資料の概要と現状について
本資料は、東京国税局 調査第一部 国際調査管理課による「CFC課税研修」の内部資料(令和6事務年度)です。しかし、全40ページ以上のうち、詳細な解説や事例紹介が含まれるページの多くは非公開(白紙)となっており、実務的な核心部分は伏せられているのが現状です 。
研修次第
資料冒頭の「次第」によれば、本来は以下の内容が計画されています 。
- 導入
- CFC課税を検討するとは?(資料1-4)
- 準備調査における目の付けどころ
- 臨場時における目の付けどころ
- 事例紹介
3. 公開されている「CFC税制の概要」
資料4〜5ページ目には、CFC税制の判定フローが原文のまま残されています。
- 定義: 外国子会社を利用した租税回避を抑制するため、一定条件に該当する所得を日本の親会社の所得とみなして課税する制度(措法66の6) 。
- 判定要素: 居住者・内国法人が合計50%超を直接・間接に保有 。
- 租税負担割合が「30%未満」または「20%未満」の判定基準 。
- 経済活動基準(実体基準・管理支配基準など): これらを全て満たすかどうかが、合算課税の成否を分けるポイントとして示されています 。
4. 調査の着眼点に関連する別表類
資料後半には、当局が調査の基礎とする「国外関連者に関する明細書」や「別表十七(四)」の様式が掲載されています。
- 別表十七(四): 特定外国関係会社の判定(ペーパーカンパニー、キャッシュボックス該当性)や、所得に対する租税負担割合の計算フローが確認できます 。
- 準備調査の視点: 営業収益、利益剰余金、関連者間取引の状況などが、当局の分析対象となっていることが伺えます
実務上のポイント
- 外国子会社合算税制(CFC課税)は、内国の居住者・内国法人が合計50%超を直接・間接保有する外国関係会社の所得について、一定条件下で日本の親会社等の所得とみなして合算課税する制度である(措法66条の6)。租税負担割合が30%未満(特定外国関係会社)または20%未満(導管外国関係会社)の場合、合算課税の受けやすい状況となる。
- 東京国税局の本研修資料には、準備調査および臨場時における「目の付けどころ」が内容として計画されている。情報公開請求により入手できた資料の多くは非公開(白紙)となっているが、判定フローや別表の構成から当局の関心事項を読み取ることは可能である。
- 別表十七(四)には、特定外国関係会社の判定(ペーパーカンパニー・キャッシュボックス該当性)および全届出所得に対する租税負担割合の計算フローが整理されている。外国子会社を有する法人は、正確な情報引当と記載に対応する必要がある。
- 経済活動基準(実体基準・管理支配基準・事業基準・非独立活動基準・非受動的所得基準)のいずれか一つを満たさない場合には、合算課税から除外される。実務上は、それぞれの基準を満たす証拠資料の整備と、外国子会社の実態を導日から整理しておくことが重要である。
- 当局の準備調査段階では、「国外関連者に関する明細書」「別表十七(四)」を基に、営業収益・利益剰余金・関連者間取引の状況が分析される。税理士として外国子会社を有するクライアントを支援する際には、これらの申告内容の整合性確認と記録の正確性を事前に満たすことが不可欠である。
Q1. CFC課税(外国子会社合算税制)とはどのような制度ですか。
CFC課税(外国子会社合算税制)は、日本の内国法人等が合計50%超を直接・間接保有する外国関係会社について、その所得を日本の親会社等の所得に合算して課税する制度です(措法66条の6)。外国関係会社の租税負担割合が一定基準(30%未満または20%未満)に該当する場合に合算課税の対象となりやすく、経済活動基準を満たすかどうかが合算課税の成否を分ける重要なポイントとなります。
Q2. 東京国税局のCFC課税研修資料は、実務上どのような目的で利用できますか。
本資料は、東京国税局調査第一部が作成した「CFC課税研修」の内部教材であり、情報公開請求により入手できた資料です。多くのページが非公開となっている一方、CFC税制の判定フロー・別表十七(四)の構成・当局の準備調査視点が行間から読み取れるため、外国子会社を有する企業の税務調査対策や税理士の事前準備に役立てることができます。
Q3. 外国子会社を有する企業が合算課税を回避するにはどうするべきですか。
「回避」の先に、まず外国子会社が経済活動基準(実体基準・管理支配基準等)を適正に満たしているかを確認することが優先です。これらの基準が満たされる場合には合算課税から除外されます。その上で、税理士と連携しながら別表十七(四)の記載内容や国外関連者明細書の整備状況を定期的に確認し、計算根拠と証拠資料を適正に保全しておくことが重要です。
