国税庁では、事前照会に対する文書回答手続に関する事務運営指針に基づき、納税者の皆様の予測可能性の一層の向上に役立ててもらうため、特定の納税者の個別事情に係る事前照会について、一定の要件に該当しない限り、文書による回答を行っています。

上記については、平成14年6月28日付課審1-14ほか8課共同「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について(事務運営指針)」が発遣されています。もともとは、平成13年6月22日付事務運営指針により同年9月から実施されている制度です。

以下では、平成14年6月の事務運営指針発遣、汎用性要件を廃止した平成16年2月の事務運営指針改正、原則3か月以内回答のルールを定めた平成18年5月の事務運営指針改正の概要や趣旨等について、国税庁から開示された決裁資料に基づいて確認します。また、当該決裁資料を記事の最後にアップしておきます。

平成14年6月の事務運営指針発遣

決裁資料の「伺い」文

平成14年7月から各国税局の課税(第一)部に審理課又は審理官を設置し、税目横断的に多角的な観点から検討を加え、一元的で効率的な審理体制を構築することとしている。
これに伴い、現在、国税局課税総括課を中心とする関係各課の合議体によって実施している「事前照会に対する文書回答」に関する事務についても、今後は、審理課又は審理官において所掌することとし、その事務処理手続等について別案1のとおり定め、各国税局長及び沖縄国税事務所長あてに事務運営指針を発遣することとしたい。
また、国税庁ホームページに掲載されている「文書回答に対する事前照会について」については、別案2のとおり改正することとしたい。
なお、平成13年6月22日付課総1-19ほか8課共同「事前照会に対する文書回答の実施について(事務運営指針)」は、平成14年7月9日をもって廃止することとしたい。
(注)なお、本事務運営指針は、審理課(官)の所掌を定めた財務省組織規則等の改正後の日付で発遣することとしたい。

事前照会に対する文書回答事務の主要改正項目について(審理課所掌へ)


局に審理課(官)が設置されることに伴い、文書回答事務の所掌を局課税総括課から局審理課(官)に移管する。そこで、文書回答の事務処理手続を定めた事務運営指針の所管を庁審理室に移管することとし、平成13年6月22日付課総1-19ほか8課共同「事前照会に対する文書回答の実施について(事務運営指針)」を廃上し、「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について」を新規に発遣することとする。旧事務運営指針からの主な変更箇所は、以下のとおり。

1 局における審査事務担当の変更
文書回答事務のうち、局における実質審査等については、現在、課税総括課を中心とする関係主務課等との合議体において行っているが、今後は審理課(酒税に関する照会については、酒税課)において担当することとする。なお、関係主務課等とは、必要に応じて協議を行うとともに、回答に当たっては、合議のうえ決裁を了することとする。


2 審理課で実質審査を行う場合の留意点
(1)財産評価通達5項・6項事案の資産評価官への連絡
財産評価通達5項(評価方法の定めのない財産の評価)及び6項(通達の定めにより難い場合の評価)に該当する事案は、速やかに資産評価官に連絡し、処理方針等を協議する。
(2)消費税等の実質審査
消費税及び間接諸税については、局消費税課との連絡・協調を密にして、特に間接諸税については、共同して実質審査を行う。
(注)印紙税を除く問接諸税については、「揮発油税等の審理事務の局間広域運営について」(事務運営指針)に特則を定める。


3 照会先及び回答者の変更
所掌の変更に伴い、照会及び回答は、審理課長・審理官(酒税に関する照会については、酒税課長。沖縄国税事務所においては、従来どおり課税総括課長)名において行うこととする。

平成16年2月の事務運営指針改正(汎用性の要件を廃止)

決裁資料の「伺い」文

文書回答手続は、納税者サービスの一環として、具体的な取引等に係る税法の適用等に関して、文書による回答を求める納税者からの申告期限前の照会(以下「事前照会」という。)に対して、一定の要件の下、回答を文書で行うとともに、その内容を公表することにより、他の納税者に対しても税法の適用等に関する予測可能性を与えることを目的として実施している。
今回、この文書回答手続について、納税者の予測可能性の一層の向上の観点から、手続の濫用防止を図りつつ、所要の整備を行うこととし、現行の事務運営指針を別案のとおり改正することとしたい
(注)なお、本文中で引用している「同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について」(事務運営指針)については、本事務運営指針の改正と同時に発遣することを予定している。

文書回答手続の改正案の概要(汎用性の要件を廃止)

1 基本的な考え方


(1)文書回答手続は、納税者サービスの一環として、具体的な取引等に係る税法の適用等に関して、文書による回答を求める納税者からの申告期限前の照会(以下「事前照会」という。)に対して、一定の要件の下、回答を文書で行うとともに、その内容を公表することにより、他の納税者に対しても税法の適用等に関する予測可能性を与えることを目的としている。

(2)これまでの手続の下では、多数の納税者から同様の照会が見込まれるといった極めて汎用性の高いもの等の要件に該当する事前照会のみが文書回答の対象とされてきたが、今回の改正により、この汎用性の要件を廃止し、濫用防止の観点等から定めた一定の要件に当たらない限り、すべての事前照会を原則として申請の対象とする。


その際、個別性の強い事前照会に対する文書回答を行う場合、より詳細な事実確認が必要となることや当該照会者に限定した個別サービスとしての性格が強くなること等から、照会者に対しては審査に必要となる資料に関し、従来より詳細なものの提出を求めることとする。なお、他の納税者に対しても税法の適用等に関する予測可能性を与えるという手続の趣旨か、引き続き照会文書及び文書回答の内容は公表するが、その際にはプライバシー保護等について一層の配慮を行うこととする。


(3)文書回答に係る照会者については、自ら実際に取引等を行う者(その代理人を含む)に限定することとし、文書回答に係る事前照会に対しては、原則として本手続により対応する。ただし、照会者が自ら取引等を行わない場合であっても、業界内に共通する取引等で事実認定を要しないものに関する税務上の一般的取扱いについて、業界団体や中央省庁が事前照会を行う場合に限り、税務当局としての一般的な見解を文書により示すための手続を別途の事務運営指針で定めることとする。
(注)なお、こうした業界団体等からの照会については、税務上の取扱いに関する予測可能性の向上の観点等からみて有用である等、税務当局が適当と考える場合に限り文書回答を行うこととする。


2 文書回答の対象となる事前照会の範囲


文書回答の対象となる事前照会の範囲については、特定の納税者の個別事情に係るものを除外する規定を廃止する一方、同様の制度が最も定着している米国の例を参考に、濫用防止等の観点から、以下の要件を除外要件として新たに加えることとする。


○ 事前照会に係る取引等が、法令等に抵触又は抵触するおそれがあるもの
○ 事前照会に係る取引等と同様の事案について、税務調査中・不服申立て中・税務訴訟中である等、税務上の紛争等が生じているもの
〇 事前照会に係る取引等について、取引等関係者間等で紛争中又は紛争のおそれが極めて高いもの
○ 税の軽減を主要な目的とするもの
○ 一連の組み合わされた取引等の一部のみを照会しているもの
○ 事前照会者や事前照会に係る取引等関係者が、租税条約における明確な情報交換協定がない等、我が国の国税当局による情報収集や事実確認が困難な国や地域の居住者等(当該国、地域に住所又は居所を有する個人及び当該国、地域に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。)であるもの


3 回答・公表までの手続き等


(1)照会者は、これまでと同様に、原則として照会者(取引等の当事者)の納税地の所轄税務署(局所管等の場合は、それぞれの所管部署)の事前照会担当者に対し、税務署備え付けの申請書類及び以下の資料を所定の様式等により提出の上、申請を行う。
(注)(※)は今回の改正で新たに提出を求めることとしたものである。
○ 法令解釈・適用上の疑義の要約及びこれに対する事前照会者の求める見解の内容
○ 照会事項に関係する取引等関係者の名称(すべて実名とする。)、取引等における権利・義
務関係などの具体的な事実関係
○ 事前照会に係る取引等に関するすべての契約書等の写し等関係書類(※ )
○ 事前照会に係る事実関係に対して法令の適用又は先例の適用等からなる事前照会者の求める見解となることの理由(具体的な根拠となる事例、裁判例、学説、及び既に公表されている弁護士、税理士、公認会計士等の見解を含む。)(※)
○ 取引等に係る申告期限又は納付期限
○ 関係する法令条項等
○ 審査に必要な資料の提出に事前照会者が同意する旨
○ 事前照会者名、照会内容及び回答内容が公表されること、公表に関して取引等関係者の了解を得ること、並びに仮に公表について取引等関係者間で紛争が起こった場合には、事前照会者の責任において処理することについて、事前照会者が同意する旨(※)
○ 照会文書のうちに、日本語以外の言語で記述されているものが含まれている場合には、局審理課又は局酒税課の求めに応じて、照会文書に加え、その内容を網羅的に日本語に翻訳した資料(当該翻訳の責任者名の記述を含む。)を提出することに同意する旨(※)
○ 事前照会用チェックシート(※)


(2)照会内容の具体的審査及び回答は国税局審理課(官)又は酒税課で行うが、税務署等での受付後であっても審査の結果、前述した要件を満たさないと判明した場合には、文書回答は行わない。また、回答までに要する標準的な期間については、引き続き定めないこととするが、16年度中の新制度の執行状況等を踏まえ、17年度中に検討の上、結論を出すこととする。
(注)なお、回答がないことを理由に申告期限等の延長がなされることはないことを明記。


(3)文書回答を行う場合、その照会及び回答の内容については、照会者名以外の取引関係者等に関しては伏宇にするなどプライバシー保護等に一層配慮しつつ、引き続き、原則として回答後60日以内に国税庁ホームページ等において公表する。なお、事前照会の申請時に、回答等が公表されることにつき取引関係者等の了解が得られており、仮に後に紛争が生じた場合でも照会者の責任において処理することについて、照会者から同意を得ることとする。
また、文書回答の内容と申告審理・調査審理における課税処理との統一性を確保するため、文書回答の写し等が申告事績を管理する部門に必ず回付されることを確保するとともに、調査において回答内容と異なる処分を行おうとする場合は、局審理課。主務課と事前協議することを明確化する。


4 留意事項


(1)文書回答の回答内容は、あくまで事前照会に係る事実関係を前提にしたものであり、具体的な事例において異なる事実がある場合等には、回答内容と異なる課税処分がなされることがある。また、回答内容は国税局の見解であり、事前照会者の申告内容を拘束する性質のものではない。こうした文書回答の性質については各々の回答文書に明記することとする。
(2)改正後の手続による取り扱いは、所得税の確定申告期限後の平成16年3月29日より実施する。

平成18年5月の事務運営指針改正(原則3か月以内回答)

決裁資料の「伺い」文

文書回答手続は、納税者サービスの一環として、具体的な取引等に係る税法の適用等に関して、文書による回答を求める納税者からの申告期限前の照会(以下「事前照会」という。)に対して、一定の要件の下、回答を文書で行うとともに、その内容を公表することにより、他の納税者に対しても税法の適用等に関する予測可能性を与えることを目的として実施している。
今回、この文書回答手続について、事務処理の適正化及び納税者利便の一層の向上の観点から、照会文書が受付窓口に到達した日から原則3か月以内に行うよう努めることとし、所要の整備を行い、現行の事務運営指針を別案のとおり改正することとしたい。
(注)なお、「同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について」の一部改正について(事務運営指針)については、本事務運営指針の改正と同時に発遣することを予定している。

参考裁判例(東京高判平成18年11月30日税資256号順号10589)

(控訴人らの主張)

「原判決は、東京国税局が本件文書回答の内容を公表しないまま本件注意文書のみを掲載したことについて、平成16年2月17日以前になされた本件文書回答については、これを公開するという運営指針はなかったから、東京国税局に、これを公開すべき法的義務は肯定できない旨判示する。しかしながら、運営指針は、あくまでも国税庁内部における、単なる事務処理上の「事務取扱方針」であって法規的性質を有しないから、納税者との関係においても絶対的に通用する基準とすべき根拠はない。東京国税局の文書回答は、それを公表すると事前照会をした納税者の不利益になることが明らかであるなど、公表してはならない特段の理由がない限り、回答主文の如何にかかわらず、これを公表すべきものである。本件において、事前照会の様式(甲2号証)には、回答文書の公表について、照会者の事前の同意がなされているのであるから、回答文書を公表してはならない特段の理由が認められない限り、回答文書は、当然に公表する義務があるというべきであり、本件において特段の理由は認められないから、東京国税局は、本件文書回答を公表すべきであった。」

(裁判所の判断)

「事前照会に対する文書回答は、国説庁が、納税者サービスの一環として、個別の取引、事実等に係る税法上の取扱い等に関する事前照会に対する回答を文書により行うとともに、その内容を公表することにより、同様の取引等を行う他の多数の納税者に対しても税法の適用等について予測可能性を与えることを目的として平成13年6月22日付け事務運営指針により同年9月から実施されている制度であること、平成16年2月17日付けで同事務運営指針が一部改正され、「貴見のとおり取り扱われるとは限らない。」という回答を行った事前照会であっても、照会文書及び回答文書のうち同様の取引等を行う他の納税者に対しても国税に関する法令の適用等について予測可能性を与えることになる場合には、原則として公開することとなったことが認められる。
 ところで、事前照会に対する文書回答制度、その一環としての照会文書及び回答文書の公表制度は、本質的に納税者サービスの一環として位置付けられるべきものであり、更には、「貴見のとおり取り扱われるとは限らない。」という回答を受けた納税者がそのような回答を自ら公表することはなんら禁止されていないことなどから、東京国税局が本件文書回答を公表しなかったことについて、権利侵害、違法の問題が生じることはない。控訴人らの同主張は理由がない。」

参考:国税審査会での質疑

第1回 国税審査分科会 議事要旨

1. 日時

平成13年11月19日(月) 15時00分~16時22分

2. 場所

国税庁第一会議室

3. 議題

  1. (1)  不服申立ての状況
  2. (2)  最近における審査請求事件の動向等について
  3. (3) その他
    • ・  国税庁の実績の評価について
    • ・  情報公開への対応について
    • ・ 事前照会に対する文書回答について

4. 議事経過

 事務局から、各議題について説明があり、概ね以下のような質疑応答があった。

  1. (1)  最近における審査請求事件の動向等に関して
    • ○  在日外国公館に勤務する人についての審査請求事案では、税務調査について在日外国公館からの協力が得られたのか。
      • →  在日外国公館からは、実務上の一般的な協力と思う。
    • ○  同様の課税処分についての審査請求の件数は多いのか。
      • →  一人の納税者の一つの税目の一年分を一件と数えると、100件以上になる。
  2. (2) 国税庁の実績の評価に関して
    • ○  実績評価に関し、目標の達成度合いが低いものについては、改善していくのか。
      • →  本年7月から来年6月までの1年間について全体の実績の評価を行い、その結果を来年9月に財務大臣が国民に向けて公表することになっている。目標の中で、達成度合いの低いものに関しては、見直して、更に努力することになる。なお、目標の設定についても、絶えず見直していく必要があると考えている。
  3. (3)  情報公開への対応に関して
    • ○  国税庁に対する情報公開の開示請求が多い原因は何か。
      • →  所得税法等で規定された公示関係の請求件数が多く、例えば、所得税の公示関係の件数は、全体(約9,600件)のうち3,358件ある。
    • ○ 不開示としたものは、具体的にどのような内容か。
      • →  個人情報や調査の手法などに関わるものは、不開示としている。
  4. (4) 事前照会に対する文書回答に関して
    • ○  文書回答について、国税庁のホームページに照会して、ホームページで回答するということはできないのか。
      • →  文書回答は、具体的な事例に関する税の取扱いの照会であり、事実確認のため別途書類の提出や説明を受ける必要もあることから、ホームページでの対応は困難である。

(注)  ○は委員の質問であり、→は事務局の回答である。

第1回 国税審査分科会 議事録(4)

分科会長
 それでは最後の議題になると思いますが、事前照会に対する文書回答について。

課税部長
 資料3-3をお開きいただきたいと思います。必ずしもそれほど大きな制度という話ではなくて、単なるトピックスみたいな話なんですが。従来より納税者の予測可能性を高めるために、各種施策をやっております。
 一番基本的には、文書に書いてありますが、法令解釈通達。これは法律の解釈を示したもので、たくさん発遣しております。それ以外に、一般的な解釈ですが、個々の取引について、税務当局に対して年間数百万件照会をされます。そういうのは口頭で回答をしているわけであります。
 ただ、従来から一部文書による回答も行っております。それは例えば証券業協会から、こういう商品について、これは課税になるかならないか。どういう所得になるかとか、そういうものですね。例えば、このようなものは協会全体に影響しますから、その協会はその回答を受けて、傘下の企業全部に通達を出すとかしていて、このような文書回答も一部やっていたわけであります。
 一方、昨年来、ノーアクションレターというのが話題になりました。これは主として金融庁、経済産業省に関係するものでありますが、IT関連で新しい事業をする前に、それが法律に抵触するかどうか、事前にノーアクションレターを出して回答をもらうと。そういう世の中全体の動きがありましたので、我々はそういうノーアクションレターの世界とはちょっと違うのでありますが、従来からも一応文書回答も行っておりますので、文書回答手続を整備しました。それを公表いたしまして、本年9月3日から、そういう方法で文書回答を行っております。
 1ページ以下に書いてありますが、あくまで文書回答は、特定のAさんと当局の関係というのではなくて、多数の納税者、要するに同種の取引で、こういうケースはこういう課税になるということを回答するわけですから、あくまでも公表することを目指しています。国税庁ホームページにも掲載をいたします。したがって、質問された方のお名前、どういう案件、これは全部公表いたします。そういう趣旨であります。
 実際、2ページ目に、具体的にどういうケースか1から5まで書いてありますが、1は、全く架空の話では困るということですね。全く架空の話では答えようがないものですから。
 それから、2番目は、やはり特定のAさんというだけではちょっと困ります。そういう取引が一般的・普遍的に見られる取引、皆さん方の参考になる必要がありますから、そういった取引であること。
 3番目は、我々はそれを見て検討をいたしますので、必要な書類を出していただく。
 それから、4番目は、あくまでも内容は公表いたします。公表して、国民の皆様に知っていただくわけでありますが、そういうのに同意していただく。
 それから、申告前に行うこと。申告後に出していただいてもちょっと困りますから。
 そういったことを行っているところであります。
 現在までのところ、十数件問い合わせが来ておりますが、実際に文書で回答したのは、これができてから2件です。
 1つ代表的な例は、従来、企業の再建支援、金融機関の債権放棄が寄付金課税になるかどうかということについて、個別の照会がたくさん寄せられております。東京国税局調査部などが窓口になるのですが、そういった再建支援の延長上なんですが、本年春の緊急経済対策を受け、私的整理に関するガイドラインというのが作られました。これはA銀行、B銀行が何々企業に対してというのではなくて、一般的なガイドラインですが、そのガイドラインに基づいて策定された再建計画による債権放棄等の税務上の取扱い、そういう文書照会がきておりますので、我々は文書でそれは差し支えないということで回答をして来ておりますし、それは国税庁のホームページに載せております。
 あと1件は、民事信託というのがあるのですが、それが従来の土地信託と扱いが同じかどうか。同じということなんですが、そういう問い合わせ。これは三井不動産からの照会事例ですが。
 今、正式に回答したのは2件だけですが、順次処理が終われば回答していきたいと思います。
 以上であります。

分科会長
 ありがとうございました。只今の事前照会に対する文書回答についての説明に対して何か御質問、あるいは御意見ございませんでしょうか。

宮崎委員
 これはホームページに直接照会して、ホームページで回答するということはないのですか、そういうことは。

課税部長
 それはちょっと難しいですね。照会というのは、本当に数百万件も来ているんですね。1対1のケースであれば、別に文書で回答する必要はないわけですね。数百万件に文書で回答するとすると我々はほかの仕事が何もできませんから。皆さん方に知っていただく必要があるものについて、あくまで我々は文書回答を行う。だから通達まではいかないのですが、若干それに近いものなんですね。
 したがって、やはりそこには慎重を要しますから、事実関係を確認する必要があります。あくまで具体的な事例に即して。基本的には具体的な、これの課税とか、そういう直接ではなくても、一応具体的な課税に関して御照会していただいていますから、具体的に来ていただいています。いろいろ説明をして、これだったら納得だということをやっておりますので、ちょっとダイレクトというのは少し難しいですね。

分科会長
 何かほかに御質問、あるいは御意見ございませんでしょうか。

 (「なし」の声あり)

分科会長
 ほかにございませんでしたら、予定された議題はこの辺で終わりたいと思いますが、何かこれ以外に、議事全般につきまして、御質問、御意見がございましたらどうぞ。

 (「なし」の声あり)

分科会長
 それでは予定の時間の範囲ですが、ここで議事を終わらさせていただきたいと思いますが。どうも私は、最初どうも失礼いたしました。
 それでは、今日の国税審査分科会を終らせていただきます。どうもありがとうございました。

第1回 国税審査分科会 説明資料

事前照会に対する文書回答について

 国税庁では、税法の一般的な解釈や取扱いについて、法令解釈通達等を定めて公表するとともに、個別の取引等に対する税務上の取扱いについて納税者からの事前の相談に応じ、課税当局としての見解を明らかにしている。
 また、事前相談の中で、その相談者以外の多数の納税者にも関係すると認められるものについては、従来から一部文書による回答を行い、これを公表して、税務処理の透明性を高めるとともに、納税者の便宜に供することとしてきた。
 ところで、従来からの文書による回答については、その事務手続が明らかでなく、また、今後は文書回答へのニーズが高まるものと予想されることから、「行政機関による法令適用事前確認手続」(平成13年3月27日閣議決定)の導入趣旨等も踏まえ、文書による回答の対象とする事前照会案件の範囲、具体的手続等について事務運営指針を定め、9月3日からこれにより全国統一的に実施することとした。

【文書回答の趣旨及び手続等】

  1. (1) 趣旨
     納税者サービスの一環として、個別の取引等に係る税務上の取扱い等に関する照会で多数の納税者にも関係するような事案について、文書により回答を行うとともに、その内容を公表することにより、税務処理の透明性を高め、また、納税者の予測可能性を高めることを目的として実施する。
  2. (2) 文書回答を行う対象となる事前照会の範囲
     上記の趣旨を踏まえて、文書回答を行う事前照会の対象について以下の要件全てを満たすものとしている(この対象とならない照会等については、従来どおり税務署又は税務相談室において口頭での相談・回答を行う。)。
    1. 1  照会者が実際に行う(又は行った)取引等に係る法令の解釈・適用等に関する照会で、これまでにその取扱いが明らかにされていないもの。
    2. 2 業種等に共通する取引等に係る照会で多数の納税者から照会されることが予想されるもの、又は反復継続して行われる取引等に係る照会で不特定多数の納税者に関わるものであること。
    3. 3 照会内容の審査に必要な資料の提出をすること。
    4. 4 照会内容等を公表することに同意していること。
    5. 5 申告(源泉徴収等の場合は納付)前の照会であること。
  3. (3) 照会文書の提出
     税務署に備え付けの用紙に必要事項を記載し、所轄税務署の担当部署(国税局調査課所管法人の法人税に係る照会等の場合は国税局調査管理課等)に提出する。
  4. (4) 事前照会に対する回答等
     照会事案については、国税局で審査し照会者に文書で回答すると共に、国税局又は国税庁のホームぺ-ジに掲載・公表する。

[署備え付けチラシ]

税務上の取扱いに関する事前照会に対する文書回答について

 国税局では、納税者の方から、申告前に、具体的な取引等についての税務上の取扱いに関する照会(以下「事前照会」といいます。)を受けた場合、その照会が同様の取引等を行う他の多数の納税者の方の適正な申告に役立つと認められる場合など、一定の要件に該当するものについては、文書により回答するとともに、その内容を公表することとしているところです。
 文書回答の対象となる事前照会の範囲は、下記「1 文書回答の対象となる事前照会の範囲」のとおりですが、この対象とならない照会や一般的なご質問については、口頭での相談・回答を行っていますので、税務署の担当部門又は税務相談室をご利用ください。

1 文書回答の対象となる事前照会の範囲

 対象となる事前照会の範囲は、次のすべての要件を満たすものに限ります。

  1. (1) 事前照会者が実際に行う(又は行った)取引等に係る国税に関する法令の解釈・適用その他税務上の取扱いに関する照会であって、これまでにその取扱いが明らかにされていないものであること
     次のイからニのような照会については、対象となりません。
    1. イ 仮定の取引、想定事例等に係るもの
    2. ロ 事実関係が明らかでないもの、あるいは、事実関係の認定を行わなければ審査ができないもの
    3. ハ 調査等の手続、徴収手続、酒類等の製造免許若しくは酒類の販売業免許又は酒類行政に関係するもの
    4. ニ その取引等に係る取扱いが、法令や既に公表されている法令解釈通達あるいは質疑事例において明らかにされているもの
  2. (2) その業種等に共通する取引等に係る照会で多数の納税者から照会されることが予想されるもの、又は、反復継続して行われる取引等に係る照会で不特定多数の納税者に関わるものであること
     したがって、特定の納税者の個別の事情に係るものについては対象となりません。
  3. (3) 照会内容の審査に必要な資料の提出をしていただけること
  4. (4) 照会及び回答文書の内容を公表することに同意していただけること
  5. (5) 申告(源泉徴収等の場合は納付)前の照会であること
    • (注) 次のものについては、従来どおり担当の部署でお受けしていますので、最寄りの税務署にお尋ねください。
      1. (1) 譲渡所得等に係る収用等の特例の適用に関する事前協議
      2. (2) 国等に対する寄附金の事前確認
      3. (3) 独立企業間価格の算定方法等の確認

国税局・税務署

〈文書回答の対象となる事前照会の例〉

  1. 1 金融保険業の同業者団体からの特有な所得計算に関する照会
  2. 2 リース業の同業者団体からのリース資産の減価償却等に関する照会
  3. 3 博覧会等のイベント参加費用の取扱いに関する照会

〈文書回答の対象とならない事前照会の例〉

  1. 1 法人税法上の役員の過大報酬の判定に関する照会
  2. 2 個々の相続財産の評価に関する照会

2 文書による回答を求める場合の手続

 文書による回答を求める場合には、税務署に備えつけてある「取引等に係る税務上の取扱い等に関する事前照会」の用紙に照会の趣旨、取引等の事実関係などの必要事項を記載し、照会事項に関する参考資料を添えて、照会を行う方(納税者等取引の当事者となる方)の納税地の所轄税務署の担当部署(法人税については法人課税部門、所得税については個人課税部門等)に提出してください。
 なお、次の照会はそれぞれ次に掲げる窓口に提出してください。

  • ・ 国税局調査課所管法人の法人税及び消費税の事前照会
    → その法人を所管する国税局の調査審理課、調査管理課、調査課
  • ・ 酒税の事前照会
    → その酒類等の製造場等又は酒類の販売場の所在地を所轄する税務署
     国税局所管酒類製造場等に関するものは所轄国税局の酒税課(沖縄国税事務所にあっては間税課)
  • ・ 間接諸税(印紙税を除く。)の事前照会
    → その製造場等の所在地を所轄する国税局の消費税課(沖縄国税事務所にあっては間税課)

3 回答までの手続等

  1. (1) 照会内容の具体的な審査及び文書による回答は、国税局課税総括課で行います。
  2. (2) 照会内容によっては、いったん税務署等で受け付けた後でも、文書回答ができない旨の連絡をさせていただくこともありますので、あらかじめご承知おきください。
  3. (3) 照会の内容を確認させていただくため、資料の追加提出等をお願いする場合がありますのでご了承ください。
  4. (4) 文書回答の時期をあらかじめ申し上げることはできません。回答までにある程度の期間を見込んでご照会ください。
     なお、回答がないことを理由に申告期限等が延長されることはありませんのでご留意ください。また、申告等が行われた後については、文書による回答は行いません。

4 その他留意事項

  1. (1) 文書による回答を行った場合には、その照会及び回答文書の内容を公表することとなります。
  2. (2) 文書による回答を求めるために提出していただいた書類は、文書回答できない旨の連絡をさせていただいた場合を含め、返却いたしませんのでご了承ください。

この社会あなたの税がいきている

参考資料(ダウンロード可)

国税庁文書回答事務運営指針決裁資料 平成14年6月、平成16年2月、平成18年5月.pdf

関連記事

国税庁の事前照会に対する文書回答手続(平成20年3月、平成23年3月、平成29年5月、令和2年10月、令和3年6月、令和5年6月の事務運営指針改正)

国税庁の同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等(平成14年6月、平成16年2月、平成18年5月の事務運営指針改正等)