暗号資産やNFTなどのトークンに関する税務調査に不安を感じている方は多いと思います。当事務所にも、「税務署はどのように調査を進めるのか?」「海外取引所や分散型取引所(DEX)の取引はどこまで把握されているのか?」「どれくらいの税金を追加で支払う必要があるのか?」といった質問が寄せられています。

この記事では、暗号資産の取引や保有をしている個人や法人の方が、税務調査に備えるためのポイントを簡単にまとめました。


暗号資産の税務調査と適正申告のために必要なもの

税務調査では、あなたが暗号資産取引について正確に損益(所得)と税額を計算し、適正に申告しているかが確認されます。適正に申告しているのであれば、基本的に、税務調査を恐れる必要はありません。

適正に申告するために重要なのは、以下の2点です:

  1. トークン(暗号資産、NFTなど)取引の損益を正確に計算すること
  2. その損益を基に、税法に従って適切に処理し、正確に税額計算すること

そのためには、暗号資産及び関連取引やブロックチェーン技術についての基本的な知識、損益計算の知識、損益計算ソフトの操作スキル、税法の理解、取引履歴が必須です。加えて、技術的や他の法令の理解が求められる場面もあります。


ご自身でできること

取引履歴の記録・保存

取引開始時に、利用しようとする取引所(中央集権型取引所やDEX)が、自身の使っている損益計算ソフトに対応しているかを確認しましょう。API連携やCSV出力ができるかどうかも大事です。その取引所で初めて取引を開始した日時や取引目的も記録しておくと、あとあと役に立つかもしれません。

また、自分の管理するウォレット間でのトークン移動や、損益計算ソフトが対応していない取引所での取引は、自分で/手動で、取引日時、相手、内容、レートなどを記録しておくことが重要です。

取引所のデータ取得に問題が発生することもありますので、定期的に(3ヶ月に1回程度)取引履歴をダウンロードしてバックアップを取ることをお勧めします。

詳しくは、拙著『事例でわかる!NFT・暗号資産の税務』をご覧ください。

事例でわかる!NFT・暗号資産の税務(第2版)

期末残高の記録・保存

年末時点で保有している暗号資産やNFTなどのトークンの残高(数量)を記録しておきましょう。この実際の残高と記録(理論)上の残高を照合する必要があるのです。パソコンやスマートフォンのスクリーンショットを保存しておくことで、後々の損益計算がスムーズになります。


専門家に依頼すること

正確な損益計算

損益計算ソフトを使用しても、それだけですべての取引を正しく計算できるとは限りません。特定の取引所について取引履歴の取り込みを忘れていたり、損益取引なのか、貸借取引や資金移動なのかがわからなかったり、色々な問題に直面するでしょう。このような場合は、暗号資産に詳しい税理士に依頼することをお勧めします。たとえ正確な損益計算が難しい場合でも、経験豊富な専門家がサポートしてくれます。

適切な税務処理

例えば、DEXでの取引(流動性提供、ラップ、貸借取引)やブロックチェーンゲームで得た収入、DAOへの参加など、税務上の処理が未解決なものが多くあります。国税庁が公式見解を示していないものもたくさんあります。このような場合には、暗号資産の税務に精通したプロの税理士に相談することをお勧めします。


当事務所の税務調査対策サービス

税務調査は、多くの方にとってストレスの原因となります。当事務所では、損益計算、税務調査、税法のプロである税理士が税務調査に備えて以下のサービスを提供しています:

  • 税務調査の流れや調査官への対応方法を事前に説明
  • 模擬調査やシミュレーションを通じて、依頼者の方に税務調査の疑似体験を提供
  • オンチェーン分析や技術サポートも駆使して、調査で予想される問題点を早期に発見し、万全の対策

現在税務調査を受けていて調査官の説明に納得がいかない方や、既に他の税理士に依頼している方も、ぜひ一度ご相談ください。


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